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プレゼンティーズムによる生産性低下の要因

前回掲載した「プレゼンティーズムと健康経営」が好評でしたのでプレゼンティーズムについて第2回を発信します。前回は「プレゼンティーズムとは何か?」にフォーカスしましたが、今回はプレゼンティーズムに関連する疾患にはどのようなものがあるかご紹介します。

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プレゼンティーズムの振り返り

まずはプレゼンティーズムとは何かを振り返ります。
プレゼンティーズムとは「健康の問題を抱えつつも仕事(業務)を行っている状態」のことを意味します。プレゼンティーズムが生じると従業員は健康の問題を抱えつつ働くことになるため生産性の低下を招いてしまいます。このプレゼンティーズムを要因とする損失は日本全体で年間19.2兆円とされています。

プレゼンティーズムに関する研究

近年、プレゼンティーズムに関する研究が非常に活発になっており、様々な疾患がプレゼンティーズムに影響を与えていることが分かってきました。
これまでの研究では、特定の疾患の専門家がその疾患とプレゼンティーズムとの関係性を明らかにした研究している状況であり、各種疾患がプレゼンティーズムに与える影響の大小については結論付けられていません。

より包括的な研究が待たれる状態ではありますが、今回はプレゼンティーズム損失による生産性損失の要因となる代表的な疾患について簡単に紹介します。

代表的な疾患

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①片頭痛
Stewartらが片頭痛による生産性低下について研究し、頭痛日数が多いほど生産損失時間が多くなることを発見しました。また頭痛日数が多い労働者ほどフルタイムで雇用される割合が減少していると示されています。米国で2000世帯を対象に実施された調査においては、片頭痛の罹患者は女性で18.2%、男性で6.5%でした。そして、片頭痛の罹患者のうち31%が3か月間に片頭痛のために1日以上仕事を休み、また51%の罹患者の生産性が、少なくとも50%低下したと確認されています。

②うつ病
うつ病とプレゼンティーズムによる生産性の低下との関連を示す研究は多々あります。例えばStewartらによるうつ病社員を対象とした調査では、アメリカでは1週間で1人当たり8.4時間の生産性損失が発生しているとされています。年間50週の勤務で換算すると420時間の損失となります。また、WHOのHPQを使用して世界8ヵ国でそれぞれ1000名を対象としておこなわれた研究によると、どの国でも欠勤よりもプレゼンティーズムによる損失の方が大きいという結果がでています。

③アレルギー性鼻炎(花粉症など)
スウェーデンで実施された研究ではプレゼンティーズムによる生産性低下は平均して22%とされています。また、英国で実施された調査では生産性が50%以上低下した割合は軽度の症状群で12.2%、中等度・高度の群で32.8%にものぼりました。

④過敏性腸症候群
炎症や潰瘍がないのに、お腹の痛みや不快感に下痢や便秘を伴う症状が続く症状です。米国の大手銀行に勤務する1776人を対象に調査を実施した結果、過敏性腸症候群の社員はそうでない社員に比べて生産性が15%低いと結果がでています。

⑤関節リウマチ、関節炎
オランダやカナダで複数の測定方法で関節リウマチや関節炎を有する労働者を対象としたプレゼンティーズムによる生産性低下の調査が行われました。その結果、いづれの測定方法でもプレゼンティーズムによる生産性低下の兆候が発見されています。

⑥糖尿病
アメリカで糖尿病を有する労働者のプレゼンティーズムによる生産性低下の研究が実施されています。その結果、生産性損失割合は1.9%~21.8%と大きな開きがありましたが平均すると11.4%となっています。年齢や性別、合併症の有無などにより結果が別れたとされており、その他の研究も行われています。

⑦メタボリックシンドローム
米国にある大手製造業の従業員4188人を対象とした調査です。メタボリックシンドロームは血圧、BMI、空腹時血糖、HDLコレステロール、中性脂肪の5つのリスク要因のうちいづれか3つ以上ある場合と定義されました。これらのリスク要因の数が増えるごとにプレゼンティーズムの頻度が増加したという結果になりました

⑧腰痛
日本人を対象としたインターネット調査で腰痛の程度を軽度、中等度、高度の3つ分類し調査しました。それぞれの生産性の低下は17.8%、27.6%、42.9%となっており腰痛の症状が悪化するほど生産性低下が大きいと分かりました。

⑨睡眠不足
経済協力開発機構(OECD)の調査によれば、日本人の平均睡眠時間は主要先進国の中で最も低い7時間22分となっています。慢性的な睡眠不足は労働生産性を下げる要因になっており、年間15兆円の経済損失を招いていると試算されています。

以上、代表的な9つの例をあげましたが他にも”ガン”、”皮膚科疾患”、”高血圧”、”気管支喘息”、そして広い意味で”体調不良”なども生産性低下につばがるという研究があります。

まとめ

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プレゼンティーズムに関する研究は多々あり、今後もどのような症状がプレゼンティーズムによる生産性損失に影響するかという研究は増えていくでしょう。しかし、研究者ではなく現場の企業サイドで考えるとまずは自社のプレゼンティーズムの状態がどうなっているかを把握することが大事なのではないでしょうか。従業員1人1人や組織によってもプレゼンティーズムにより生産性低下が発生する要因はバラバラです。そのため、まずは状況を把握し自社にとって効果の高い施策(ボトムを引き上げるか、大多数に効果のある施策など)を検討する必要があるのです。そして、施策改善のPDCAサイクルを回していくためには、プレゼンティーズムを定期的に測定することが大切です。

東大1項目版質問

プレゼンティーズムの測定については前回も説明しましたが、当社では日本人に適した「東大1項目版」を用いることを推奨しています。この東大1項目版は質問数が少なく頻度の多いパルスサーベイでも従業員の負担が少ないというメリットもあるためプレゼンティーズム改善のPDCAを回すために最適です。※「東大1項目版」でプレゼンティーズムを測定するサーベイはこちら

以上、「プレゼンティーズムによる生産性低下の要因」いかがだったでしょうか?弊社では健康経営分野にご興味のある方とぜひ一緒に勉強していきたく、各種のオンラインセミナーを企画、運営しています。皆様とも、ぜひセミナーにてお目にかかれることを楽しみにしています。よろしくお願いします!

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