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【フェアリーで働く人たち #01】LINKLETにおけるプロダクトマネジメント

みなさんこんにちは!

さっそくですが、私たちフェアリーデバイセズは「現場業務のDX(Digital Transformation)を支援する」ためのプラットフォームやハードウェアを作り続けております。しかし…「具体的にどんなものを作っているの?」「何をしているの?」と思われている方は多いかもしれません。

そこで今回はそういった疑問をクリアにすべく、首掛け型ウェアラブルデバイス「THINKLET®(シンクレット)」と、そのソフトウェアである「LINKLET®(リンクレット)」のプロダクトオーナー(PO)の関喜史と、プロダクトマネージャー(PM)の加藤綾乃が登場。

前職まではWEBを主戦場にサービス開発をしていた彼らですが、なぜフェアリーデバイセズでハードウェア開発に挑もうと思ったのか?そこで得た「面白さ」「難しさ」は?さっそくインタビューしました。


1. 「現場業務のDXを支援する」ために生まれた、首掛け型ウェアラブルデバイスの正体

──まずは、加藤さんと関さんがフェアリーデバイセズへ入社したきっかけを伺いたいです。

加藤:私は、前職では PM として WEB ディレクションやアプリ開発をしていました。フェアリーデバイセズのことはぜんぜん知らなかったのですが、すでに働いていた前職の同僚から話を聞く機会があり、興味を持ち始めました。ちょうど AI 技術が盛り上がり始めていて「 AI を活かした音声認識って面白そうだな」と思うようになり、入社を決めました。現在は、首掛け型ウェアラブルデバイス「THINKLET」と、そのソフトウェアである「LINKLET」のPMをしています。

関:私は以前までグノシーという会社の共同創業者をしていました。当時は機械学習を活用したプロダクト開発や研究開発をしていて「今後のキャリアでもそういったことを引き続きやりたいな」と考えていたところ、フェアリーデバイセズに出会ったのです。フェアリーデバイセズには研究部署があり、それらを事業に活かすための取り組みがしっかり行われていました。何より、THINKLET がかっこよかったので、この開発に関われたら楽しいだろうと考え、入社しました。

──フェアリーデバイセズでは「現場業務のDXを支援する」として、最先端技術を活用したデバイス開発を行なっています。具体的には、どんなことをしているのでしょうか?

関:シンプルにお伝えしますと、我々は現場業務の遠隔作業支援を目的に THINKLET と LINKLET、そして機械の耳となるテクノロジースタック mimi を開発しています。

THINKLET
首掛け型ウェアラブルデバイス。先端にカメラがあり、作業者の目線で映像を映すことができる。また首元にあるマイクは集音性の高い技術を採用している。

LINKLET
THINKLETを用いた遠隔支援サービス。THINKLET装着者視点の映像と音声をZoomやMicrosoft Teamsといったオンライン会議システムに接続し、装着者と遠隔支援者でのコミュニケーションを可能とする。

mimi
エッジAIと多言語に対応したクラウドAIで構成された、機械の「耳」になるテクノロジースタック。組み合わせ次第で高性能な音声インターフェースを構築できる。


首掛け型ウェアラブルデバイス THINKLET 用いたサービスである LINKLET のランディングページ

関:今回特にお話ししたいのは、僕と加藤さんが深く関わっている LINKLET です。例えば、このサービスが内蔵されている THINKLET を現場に不慣れな若手作業員が使用することで、熟練作業員がリアルタイムで送られてくる画像などを通じて状況を把握し、指示を出して作業にあたるといったことを可能にします。まさに、二人羽織のような感覚で現場作業に取り組めるようになるわけです。

加藤:最大の特徴は「現場で簡単にすぐ使い始められること」です。多くのサービスでは、実際に操作するまでに複雑な操作への習熟が必要なことが多いです。LINKLET は THINKLET を起動すると Zoom や Teams のようなすでに社内で使われているオンライン会議システムにすぐ接続して利用することができます。

2. 遠隔支援できることで生まれた、さまざまな事例

──「二人羽織のような感覚で現場作業に取り組める」ということは、メンテナンスのような業務が発生する企業がターゲットになるのでしょうか?

