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カルチャープレナー(文化起業家)とは何なのか──TeaRoom岩本宗涼×CPC佐宗邦威 #1

はじめに、令和6年能登半島地震で被災された皆さまに慎んでお見舞い申し上げます。現地ではまだまだ余談を許さない状況が続いていますが、すべての方々に1日でも早く安寧の日々が訪れますことを心から祈っています。

日本の文化資源を用いた事業を推進する「カルチャープレナー」のコミュニティ運営とリサーチを行う一般社団法人Culturepreneur Collectivesとして、被害に遭われた伝統工芸に従事する方々に対し、何か力になれることは無いかと検討を続けています。

世界に誇る日本の素晴らしい文化のひとつが今後も続きさらに発展していくか、はたまたここで息絶えてしまうか。今回の震災によってそんな瀬戸際に立たされているいま、彼らが求めていることや私たちにできること・やるべきことを見極めて実行してまいります。


日本の文化資源を用いて、または文化を事業課題として新たな価値を生み出す「カルチャープレナー(文化起業家)」たち。一般社団法人カルチャープレナーコレクティブズ(以下CPC)はこの新しい起業家の形をコミュニティを作りながら、カルチャープレナーというコンセプトの研究開発・リサーチを行っていきます。

今回の記事は、CPC発足メンバーの中から、株式会社TeaRoom代表の岩本涼(茶名:宗涼)さんと、CPC発起人兼理事の佐宗邦威による対談インタビューを行いました。第1回目のテーマは、カルチャープレナーとは何なのか?ということから。

カルチャープレナーとは?

佐宗:「Culturepreneur Collectives(カルチャープレナー・コレクティブズ)(以下、CPC)」では、カルチャープレナーという概念自体を、カルチャープレナーのみんなと一緒に明確にしていきたいなと思ってインタビューを定期的にしていきたいと思っています。記念すべき第1回目のインタビューは、Forbes JAPAN 11月号の「CULTURE-PRENEURS 30」でも表紙に選ばれた、TeaRoom代表・岩本涼さんにお話を伺います。まずは自己紹介をお願いします。

岩本:21歳でTeaRoomを起業し、日本茶と茶の湯で文化と産業の接点づくりをしています。9歳から茶道・裏千家での稽古をはじめ、25歳で準教授の職を拝命。若くして文化に深く関わりを持つことになりました。実家が茶道家元や、茶業の出身ではないため、少し珍しい経歴だと思います。

起業のきっかけは、文化が身近にあり、親しみ深いものなのに、文化産業が持続可能ではないという課題感です。この課題は、社会・産業と文化の接点がなく、エコシステムが回っていないことに起因しています。

例えば、日本茶の生産者は茶の湯の現場でどのように抹茶が扱われているか、文化側を知らない。茶道の先生方のような文化側はどのように抹茶が生産されているか、産業側を知らない、ということもあります。TeaRoomは、まず産業側から文化側にアクセスして資金の流れを作り、文化側に再投資することを目指しています。

佐宗:今の話だけでも多くの論点がありそうですね。文化の担い手側と産業側とが繋がっていない、と。日本全体では色々な分野で文化の継承者や職人が不足し、危機意識はあるが食い止められない現状の中、茶道では裏千家などの文化を保つシステムが確立されてるのが強みに感じます。岩本さんが、危機感を覚えた原体験があれば教えてください。

岩本:たしかにシステムは存在しているのですが、文化は思想を伝えることが最も大切なので、たとえば抹茶や茶道具といったプロダクトの機能等は二の次になりがちです。茶道の先生をはじめとするいわゆる文化側に、プロダクトの機能や作り手の情報が比較的少ないのなぜだろう?と思ったのが幼少期の原体験です。

抹茶がどのような過程を追って作られているかを知らない方も。茶道の先生は空間や情緒価値を優先するので、プロダクトの情報が後回しになる。一方で、産業側(プロダクトの作り手)からすると機能や効能が重要です。ここに大きな隔絶があることによって、茶道のもつ多面的な価値が伝わらない危機感を覚えました。

佐宗:一般的に、文化と産業は両立しないといわれることが多いですよね。茶道の先生は文化で稼ぐことへの一種のタブー感があるのかも。実際、文化側には危機感が大きいのでしょうか?

