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『中平卓馬 火 氾濫』 東京国立近代美術館

写真は比較的好きなほうなのですが、恥ずかしながら中平卓馬のことを全く知りませんでした…。
東京国立近代美術館で企画される程の人なら見とかねばと思い会期終了間近のタイミングで訪問。

東近美で日本人の写真家展て過去にあるのかな?と検索してみたら直近は2010年『鈴木清写真展』でした。常設展でも必ず写真が展示されてるいるので東近美にもかなりのコレクションがあるのでしょうね。

この日は西洋美術館で現代アートを見た後で燃料切れ気味だったので、ついついざーっと見る感じに…。

そんな中、「おっ!」となったのがこちら。

梱包する男 クリスト|アサヒグラフ 1970.6.5号

当時35歳の若き日のクリスト。こんなにイケメンだったんですね。しかも自信に満ち溢れた笑みを浮かべていて、もの凄く魅力的。中平が32歳の時の写真です。
ふたりともイケイケな感じが伝わります。

その他、良かった作品。

ダルちゃん


いきいきとした孔雀

で、ふと思い出したのが昨年、東京都写真美術館でやっていた深瀬昌久の展覧会『深瀬昌久1961-1991』

2023.3.3-6.4@東京都写真美術館

深瀬昌久は1934年生まれで、中平卓馬は1938年生まれ。深瀬のほうが少し年上ですが、ほぼ同世代。

深瀬は1973年に妻の洋子さんが毎朝出勤する姿を取り続け『洋子』として作品を発表。幸せ感満載の写真でした。まー、洋子さんがとても魅力的。

ニューヨーク近代美術館でも展示

1976年には洋子さんと離別するも数々の作品を発表していきますが、どれもかつての幸せな日々を忘れようとするものの、忘れられない、そんな印象を受ける作品群でした。

深瀬はその後、1992年にバーの階段から転落し重度の後遺症でシャッターを切れなくなり介護施設に。2012年に78歳で逝去。

いっぽう中平卓馬は1977年にアルコール中毒で倒れて記憶を失い制作を中断。療養後活動を再開し1983年には新作を発表。その後精力的に2010年まで活動。

晩年の映像が流れてましたが修行僧のように理想の写真を追い求めているように感じました。 
2015年に77歳で逝去。 

ふたりとも若き日の作品は、何と言うか眩しいのですが、歳を重ねるごとに深い奥の方から想いを発してる感じがして圧倒される印象。
「おっ!」から「うっ!」に変化する感じ。

戦前生まれの写真家ならでは(?)のパワフルさを痛感した展覧会でした。

常設では桜だけ見て帰りました…

《小雨降る吉野》 菊池芳文






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