加藤:そうですね。例えば下記で紹介しているヤンマー様の事例があります。

この記事では、南極・昭和基地における発電機のメンテナンスでLINKLETをどのように活用しているか記載いただいています。詳しくはぜひ記事を読んでいただきたいのですが、現地へ赴く隊員の数が限られている南極においてスムーズに作業ができるよう、LINKLET で現地と基地をつなぎ、熟練の隊員がサポートしています。

関:ダイキン工業様も LINKLET や THINKLET を活用してくださっている会社の一つです。具体的な取り組みの詳細は以下のリンクをご覧ください。

ただ、僕らも驚いたことではありますが、LINKLETはメンテナンス業務の効率化以外での事例も多いのです。

──というと?

関:ひとくちに「遠隔支援」といえど、お客さまの家と工場、本部と支部、日本と海外、本島と離島など、つなぐ場所によってさまざまな事例が生まれています。例えば昨年私たちはデジタル庁が推進する技術実証に採択されました。

現在、デジタル庁は技術を活用して1万ほどあるアナログ規制の見直しを進めています。私たちはその一環として LINKLET を用いて現場に行かず遠隔から監視・検査で代替することが可能かの検証を行っています。

このように、遠隔支援はお客さまによってさまざまな使い方が生まれる面白さがあります。一方で、いろいろな使い方があるということは LINKLET の機能開発において「このタイプのお客さまにはこの機能が必要」「しかし、それはほかのお客さまも必要としているのか?」といったやりとりが常に発生するということ。個社向け開発のようなことをし続けるわけにはいかないものの、お客さまの要望にどう応えるかは、LINKLET ならではの難しさであり、醍醐味でもあります。


CPO であり LINKLET の PO を務める 関 喜史

3. 「ソフトウェアからハードウェアまで、すべてを自分たちで作り上げる会社は多くない」

──関さんはフェアリーデバイセズのCPOでありPO、加藤さんはPMです。開発ではどういった役割分担になっているんでしょうか?

関:先ほどお話ししたとおり、LINKLET はお客さまや営業サイドなどさまざまなステークホルダーがいるため、開発の優先順位は常に話し合いながら決めていくことになります。ただ、当然ながらステークホルダーから寄せられる声をすべて LINKLET に落とし込むことはできません。そのため、PO である僕が各所から要望をヒアリングしつつ「どう作るべきか」「優先順位をどうするか」を調整します。それを経て、PM である加藤さんとディスカッションして開発がスタート。何を作るか、どう作るかはすべて加藤さんにお任せしていますね。

加藤:おっしゃるとおり、大枠を決めるのは PO である関さん、細々としたところを決めるのが PM である私という役割分担です。開発が始まれば、私は PM としてリソース・リリース管理を行います。

──どんな開発体制になっているんですか?

加藤:THINKLET に搭載するアプリ開発を行う人、フロントエンド開発(操作画面などの見た目やAPIとの連携)を行う人、バックエンド開発(API 実装など)を行う人、機能テストを行う人など、ファンクションごとに分かれて開発を進めています。最初にざっくりとした落とし込み案を私の方で作成し、それをもとに各ファンクションのメンバーが「バックエンドではこんな設計・実装になりそう」「操作感や見た目はもうちょっとこうした方がいいんじゃないか」などそれぞれ走り出していくイメージですね。

──加藤さんは以前まで WEB ディレクションやアプリ開発をしていたと話していました。フェアリーデバイセズでの仕事では、何か違いを感じるところはありますか?

加藤:基本的には前職と同じ仕事の流れです。ただ、LINKLET は、ハードウェアである THINKLET へ「こういう動きをしてね」と指示を出したり、データを吸い上げたり、連携を図るような機能が多いです。なので大きく違うのは、開発を進める中で「この要件を THINKLET で実現できるかどうか」という観点が入ってくることですね。Web 側の操作性や見た目だけを考えるのではなく「それによって THINKLET 側のソフトウェアはどうなるのか」を含めて、仕組みを考えなければならないんですよね。私自身、こういった開発の経験がなかったので大変ではありますが、その分、面白さも感じているんです。

──どのあたりに、開発の面白さを感じていますか?

