はっけん


無駄にしたながい時間、一生分の焦燥と苛立ち。
努力のないゆめと薔薇色のデッサンだけは続けたのに。

よわい心が敏感なあたまをズタズタにした。
いまだに醜い欲望だけがよわい心を虐げる。
たたかわず不戦敗だけが積みかさなる。
理由ばかりを考え逃げまわった。
戦火の中のこどものように。

かつて永遠のこどもであった。
成長とともに永遠の青年になった。
自分が知るのはそこまで、そこで止まったまま。
青くさい心のまま、大人の分別さえない。

成長を止めてから鏡はみてない。
自分を映し出すものはすべて遠ざけた。
だれかもわからず生きている。
いつも付きまとうは不思議で不気味なあいつばかり。

そうだ。孤独になろう。
かかわりを断って孤独になろう。
孤独が友だ。
唯一信じられる変わらぬ友。
この友をさけてきた。なぜ。
この友がいるのにみないふり。なぜ。
もっとも身近にいる影がこの友だ。
なぜこの友の性格を知ろうとしなかったのか。
このともはこわ面。
このともはこころを石に変える悪霊
このともはヒーローをも惑わす妖女。
このともはいいやつ。親友になるかもしれない。
こいつと友になれないのは、こいつを避けてきたのは
長年の親友、そうだ臆病がいたから。
臆病のことはイヤなのに離れてくれない、付きまとい。
自分のためにならぬと分かっていても居心地がいい。
あまりに身近すぎてわからない。

孤独になろう。
この恐ろしく、忌まわしく、神秘的なやつ。
最強、最悪なやつ
これを友とすればもう一度生きることができ。
バトンのように人生を遡る。

機嫌をとらなくていい。
嫌われてもいい。
酒で酔わなくていい。
恐る必要もない。
醜いままでよい。
みられずともよい。
時空を乗り越えた最強のともがいれば、
生きることも死ぬことも考える必要もない。
何も望むものはない。
そのままでいい。


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