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29、勉強してきてきたこと
母は、確かに壊れてました。
見るに見かねて、どうにかならないものかと、小学生三年生くらいの漢字ドリルと、算数ドリルを一緒にしていたんです。
でも、ある日、出来心で、大学受験の漢字熟語をやってもらってんです。
すると、あらあら、書ける、書ける!
大学受験もしたことがないのに、小学生の漢字ドリルより、大学受験の漢字の方が書けるんです!
思わぬ発見でした!
まあ、その代わり、平がなの方が書けなくなっていたんですが。
それからというもの、大学受験を中心に漢字の勉強をしました。その方が伸びる!と思ったんです。
高校生のとき、漢字の勉強をがんばっていたんでしょうね。元気なころに「私は、漢字だけは、得意やからな!」と言っていたことを思い出しました。
学生のとき、勉強していたことって、大人になると、悲しいかな忘れていくものです。なんのために勉強したんだろう、と思ってしまうくらいです。
母には、その時、ぼくの書いていたエッセイの朗読をしてもらうべきでした。母は、倒れてから、文章が朗読できなくなっていたんです。あまりのひどい、間違えように、こらあかんわ、とぼくもあきらめてしまいました。
でも、今思えば、それも勉強です!
そこは、違うよ、と一つ一つ訂正していけば、母も朗読できていたはずだろうと思います。そうすれば、ぼくの書いたエッセイも、理解できただろうし、それが、どれだけ建設的な時間になっていたことでしょうか。
結局、母は、何一つとして、ぼくの書いていたものを知らずに、亡くなっていったんですから。
今、覚えば、もったいないことをしました。
親孝行は、どれだけしてもし足りない、というんでしょうか。今でも、尚、母へ何かしてあげたいと、800字詰めの原稿用紙に母への手紙を書いています。
まあ、それは、ぼくからの気持ちなのですが。
もう、八枚にものぼり、どこまでも書いていこうと思っています!
母へ近況報告。欠かしてはいけません。
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