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『レトロ・ロマン・モダン 乙女のくらし』展

大阪暮らしの今昔館で開催中の『レトロ・ロマン・モダン 乙女のくらし』展、とても良かったです🥰(会期:10月14日まで。終了直前の更新、すみません・・・)
一部を除いて写真撮影OKの展覧会だったので、お気に入りのものを中心に写真レポートします。

                ♣︎

資生堂はじめコスメのパッケージデザインがとにかく素敵でした。あと、撮影NGでしたが、プラトン社の雑誌『女性』『苦楽』の特集展示も。他にもパッケージや広告を中心に、かわいいデザインがたくさん。大正・昭和レトロ好きにおすすめの展覧会です。レトロブームの影響か、シルバー世代だけでなく、20代くらいの若者の姿も多かったです。

会場前のショーウィンドウのディスプレイ。
展覧会のコンセプトを詰め合わせた感じで素敵。


★明治時代のお化粧品

イントロダクションとして、明治時代の化粧品や石鹸などのパッケージ、広告などが展示されていました。パッケージは和風な漢字ひらがなのデザインが、まだまだ多かったようです。

明治時代の広告。まだまだ日本髪に着物の時代。
化粧水のビンなどの展示。ピンボケ気味で申し訳ないです。


★乙女の暮らし

当時の乙女の暮らしがうかがえるこんな展示も。

「束髪の勧め」


双六のマスが「手芸を習う」「家事経済」「嫁入支度」など、当時の女性・結婚観がうかがえます。


当時の生理用品(サニタリーショーツみたいなもの)の広告。
ヴィクトリアンやアール・ヌーヴォー風なパッケージ缶も展示されています。


★大正〜昭和初期のモダンコスメ

大正時代になると、西洋化が進んでガラッと雰囲気が変わります。現在の日本のプロダクトデザインの原点。

紙白粉はどれも現行品で使えそうなデザイン。
左側上から2つめ、3つめの女性の絵のデザインは、山名文夫のようです。
思わず欲しくなるデザイン。


リップバームサイズが可愛いです。


★憧れの資生堂


こんな石鹸や歯磨き粉、薬局に売ってたら買ってしまいそうです。
ヴィクトリアンな雰囲気。
パッケージデザインがとにかく秀逸。
まるでクッキー缶のような石鹸箱


有名な「オイデルミン」「七色粉白粉」も。

                 ♡

資生堂の他にも幾つかのメーカーの特集コーナーがあり、中山太陽堂(現・クラブコスメチックス)のコーナーもありましたが、写真はNGでした。商品パッケージもさることながら、広告ポスターや当時のディスプレイ棚など、とても可愛かったです。他にも桃谷順天館(こちらは写真OK)、レート化粧品ヘチマコロンなどなど、数えきれないほど沢山!! お化粧品だけでもずっと眺めていられそうです。

桃谷順天館の美顔水など。


★モダンガール

百貨店の広報誌や、ノベルティ、包装など。
もちろん杉浦非水三越も。
中原淳一蕗谷虹児らによるレコードのジャケット。
竹製のレコード針や、針の缶パッケージの展示もありました。(←こちらも可愛い)
マッチラベル。
喫茶店、カフェー、宝塚少女歌劇など。
ここにも資生堂デザイン。
これもマッチラベルのコーナーでしたが、右から4つは紙せっけんの缶のようです。
ふと、マジョルカマジョリカの限定品で、こんな本みたいなのがあったのを思い出しました。


