憧れってなんだろう。
すごくすごくありがたいことに、
何度か「私の人生を変えてくれた」と
人から言っていただくことがある。
そんな大層なことを
私はしでかしていたらしい。
・
私はなんとなくコーヒーが好きで
バリスタってかっこいいな〜くらいの気持ちで
高校生の時にいたのだが、
「大学に行くお金ないから
行くなら奨学金制度のある専門学校ね」
とずっと言われていたので、
そのままコーヒーも出来る調理系の専門学校に行って、
なんとか特待生をもぎとって
奨学金も借りてひたすら2年間がむしゃらになってみた。
流れで大手に2年務めて
1年間は色々なカフェのインターンをして
求人がコロナでほぼなくなり、
一時は赤ちゃん用品店で1年務めたあとに
今のカフェと出会って1年経たずしてなぜか店長をしている。
「夢を叶えてすごい」
と言っていただくことが多い。
そんな大仰なものなのか?
飲食なので給与や生活を考えると
なかなか厳しい。
それでも1度離れてもどうしてもコーヒーがやりたかった。
そんな大したものじゃないと思っていたけれど、
確かに私のその気持ちは夢だったんだろう。
・
お客さんから友達になった子の1人に
大学四年生のおしとやかすぎる子がいる。
そんな子とご飯に行った時、
ずっと文章を書く出版社の仕事に就きたいと思っていたけど、
コーヒーを仕事にすることに憧れてしまいました…
そのきっかけをくれたのはこのカフェです!
なんて言ってくれた。
胸が撃ち抜かれた。
絶対に出版社の方が給与もよくてしっかりした企業だろうに、
そこを蹴ってまでコーヒーの仕事…。
しかも4月からいきなり関西……!
それはそれは背筋が伸びた。
もっとしっかり真摯に目の前のお客様と
コーヒーに向き合って勉強していかねばと思った。
なによりそれを言葉にして私に伝えてくれた
この子のまっすぐな気持ちが本当に嬉しかった。
・
もう1人、
専門学校の時 常に一緒にいた男友達がいた。
ずっと一緒に漫才をやったりしていたので、
周りからもセットくらいに思われていたほどだったやつ。
卒業してからはレストランでサービスマンをやっていたはずなのに
気づけばいつの間にか同じバリスタの道に進んでいた。
・
「楽しそうにバリスタをしている姿が
キラキラして見えて影響を受けちゃった笑」
なんて人に言われると
自分がすごい人間に錯覚しそうになる。
でもそんなことなくて、
本当に楽しくて、ただ毎日ニコニコしているだけなのだ。
人はなかなか変わらないけれど、
みんな誰しも影響され合いながら生きているとしみじみ思った。
そんな中で私の大好きな人達が
こいついいなと思ってもらえる存在でいたいなと
ふわっとそんなことを思った。
これをもっと周りにも伝染させていきたいなと
今日もカウンターに1人立つのであった。
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