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トレーナーにピリオダイゼーションはいらない

トレーニングの考え方の一つで、

「ピリオダイゼーション」

というものがあります。

例えば1年後にオリンピック選考会があるアスリートだとすると、

その1年後の選考会にベストコンディションで望めるように、どのような手順でトレーニングを進めていくかを決めます。

まずはざっくり準備期間(10ヶ月)と試合期間(2ヶ月)を分けます。

そこから準備期間を「怪我や疲労の回復期」「筋肉量増量期」「筋力増加期」「パワー期」など、さらに細かく区切ります。

そこからさらに月、週、日のトレーニングプログラムを作成し、一年後に向けて「今日やるべきこと」まで決めていきます。

このような

「最終ゴール(=1年後の選考会)から逆算して、コンディション作りを計画していくこと」

「ピリオダイゼーション」と良います。

ビジネスでも使う「逆算」の考えと同じイメージです。

その場の思いつきで練習をするのではなく、計画的に練習を進めた方が良いに決まってますからね。

けれども、僕の仕事では

「急に明日が選考会だと言われても、試合できる状態」

も重要だと考えます。

毎日が本番

僕らのように日々現場での仕事があると、

「毎日がベストコンディション」

である必要があります。

「三ヶ月後にベストパフォーマンスを出すパーソナルトレーナー」

は嫌ですよね。

そのため、いつでも力を発揮できる状態が理想と言えます。

ウォーミングアップなしでも試合できるかどうか、です。

そういうことを考えると、

「仕事の時間だけ頑張ろう」

という考えは、逆に疲れます。

それよりも、自宅での生活から日常での考え方まですべてを仕事とつなげた方が楽です。

例えば、

家庭ではイライラすることが多いのに、お客様の前ではニコニコする

というのは、できるかどうかは別にしてすごく疲れますよね。

それよりも日常からイライラが減るような自宅環境であったり、家族との良い関係を気付いていた方が、自然と良いメンタルがつくられ、お客様の前でも無理なく気持ちの良い接客ができます。

活躍されてる経営者の皆さんが家族を大事にするのも、ここが崩れたらすべてが崩れるのを分かっているからだと思います。

もう一つの例として、お客様に栄養指導をするのに自分自身はカップラーメン、お菓子、酒浸りの生活では、栄養指導の際に毎回予習して、頭で考えて指導する。

これは疲れますし、説得力もありません。

それよりも自分自身も毎日お客様に指導するような食事内容にしておけば、お客様に急に栄養のことを聞かれてもパッと答えられます。

生活から変えることを手間だと感じる方もいますし、仕事の時間だけ頑張れば良いという考えの方も当然いると思いますが、

僕自身は生活も仕事も全部つなげた方が楽です。

だからこそどの時間が仕事でどの時間がプライベートなのか、今でもよくわかりません。

準備できていないくてもいけるかどうか

僕自身は性格的に「事前準備をしっかりしたい」タイプですが、

どれだけ準備をしても、予期せぬことはおきます。

そのため「予期せぬことが起きる」ことも事前に頭に入れておきます。

例えば、セミナー講師で呼ばれた際も、急にスライドが移らなくなったりマイクの音が切れることはよくあります。

その時にスライドなしでも2時間しゃべるかどうか。マイクなしでも2時間しゃべりきれるかどうか。

こういう「予期せぬ事態の対応」にも対応できる状態でいたいと思っています。


以前、参加者としてセミナーに参加した際に講師が諸事情で当日会場に来れなくなったケースがありました。

参加料は返金が決まり、参加者も帰路につこうとなった時に、

その講師の友人である方が参加者としてたまたま会場にいて、

「僕が同じテーマで2時間話すので、聞きたい方は会場に残って聞いてください」

と提案して、急遽2時間の無料セミナーが始まったのです。

そのセミナーの内容がとても素晴らしく、そして急にもかかわらず2時間セミナーをした代行の講師の方に非常に感銘を受けました。

当然この代行講師の方の評価も、業界で上がりました。

日頃からこういう意識で生活、仕事をされていないと急にセミナーなんかできないですよね。

セミナーのために一ヶ月前から資料作成して、準備して・・・ももちろん素晴らしいですが、

その場でパッとセミナーができる状態にしておくことの意味も体感しました。


必要なものを買い出し、下ごしらえをして、フルコースつくれる料理人もすごいし、冷蔵庫の残り物でベストパフォーマンスを出せる料理人もすごいです。


「計画的に準備して最高の状態に近づける」考えももちろん必要ですが、

「いつも最高の状態に仕上げておく」考えも僕は必要だと思っています。


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