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スタートアップにおける管理部メンバーの役割と市場価値 〜経理編〜

最近スタートアップの支援をする中で「管理部門の目標設定が難しい」という声を耳にする機会が増えてきたので、折角なので一度纏めてみようかなと思いました。

前提として、上場企業や大企業ではなく、スタートアップ企業を想定して書いていることにご注意ください。また年収相場は筆者がこれまで転職市場で見聞きした実体験に基づくものではありますが、何ら保証するものではございませんのであくまで参考値としてご覧くださいmm

早速結論の図から載せてしまいます。走り書きかつ簡易に纏めたのでちょっと荒っぽいですが、大体網羅できているかなと思います。年収相場に関しては、業界・業種毎の相場、企業規模やステージ、会社の資金(調達)状況、経営者の利益の分配方針によって異なりますので、私の主観値である点、改めてご承知おきください。

経理メンバーの役割、業務レベル及び年収相場例

図:経理メンバーの年収相場(例)

経理の場合、専門家としてスキルアップしていくことも勿論悪くないのですが、待遇面の改善を図りたい場合はマネジメントの要素は避けられないと思います。理由としては、以下2点です。

①スキル面だけで言えば会計士や税理士に及ばないケースが多い
②スキル面だけを考えるとアウトソースした方が早い

エンジニアやデザイナーのようにマネジメント抜きにプロフェッショナルを目指す道があれば良いのですが、そのポジションを目指そうとすると外部の会計士や税理士と争うことになり市場価値を上げるのは至難の業です。体感値としても、経理のメンバー層は経験豊かなリーダーでも800万円前後(稀に900万円位の方もいらっしゃいますが)が上限に近いかなという印象です。では社内のメンバーの立場からどうやって市場価値を上げていけば良いかといえば、

  • A) 業務の一定知識を身に付けた後はマネジメントの道へ進む

  • B) 現場のリーダーとして課題解決業務に勤しむ

  • C) 経理以外の業務(労務や法務など)も学び、複線的にキャリアを積む

という方法が主になって来るかなと思います。やはりマネジメントに近い業務になるほど社内では評価されやすく、A>B>C の順で年収は上がりやすいように思います。

CFOは経理の延長にはいないので注意

よくある間違いとして(恥ずかしながら筆者も若い頃は勘違いしていました)、経理メンバーからCFOになるのはレアケースなのでご注意ください。一般に、経理メンバー/マネジメント層に求められるスキルと、CFOに求められるスキルは以下のように異なります。

経理メンバー/マネジメント層に共通して求められるスキル例
・会計、税務に関する知識と経験量
・決算数値の正確性、迅速性、期限遵守
・監査法人や税理士、税務署等とのコミュニケーション力
・経理に関する業務ツールの選定、導入
(実感値として事務、社内交渉が多いイメージ)

CFOに求められるスキル例
・外部投資家、株主を含むステークホルダーへの説明力、資料の明快さ
・経営/事業に必要な資金を調達する能力、交渉力、営業力、責任感
・海外投資家もターゲットにする場合は英語力
・投資の要否判断、投資のリターン検討/検証
(実感値としては営業、対外交渉が多いイメージ)

ではどうやって経理の立場からCFOを目指すか?といえば、一度経理部門で経験を積んだ後に経理を離れ、経営企画部門だったり投資部門へ異動または転職されるのが良いかと思います。CFOは経営に近い立場ですので、CFOになるには経営に近い業務に携わるのが一番早く到達できる道です。経理・経営企画等を学んだ後はマネジメントを経験してできるだけ早く昇進されるのが良いかと思います(創業者/経営陣との相性も大切なので、本人の努力を除くと会社選びが実は一番大切です)。最近は投資銀行出身者がCFOになるケースが多いですが、事業会社出身の経理の方でも正しくキャリアを積めばCFOになれると思いますので、是非頑張っていただきたいです。

メンバー〜リーダーに求められるスキルは会社により異なる


あともう1つの注意点として、上記の図で記載した業務レベルはあくまで一例でして、会社によって求められるスキルは異なります。必要な経理処理の内容によって役割ごとの難易度であったり、社内評価(転職時評価)も変わってきますのでご注意ください。

経理処理の難易度を上げる要因の一例
・在庫の有無(棚卸の難易度up)
・製品製造の有無(製造原価計算の難易度up)
・海外取引の有無(税務面の難易度up)
・複数事業の有無(管理会計、セグメント計算の難易度up)
・etc.

おわりに(弊社の紹介兼ねて)


私自身が経理出身でいつかCFOを目指す!と志していたこともあり、若い頃今の自分に出会いたかったなと思うのですが(笑)、今経理部門でキャリアに悩まれている方や、経理部門をどう作っていけば良いのか悩まれている人事や経営層の方にお役に立てば幸いです。こういう情報をnoteに纏めてほしい!というものがありましたら、コメントやDMをいただけたらと思います。労務や総務、法務部門についてもニーズがあればいつか纏めてみようかなと思っていたりはします。

なお私が創業した株式会社plumではIPOコンサルティング(IPO準備支援)や経理業務の支援・経理の組織づくりだけでなく、資金調達支援や人事制度の立案/運営支援などコーポレート領域に関わる業務についてのサポートを行っております。スタートアップから上場企業まで幅広くサポート実績ございますので、お仕事のご相談がございましたら原田までご相談ください。

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