岩本:時代とともにマネタイズが難しくなっていることが危機感の根本にあります。文化側のマネタイズという観点では、利休の時代から茶道の先生は、茶道具などを生徒に紹介することで、稽古料以外の収入を得ていたと言われています。

家元・パトロン・道具屋で有機的に連動し、文化産業全体に資金が回るエコシステムです。ところが、時代の変遷とともにパトロンの仕組みが機能せずこのシステムが崩れてしまいました。

現状、茶道は許状制度をつくり、今の茶道教室スタイルになりましたが、現状先生方のマネタイズの観点では生徒からのお稽古代と許状料のみとなっている方も少なくありません。ビジネス的に言えば生徒数が売上のKPIになるため、生徒数が少なくなる一方の今、危機感は強くなっています。

佐宗:過去にはお金と名誉と文化的価値がパワーとして存在したということですよね。それが現代になり、そのシステムが機能しなくなり、さらに文化側と産業側の隔絶が広まったと。そこを埋めて、新しい価値とともに社会に広げていくのが使命ということですね。

「起業家」との違いとは?

佐宗:カルチャープレナーが何たるかを紐解くうえで、いわゆるスタートアップの起業家とカルチャープレナーの違いはなんだと思いますか?

特にスタートアップの主流であるIT系をイメージしたときに、彼らにとっての成功は資金調達や市場規模額といった経済的なパワーであることが多いです。スタートアップ起業家の成功モデルに対して、文化起業家には違う指標があるのではないでしょうか。

岩本:スタートアップは、“ある明確な課題”を“早く”深掘ります。課題解決へのアプローチが非常に直線的です。一方で、文化事業の立ち上げは、いわゆるスタートアップで重要視される「社会にこういう課題があるからこう解決しましょう」ではありません。

文化は、マイナスを0にする類のものではなく、0からプラスへ転じていくものです。人間が豊かに生きるために蓄積した知財であり視点、DoingではなくBeingの話に近いと考えています。Doingの世界は、物理的・金銭的な指数に依拠しますが、Beingでは日々の暮らしの中で、有限の物質・環境下において無限の精神世界の豊かさを問う価値観をOS化するものです。

佐宗:面白いですね。ビジネスの文脈では「ウェルビーイングテック」という言葉がありますが、文化はそのOSのひとつになっている、と。

一般的な文脈だと、「ウェルビーイング=心身が健康で、社会資本が豊かな状態」ですが、それだけだと多分つまらない。文化はゼロをプラスにするウェルビーイングの要素な気がしますね。ウェルビーイングを、メンタルヘルスの文脈に近いマイナスからゼロの分野と、文化産業のようなゼロからプラスの2段階で考えるといいのかも。

現状では、ウェルビーイングの文脈で文化の話はあまり触れられないですよね。まだまだマイナスをゼロにする意味合いが強いのかもしれません。

岩本:文化産業としては、ウェルビーイングの文脈に入っていくことも重要だと思います。また、もう一つのスタートアップ起業家との違いは、時間軸です。価値観にアプローチする必要があるからこそ、短期間ではなく10年スパンの長い目での視野が必要になる。

文化産業の場合は、点をたくさん打って、広い経済圏をじわじわと育てるので、時間軸が全く異なります。スタートアップ起業家は時間軸で5〜7年を目安に事業を育成する。これは従来の既存OSをベースにしたアプリケーション形成のようなイメージです。一方、文化起業家はOSそのものを作る(=価値観作り)ため、レイヤーも時間軸も大きく異なります。

文化産業における資金調達とは?

佐宗:起業家として時間軸が長いものにチャレンジする必要があるからこそ、考えておかないことはなんだと思いますか?

