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思うように行かない国境越え🇺🇸→🇲🇽

前回までの旅…

アメリカでの長い約1ヶ月の旅を終え、小娘とジョブズは次なる国、メキシコへと向かうこととなった。アメリカではニューヨーク州、カリフォルニア州、ネバダ州、ユタ州、アリゾナ州の5つの州を回ったのだが、カリフォルニアの緑や青の大自然と、ユタ・アリゾナ州のオレンジや赤の砂漠の大自然は、同じアメリカとは思えないくらい。どちらも違った美しさがあり、どこも思い出でいっぱいだ。メキシコへの陸路国境越えはなんとも壮絶な戦いとなった。

事前準備

小娘とジョブズは、今回TUFESAというバス会社を利用して、メキシコのヘルモシーロという街まで行くバスを予約した。

メキシコ側の国境付近の街は、薬の輸出などでカルテルとの関わりが強く、治安が悪いと巷では有名らしい。そんな私たちはアメリカのフィネックスで乗車、ノガレスという街で入国、ヘルモシーロで下車という予定を組んだ。理由はもちろん、ノガレスをスルーするため。ただ、これが悪夢の始まりとなることを、私たちはまだ知らない。

陸路国境越え-アメリカサイド-

13:30頃にバスステイションに到着。
もうすでにチケットは購入してあるため、カウンターのお姉さんにこの場所であっているか、国境越えに必要な書類等はあるかと、確認しに行った。すると、お姉さんは居心地悪そうに英語で答えてくれた。時間通りにバスは向かっているから待合室で待つこと、国境越えに必要な書類は何もないとのこと。その返答に、不安になる私たち二人。

そしてもう一つ気になることが…
ここはアメリカだと言うのに、英語のアナウンスが聞こえない。もうすでにスペイン語しか聞こえないのだ。バスが到着した時も、先ほど話したお姉さんは、スペイン語でのみアナウンスをした。その後、私たちにアイコンタクトをして、それがあなたたちのバスだから行きな!って表情をしている。

これは大丈夫なのか?

14:30に予定時刻通り出発して、ツーソン、国境越え、ノガレス、ヘルモシーロの順番で順調にストップしていく。

国境越え

私たちが心配していた国境越えのポイントにやってきた。完全装備の軍人さんたちと麻薬探知犬が、私たちのバスをお迎えしてくれた。乗客が次々と降りて行く。不安気に私たち二人もバスの外へ出た。すると自分たちの荷物が、机の上にきれいに並べられている。自分の荷物の前にみんな立っており、小娘とジョブズもバラバラになって自分の荷物の前に立って待っていた。

こんな完全武装のセキュリティチェック初めてのため、別に変なモノ持っていないけど、やたらに不安になるし、緊張してしまう。そんな小娘の隣に並んでいたのは、両親と同じくらいの年代のメキシコ人の女性だった。小娘がスペイン語を話せないこと、初めてのことでシステムがわかっていないことを悟り、このバス旅中常に目をかけてくれた。

驚くことに、アメリカとの国境だというのに、英語が全く通じない。荷物チェックはガバガバでとても呆気なくて、入国審査は全くなかった。しかし、私たちはパスポートにいつ入国したかがわかるようにスタンプが必要だし、陸路の場合ツーリストカードが必要だと、事前に調べていた。ここでツーリストカードがもらえなくとも、最低限入国スタンプをもらわなければならない。

しかし、私たちが入国スタンプが欲しいと、青いTシャツのおじさんに相談をすると、完全装備の軍人さんやバスの運転手さんに話をしてくれた。結局ここでは入国スタンプはもらえないの一点張りで、次のノガレスの街へそのままバスは出発してしまった。ここで私たちは覚悟を決めて、ヘルモシーロの移民帰化局(通称INM)でツーリストカードを発行してもらうしかないと腹をくくった。

陸路国境越え-メキシコサイド-

あっという間に、次の街ノガレスへ到着してしまった。するとバスの運転手さんが、乗客に何か説明をしている。全てスペイン語で何を言っているのかわからず、ポカーンとしていると、乗客が次々と降りて行くではないか。するとさっきの青いTシャツのおじさんが、私たちに説明をしてくれて、15分間このノガレスのバスステイションで休憩だそうで、全員バスを降りなくてはならないらしい。

バスを降りると、国境越えで隣になった女性が、こっちこっちと手招きをしてくれている。女性の元へ行くと、トイレと軽食が買えるお店の場所を教えてくれた。小娘がスペイン語ゼロなため、全てボディランゲージとアイコンタクトで会話をしてくれた。長旅だったため、トイレに行き、待合室のベンチに座って待っていると、私たちのバスが動き始めるのが見えた。

え?出発してる?

走って追いかけようとすると、待合室に先ほどの女性の姿が見えた。あれ?と女性を見ていると、女性が「まだよ!洗車してるだけよ!」とアイコンタクトと合図を送ってくれた。ホッと胸を撫で下ろす。

しばらくまた待合室のベンチで座って待っていると、女性がこちらを見ながら、「行くわよ!」と合図をしてくれている。それに気がついた小娘は、ジョブズとバスに向かった。無事にノガレスを発ち、ヘルモシーロへバスは向かった。

22:10にヘルモシーロに到着。あの時の青いTシャツのおじさんも、優しい女性もヘルモシーロで下車していた。改めてお礼を伝え、徒歩でairbnbに向かったのだった。


写真はサンミゲルデアジェンデのお花が美しい道🌼
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