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細部まで決め込んだ「台本」を忠実に再現するのがSALONEのスタイル

SALONEのnoteでは、「イタリアと日本を繋ぐプラットフォーム」を目指し、「イタリアと時差のないリストランテ」をテーマに、料理やサービスを通じて、お客様に何ものにも替えられない時間を提供したいと考えるSALONEグループの過去や今、そして未来を伝えていきます。

ダブルシェフ体制でイタリアと
時差のないリストランテを提供する

日本では、西洋料理の料理人全般をさして「シェフ」と呼ぶこととが多いですが、本来は、フランス語の「chef de cuisine(シェフ・ド・キュイジーヌ)=料理長」で、chefは、「長、頭」を意味します。語源はラテン語の「caput」(頭)にあたり、イタリア語では料理長を「capocuoco(カポクオーコ)」と呼ばれ、capoが頭、cuocoが料理人を意味しています。

冒頭から「シェフ」の語源についてお話ししたのは、SALONEグループでは、料理長であるシェフが2人いる「ダブルシェフ体制」を採用していることを紹介したかったからです。

このダブルシェフ体制は、2007年9月に横浜に「SALONE2007」がオープンした当初から採用しているもので、初代は、SALONEグループ代表の平高行と、統括料理長の樋口敬洋の2人でスタートしました。

SALONE2007は横浜中華街の路地裏にオープンした後、2014年に現在地に移転した。

二人のシェフが厨房に立つことによって、2つの個性が刺激し合い、お互いのアイデンティティを深く理解し、時には熱く自分の主張を相棒に伝えあいながら一つのコースを作っていく。それは、レストランにとって芝居の台本のようなもので、1カ月かけて練りに練った台本を、レストランのなかでスタッフ全員で細かく再現していきます。

8つのチェック項目を経て料理はお客様のもとへ

さらにSALONEグループでは、毎月コースの内容を替え、さらに一部のスペシャリテ(名物料理)以外は、二度と同じ料理を作らないと決めています。そしてそれは、食材の組み合わせの驚き、香りの多層性、噛むたびに変化する食感の変化を感じて頂き、ここでしか味わえない食体験をしていただきたいと考えているからです。

そのために、できる限りのことをしつくしてお客様にお料理を食べていただきたいと思い、コースを次のような順序を経て決めていきます。

①メニュー出し
ここでは、全員で案を出し合います。入社したての若いスタッフや、イタリア帰りの時差のないスタッフの意見を反映していくこともできる。

②メニュー構成ミーティング
全員が出した案をもとに、シェフの二人が中心になって、メニューを選びと構成、コンセプトを決め、試作担当を振り分ける。

③試作、スタッフ間試食
シェフを含め、各自試作をしてシェフと味見をして構成を固める。

④試食会
味覚調整人(社外の方が多い)が22項目にも及ぶ試食チェック項目をもとに試食して改善点を指摘する。
【チェック項目の例】
・提供時の香りや温度
・主素材の旨味、食べごたえ
・副食材の分量バランス
・構成要素お皿の味覚設計のわかりやすさ
・使用する食材の存在意図や効果
・不要な素材の有無

⑤試食会追試
前回指摘受けたことを修正後、再度味覚調整人の試食する。

⑦アッビナメント
サービススタッフ全員で試食。ペアリングのワインを決める。

⑧メニュー説明ミーティング
シェフがレシピをまとめて店舗スタッフに配布し、食材の詳細や料理の背景や構成の説明をしてスタッフの料理への理解を深める。

⑦月初の営業チェック
試食会を通った料理が、しっかりお客様に届いているかを確認するため、味覚調整人が月初のお客様と同じタイミングで試食する。

⑧お客様のボニッシモ(一番おいしい)を知る
必ず、今日食べたお料理で何が一番お好みでしたか?と質問して統計をとる。ボニッシモがつかなかったお皿の原因を追求(味わいのぶれ、量、順番など)お客様のご意見を聞いて微調整(大幅な変更はしない)する。

0.1gまで測れる測りを用意した試食会

さらに、SALONEグループでは、味を決めていく際に「ちょっとしょっぱいね」とか「もう少し塩を利かせた方がいい」というような「ちょっと」や「もう少し」といった曖昧な言葉を使って味を決めていくことはありません。

試作時や通常の営業でも、感覚での作業を排除するため、必ず0.1ℊまで測れる測りを用いて、塩分濃度を全員が0.1g単位まで理解しながら作っていきます。ですので、そのため試食の際には「この塩分濃度は何パーセント?」「塩を0.1ℊ減らそうか」という言葉が飛び交います。

また、店舗ごとに厨房スタッフだけでなく、サービススタッフも含めた全員が完成のコースを試食するのも珍しいことです。「サービススタッフが料理やペアリングの説明をよどみなく答えられて気持ちがいい」というお褒めの言葉をお客様からいただけるのも、試作・試食をグループとして大事にしてきたことの成果だと思っています。

味覚は、とても曖昧なものです。人それぞれによって異なりますし、年代やその日の体調、気候などにも左右されることもあります。

ダブルシェフ体制を採用しているSALONEグループでは、個性ある二人の料理人が存分に力を発揮してもらうためにも即興性のある料理ではなく、塩分濃度を数値として共有し、ひと皿の構成要素に対して細かい設計図・行程表をつくっていきます。さらに食感の変化、香り多層性、組み合わせの驚き、温度、量のバランスを細部まで決め込んだ「台本」を作り、スタッフ一丸となってその台本通りに進めることが重要であると考えています。

イタリアのリストランテをそのままもってくる

SALONEグループは、イタリア・シチリア島にある高級レストラン「bye bye blues」の日本初出店になる「byebyeblues TOKYO」を、11月24日(木)にオープンしました。

今回、業務提携を結び誘致したイタリア・シチリア島パレルモの高級レストラン「bye bye blues」は、ミシュランガイドで10年間1つ星を獲り続けた名店です。

byebyeblues TOKYOでシェフのパトリツィア氏とともに働き、シェフ不在のときに厨房を守ることになるシェフは、bye bye bluseと長く交流を続けてきたSALONEグループのエース・永島義国と、L'ottocentoで最後のシェフを務めた渡辺政彦です。二人は9月末にシチリアに渡り、1カ月間にわたってbye bye bluesのキッチンでトレーニングをしてきました。

bye bye bluesをそのまま東京にもってくる――。そのためにできることはすべて行ってきました。

長い時間をかけて信頼と愛情を育んできた、SALONEグループとbye bye bluesが実現させたbyebyeblues TOKYOで「イタリアと時差のないリストランテ」の味を楽しんでください。

パレルモで研修するSALONEグループのエース・永島(右)と、L'ottocentoで最後のシェフだった渡辺(左)。byebyebluse TOKYOのダブルシェフを務める。
永島(左)と渡辺(右)

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SALONEグループは、横浜と東京(日比谷、渋谷、南青山、丸の内)、大阪に6店舗を展開するイタリアンレストラングループです。

イタリア各地の郷土料理の真髄を大切にしながら、イタリアの今を伝えるべく、つねに現地の流行や動向をキャッチし、革新を続ける料理とサービスでゲストをお迎えしています。


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