岩本:やはり、資金調達ですよね。スタートアップ起業とは異なる課題があります。ベンチャーカルチャーにおいては、起業家の先輩たちが後輩に投資する構図が主流ですが、文化産業の資金調達には応用できません。

文化産業の場合は、文化自体が生活全般に展開しているため、必然的に複数分野と関わります。その分関係者が多く、投資の時間軸も長いため、適切なステークホルダーを見つけることが容易ではありません。適切な人を巻き込むためには、1人ずつ丁寧にアプローチするとなると時間も手数も多くなる。適切な配分の在り方なども考える必要があります。

自分が100%持つ帝国型がいいのではと言われることもありますが、文化を社会とつなげる私たちのビジョンを考えると、自己完結するのは理想と反します。本当は、社会の全員が株主になってもらいたいんですよね。

TeaRoomにおいても、金融の世界に重きをおいてみてきた株主を増やしすぎると自分たちの目指す事業が難しくなるので、見返りを求めず、粋な心意気で文化にお金を投じてくれる旦那のような存在がもっといてくれればと思います。日本の市場には金融的な側面を重視するサラリーマン的株主が多く、文化産業における旦那がいないことが、日本の重要な課題です。

佐宗:サラリーマン株主と旦那の話は重要テーマですね。焦点を絞って話したいのですが、文化産業はパトロンが支えるというのは定石ですよね。

現在でいうと、テック産業のエンジェル投資家やベンチャーキャピタルも「旦那」になり得ると思います。他にもオーナー系企業や地方の非公開豪族企業などもありえるかもしれません。実際に色んな人に会うなかで、どんな人が文化産業に対して長期間投資をしてくれるのでしょうか?

岩本:適切な投資家として有力なのは、社会に葛藤を抱いて、文化産業の当事者になっている人ですね。自分で和菓子屋を立ち上げたり、地方創生で起業している人だったり。実際の投資家にはサラリーマン株主が多いため、母数が少ないのも課題ですね。

それに対して、地方の有力な豪族系や地方のオーナー企業の場合は、個人の信用で投資してくれることが多いんですよね。「お前に期待したいから投資する」的な。

佐宗:そういう人たちはどんな価値観から、文化産業への投資に至るんですか?

岩本:いうなれば、海賊のような野性と文化人という全く異なる側面を併せもつ人ですね。ヤンキー感のあるというか。社会に対して常にチャレンジして、葛藤して、何とかしなければいけないと自分が当事者になっています。現在、ビジネスモデル的に文化産業のパトロンでの成功事例がないので、一緒に挑戦したいと思ってくれるような人です。

佐宗:ハイソな人じゃないんですね、意外です。投資家という話をしていましたが、文化に対するお金の出し手でポテンシャルがあるところはどこなんでしょうね。

岩本:フィランソロピー的な投資がいいんじゃないでしょうか。エクイティじゃない形の渡し方があるといいですよね。転換社債というか、負債型などもよいのかもしれません。

佐宗:最近は成功した起業家が財団を設立するトレンドがありますよね。マネックスの松本大さんや、メルカリの山田進太郎さんが私財を投じて財団を作っています。そういった人たちが文化産業に投資する流れを作れたらいいなと個人的には思っているのですが。

岩本:そうですね……。文化は生活全般にらせん状に複層的に展開するので、そういうビジネスを実践してきた人でない限り、文化に投資しにくい傾向はあるかもしれないですね。なぜなら、文化は変数が無限にあるし、軸も縦軸横軸と多様です。スタートアップ的に1つの点を垂直的にアプローチするのとは、根本的に全く異なるからです。

TeaRoomでも、なぜ茶産業を一点突破でやらないのか?と常に言われます。お茶をバンバン作ってモノを売ればいいじゃんって。でもそうじゃない。

佐宗:僕の友人で、同じく文化を作るために複数事業を同時にやっている起業家がいるんですが、同じ悩みを抱えています。4つの事業やっているのって効率悪くない?って投資家から言われるんですよね。

文化産業って、いくつかの点を打ってそこを育ててて投げていくのをみんな無意識にやっている。生産も教育も……と。ベンチャーキャピタルからすると、なんで一点突破しないの?と効率悪く思われてしまうのかも。それがジレンマですね。