加藤:フェアリーデバイセズは自社サービスとして LINKLET を開発しています。LINKLET では自分たちで製造した THINKLET を用いて全てまるっと自分たちで作り上げていくので、そこがやはり面白いですね!ハードに載るソフトウェアもバックエンドもフロントエンドも、全部自分たちでやり切るという会社は、そんなに多くないと思います。もちろん大変なんですけれども、その分、楽しさがありますね(笑)。

PM 加藤 綾乃

4. 「技術の面白さ」「開発のややこしさ」を楽しめる人は相性がいい現場

──フェアリーデバイセズを楽しめる人って、どんな人だと思いますか?

関:技術の面白さとややこしさの両方を楽しめる人は、フェアリーデバイセズと相性がいいと思います。当初、LINKLET は「遠隔支援サービスとしてこんな機能があると良いのでは」という考えをもとにリリースしました。今も検証を重ねているところなので「これが正解」と言えるものがまだないんです。そのおかげで実験に挑むような気持ちの人が多く、今でも「LINKLET や THINKLET でこんなことができるのでは?」「やっていたらできた!」というやりとりも社内で発生していたりします(笑)。技術的な難易度が高い課題を解くことに興味がある人は、楽しめるような気がします。

加藤:同感です。LINKLET の仮説検証を重ねてきた結果、ちょうど今「機能としてこういう使い勝手にすると良い」というものが見え始めてきたんですよね。今後、さらに開発の面白さは加速すると思っています!また、LINKLET はお客さまによって使い方が異なるので、それぞれの要望を鑑みつつ開発を進めなければならないところもあります。そういった環境をストレスに感じない人も相性がいいと思います。

──これから、LINKLET をどうしていきたいと考えていますか?

関:会社として中長期的に狙いたいのは、LINKLET によって現場の作業員によるデータを蓄積し、もっと深いところで支援できるようにすることです。これからの日本では、熟練工と呼ばれる方々が一気に定年退職してしまうことで、培われたノウハウが失われるかもしれない状況にあります。そこで、遠隔支援を通じて彼らのデータを保存し、活用できるようにする。LINKLET は、そのためのサービスでもあるのです。

ところが、我々がここ1年で学んだことの1つに「今の日本では常時接続された状態での遠隔支援が必要な現場はそれほど多くない」ということがあります。日本の熟練作業員はみなさんとても優秀なので、常時遠隔支援されなければならないケースはそこまで多くないのです。遠隔支援が必要なケースでも、短時間の通信で問題が解決することが多く、それを受けて短時間の利用にもフレキシブルに対応できる、リーズナブルな利用プランも設計をしました。
ただ、少子高齢化がさらに進む社会において、これからの現場を支えるのは若手・外国人・引退後のリスキリング者等の非熟練者に加速的にシフトしていきます。この先、常時遠隔支援やAI支援が必要になるタイミングが遠からず来ます。そのとき、サービスの価値をどう出すか、その価値をどう感じてもらうと良いのか。このあたりは、引き続き取り組んでいきます。

──加藤さんはどうですか?

加藤:先ほど話したように、LINKLET は仮説検証を積み上げてきて、ようやくお客さまにとっていいものを出せるようになってきたと感じているところです。今後は、縦(LINKLET ならではの強み)と横(競合サービスにもある機能)を増やし、LINKLET というサービスの魅力を高めたいですね。それに加えて、開発チームもどんどん強くし、開発サイクルを良くできたらと思っています。

関:加藤さんが話した通り、LINKLET は1年前に比べてかなり良くなってきています。開発体制として、チームとして、もっと良い開発ができるようにしたいですね。

Fairy Devicesに興味を持っていただいた方は是非以下のページをご覧ください。


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