川に落ちた時、兄は水しぶきをあげ、全身に水をかぶった。流れの勢いに驚いたが、しっかりと踏みとどまった。流に少し押されたが流されなかったことが以外であった。衣服が…
無駄にしたながい時間、一生分の焦燥と苛立ち。 努力のないゆめと薔薇色のデッサンだけは続けたのに。 よわい心が敏感なあたまをズタズタにした。 いまだに醜い欲望だけが…
兄と弟は仲が良かった。 毎日遊んだ。ケンカも毎日した。 家では二人だけでいることが多かった。 トランプやカードあらゆるものでケンカになった。 おとうとはいつも兄のそ…
夏の日吉祥寺でその女にあった。 陽気な女であった。 よくしゃべる女であった お酒をたくさん飲む女であった。 色っぽい女であった。 社交的性のある女であった。 僕らは文…
夏目りんたろう
2024年7月21日 08:21
川に落ちた時、兄は水しぶきをあげ、全身に水をかぶった。流れの勢いに驚いたが、しっかりと踏みとどまった。流に少し押されたが流されなかったことが以外であった。衣服が水をあちこちに大量に含んで、水の重さを感じながら踊り場に上がった。川の中から弟が流れにぐいぐい押し流されて行くのが見えたが、踊り場に上がると死角になっていて弟はもう見えなくなっていた。どれだけ弟は離れてしまっているのだろう。不安な気持ちで
2024年6月4日 12:22
無駄にしたながい時間、一生分の焦燥と苛立ち。努力のないゆめと薔薇色のデッサンだけは続けたのに。よわい心が敏感なあたまをズタズタにした。いまだに醜い欲望だけがよわい心を虐げる。たたかわず不戦敗だけが積みかさなる。理由ばかりを考え逃げまわった。戦火の中のこどものように。かつて永遠のこどもであった。成長とともに永遠の青年になった。自分が知るのはそこまで、そこで止まったまま。青くさ
2024年6月2日 10:41
兄と弟は仲が良かった。毎日遊んだ。ケンカも毎日した。家では二人だけでいることが多かった。トランプやカードあらゆるものでケンカになった。おとうとはいつも兄のそばにいた。外に出るとき2人は手を繋いだ。おとうとはまだ2つだった。夏の日ふたりは麦わらをかぶり外に出た。兄は水の流れを見るのが好きだった。澄んだ水が流れるのを見ると孤独が癒された。兄は水遊びをしようと思い用水路へ向かった
2024年5月13日 11:08
夏の日吉祥寺でその女にあった。陽気な女であった。よくしゃべる女であったお酒をたくさん飲む女であった。色っぽい女であった。社交的性のある女であった。僕らは文学の話で盛り上がった。詩が好きな女であった。彼女は僕のことばに大笑いした。『中原中也⁈ なかはらなかや!よ。何も知らないのね!』彼女は中原中也が好きな女であった。僕の戸惑いに女はもう一度なかはらなかや!!と言いい、無学な僕