岩本:あるあるです。先ほど無意識に点をつなげて育てるとおっしゃりましたが、そうせざるを得ない状況に陥るんです。

だいたい「文化」をつくることをミッションとして立ち上げるけれど、価値観に共感してくれる仲間を長期間かけて教育する必要があるので、すぐ資金的に頓挫します。すると産業側に回ってお金を生み出さないといけない。しかもコストメリットのある産業構造を見つけて参入しなければならない。その立上げに2〜3年かかって産業側が軌道に乗ってくると、その後もう一回文化産業側に回ってブランディングしていく。それを行き来していく中で、結び付けていくイメージです。

佐宗:基盤となる文化作り・教育からスタートし、産業化と文化化をスイングして繋げていくモデルが必要ということですね。文化側でマーケット作り・教育に投資する時期と、産業側でプロダクトを磨く時期がぐるぐる回るのが文化産業の特徴だと。

どうしてカルチャープレナーが必要なのか?

佐宗:文化資本がなぜ必要なのかを社会に提言する際に、ベタですが、ゼロからプラスに向かうウェルビーイングの文脈に親和性がありそうです。

岩本:おっしゃる通りです。そう働きかけていく必要があります。

佐宗:これからの未来を想像すると、特にホワイトカラーになればなるほど、AI等の普及により時間的に余白が増えていくはずです。必要不可欠な仕事が減るからこそ、知的な人こそ時間的な空虚感を埋めるものとして文化で余白を埋めていく。そうして、文化の価値が上がってくるのではないでしょうか。

デジタル世界だけでは退屈。心理的な価値、奥行きを追求して生み出していく上で文化が大切になってくる。健康を損なう状態では文化を楽しむことは難しいですが、最低限の前提がある人には文化が今まで以上に大切になってくるのではと思っています。

岩本:豊かに過ごすための文化が必要とされていると思います。ウェルビーイングの文脈とも密接につながってきますよね。

一例として、ニューヨークのUberスタッフの4割はホワイトカラーや稼ぎ切った高齢者たちだそうです。彼らは人とのつながりや生きがいを求めた結果、Uberで働いている。まさにデジタルの退屈さと、世界への好奇心によるものです。そう思うとUberはウェルビーイングテックに近いかもしれません。

文化産業とエンタメ産業の違いとは?

佐宗:Uberが生きがいを作っているということですよね。それでいうと、時間をつぶす選択肢としてエンターテイメントがあるじゃないですか。今や、動画も一つのレジャーになりつつあります。でもそれだけじゃ退屈で、もっとリアルな経験を求める人が文化に行きついている感覚があります。

アニメなども文化の一つであって、体験の質感の違いでは?と思っているのですが、文化産業とエンターテイメント産業ってどういった違いがありますか?

岩本:良い問いですね。エンターテイメントもライフスタイルの中に組み込まれているので整理が難しい。

佐宗:さきほど、人の行動や習慣を変えるOSが文化という話もありました。ポケモンGOのように習慣を変え得るものもあるけれど、エンターテイメントは刹那的に刺激的な体験を提供するのに対し、文化はある価値観をベースに、ライフスタイルや行動全体に包括的に影響を及ぼす、ということでしょうか。

岩本:明確な線引きは難しいです。ただ、自分なりに整理すると、エンターテインメントは、顧客接点からの体験が垂直的な導線になるイメージです。コンテンツやアプリケーション内で閉じていることが多く、垂直的に深掘りするだけで完結しやすいと考えています。

一方で、文化では、ある接点を深掘りすると、必然的に周辺領域へ複層的に、らせん状にクロスオーバーしていくイメージです。

佐宗:らせん状にクロスオーバーしていく、とは?

岩本:文化は価値観をベースに生活全体を対象としているので、複数領域にわたって広がります。茶道であれば茶碗も着物も空間も、すべてのものが自然につながっていきます。ひとつのテーマを深掘りしようとしても、必ず周辺領域が絡み合っています。例えば、着物を買ったら、ふさわしい場所に行く→お茶会に行く→季節やシーンによって帯を変えたくなる→茶道の作法を理解したくなる→茶道の稽古に行く……のように。

ポケモンならポケモンバーチャル世界に閉じていて、永遠にコンテンツを下に深掘りすることができるのでやりやすいですよね。プラットフォームの断絶があるので、点を深掘りするだけで満足できる。

文化は周辺領域に必ず展開し、さらに、一つの価値観の下で恣意的に行動を変えられるので、よりLTV(ライフタイムバリュー=顧客の生涯価値)が高く&長くなるビジネスモデルと言えます。

カルチャープレナーの成長モデルとは?