★魅惑のパッケージ <石鹸・タバコ・お菓子・飲み物>

個人的に石鹸箱のデザインを見るのが好きです。
昔は贈答品にもよく使われたとか。洗剤のギフトセットみたいな感覚でしょうか。



専売局(=現在のJT)のタバコたち。杉浦非水デザインのパッケージも。


森永のお菓子。復刻したら人気が出そうなものばかり。
夢のあるお菓子のデザイン。
戦争が影を落とす以前のものは、どれも素敵です。


東郷青児のカルピスのポスターがおしゃれ。


★雑誌、広告、チラシなど

戦前の少女・婦人雑誌。
高畠華宵東郷青児などによる表紙画がロマンチック。


『滑稽新聞』初めて知ったのですが、なかなかブラックで面白い。。。(笑)
展示されていたのは、まだ穏やかな方みたいです。


イラストがかわいい薬の広告3つ。
私のお気に入りの絵は一番下の「猫イラズ」ですが、これは劇薬指定の殺鼠剤・・・!
もうちょっと注意喚起したほうが良さそうな気もします💦
カフェーとかキャバレーとか💋


★展示解説コーナー&動画

⬆︎展示室の入口に、鑑賞のポイントのパネルがあります。
こちらをチェックしてから見ると、展示をより楽しめます。
小型の蓄音機も♬
機械製品の展示はこれだけだったと思います。

                 ♠︎

展覧会の様子は、写真NGのものも含め、大阪くらしの今昔館のYouTube動画にて、詳しく解説されています。惜しくも行けない方、会期を逃してしまった方は、ぜひこちらでお楽しみください。


★講演会「レトロ・ロマン・モダンを語る」


鑑賞後に、展覧会の協力企業(クラブコスメチックス桃谷順天館)の広報の方と、監修・出品者のコレクターの方による講演会に参加しました。
企業の歴史や商品のことだけでなく、当時の女性たちの暮らしぶりについて色々と知ることができ、興味深かったです。資料として、何と美顔水とクラブ美身クリーム(しかも『コスメの王様』コラボの限定バージョン)の現品のお土産付き。さすが大阪、太っ腹だと思いました😁

コレクターの方は、レトロ図案の本を幾つか出版している佐野宏明さんという方で、展覧会には約1200点出品されています。オタク目線(笑)の突っ込んだお話もあって、こちらも興味深かったです。引札や宣伝うちわなど、今では殆ど見ないものや、「大大阪」と呼ばれた当時の大阪の企業のパワーについても解説があり、なかなかためになりました。(展示されているのも確かに大阪の企業多し) 鑑賞のポイントとして話されていた内容は、展覧会入口のパネルにも掲示されているので、行かれる方は是非チェックしてみてください。

後日、佐野さんの『浪漫図案』を図書館で借りて読みましたが、品目ごとにまとめられていて分かりやすく、掲載されている商品や会社、時代背景についての解説も詳しく掲載されていて勉強になりました。発売順の年表もデザインの変遷が分かって面白かったです。ミュージアムショップで立ち読みした『モダン図案』には、コスメのパッケージや広告がこれでもかと載っていて、こちらもとても良さげでした。

今でも触れられるレトロモダンデザイン。


<感想まとめ> (10/9追記)


大正ロマン・昭和モダンなレトロでお洒落で可愛くてキッチュなデザインだけでなく、西洋の影響が日本に広がってゆく流れを体感でき、とても面白かったです。紹介したもの以外にも、文房具や市販薬(中将湯、仁丹、奇応丸、今治水などの民間薬やシッカロールなど)など、当時の暮らし全般を感じることができました。広告の文や雑誌記事、双六の目などから、当時の価値観・女性観などがうっすら見えるのも興味深かったです。勢いのあるデザインからは、大大阪や、大正浪漫の時代のパワーも感じることができました。(英米だと"Roaring 20's"(狂熱の20年代)と呼ばれたあの時代です)

今でもあるものの当時の姿や、今ではなくなってしまったものの貴重な展示などを通して、明治・大正・昭和初期の文化・風俗史の勉強にもなる、とても良い展覧会でした。

                ♢

<おまけ> 大大阪の夜景

大阪市中央公会堂
夜の大大阪


最後までお読みいただき、ありがとうございました!

(*10/9編集済:写真を数枚変更と、まとめ追記しました。)


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