岩本:文化産業はLTVが高くなるビジネスだからこそ、非常に大切なのは顧客の教育です。教育をしっかりやってきた企業はマーケティングコストがゼロになります。共感者が社会に大量にいる状態を社会に作っておくと、顧客のロイヤリティが高いんです。

佐宗:マーケティングコストがゼロになるという話で、文化の教育がうまくいっている事例はありますか?

岩本:茶道の「裏千家」は自分自身の流派で、非常にリスペクトをしています。特に大宗匠のお言葉をお聞きすると、自らもこの活動を広めていきたいという思いで、熱意をもって活動しています。裏千家との強い結びつきがなくとも、自分たちで教室をやったり、お茶会をやったり、着物を毎日着たり……と、一度価値観で共感されると強い。素晴らしい仕組みです。

佐宗:どうやって価値観をエデュケーションするのでしょうか?

岩本:長期間における「型」のお稽古です。何度もお稽古を繰り返すうちに、その価値観が大切だと自分で気づく瞬間がくるんです。長い歴史をもったモノや人、思想と向き合い対話することで、その中で見つけたネットワークの中で友達ができてきて……という風に輪が広がっていきます。

佐宗:良い意味で、宗教コミュニティとも通じるものがあるんですね。今までのポイントを少しまとめると、旦那がいない問題、LTVを高める価値観教育が出てきました。個人的にはもうひとつ、プロダクトに付加価値をつける手法がビジネス上の重要なポイントになり得るのではと思っています。体験だけでは時間的・空間的な制約があるじゃないですか。それを超えるためにはプロダクトが必要なのではと。

岩本:立ち上げ方は、やはりラグジュアリーブランドが参考になります。エルメスカフェやダンヒルのBarに若年層が殺到しているという話が証明するように、より多くのプレミアムな顧客接点を作ることが大切です。

実際、茶道においても身近にライトなお茶事があれば行ってみたいという人が多くなっています。お茶事は食事やお点前も含んだ4時間ほどの正式な茶会なのですが、どれだけライトな体験だとしても、その世界観に触れられる接点を身近に作ることが重要。本物は高いものであると体験して感じてもらうことが方法論としていいと思います。

どちらかというと、プロダクトの体験化が必要なのかと。モノからコトへじゃなく、人々の行動を変える可能性がある。お茶事などの体験を経て、そこで使われていたお道具に興味を持たれ、購入に繋がることもあります。

佐宗:よく経験経済と言いますが、その先に変容経済があると言われています。文化産業は変容経済を体現していると思います。そこがあると高い価値になるんでしょうね。茶事も場ではあるけれど、その人の生活に対しての意識の変容につながると高い価値になるということですね。

岩本:まさに。そこで重要なのは、体験の後に、習慣を続けるためのメディア・ツールとしてのプロダクトをひとつでも自分で意思決定をして買い求めていただくことです。習慣化のサポートが必要。そこに産業的な勝機があります。そのモーメントをつかまないと、思想が定着せず、行動が変わらないんです。人の行動や価値観を変容するツールとしてのプロダクトが必要です。例えば、道具から始めて、お茶碗を持つようになり、お稽古をはじめ、さらには自分で茶会を持つようになっていきます。


今回の対談を通じて、カルチャープレナーの事業上、大きなトピックが以下3つピックアップできました。

Q1: 旦那をどう見つけるか?(どう教育するか?)
Q2: 文化教育による文化コミュニティをどう作っているか?
Q3: プロダクトをどう高い付加価値として提供するか?

これらの問いに関しては今後、別途議論していきます。本日は、こちらでインタビューを終了します。次回は「カルチャープレナーを成長させていくエコシステムとは?」について。ぜひお楽しみに。

text by Miki Takeda
edit by Ryutaro Ishihara
Special thanks to Ryo Iwamoto & TeaRoom Inc.


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