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キタダヒロヒコ詩歌集

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三重県で詩や短歌、俳句を花びらのように書き散らしてきました。noteマガジンにまとめていきます。ぜひお読みいただけましたら嬉しいです。あなたのどこかに残る言葉がありますように。
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2022年12月の記事一覧

キタダヒロヒコ詩歌集 107 大高

  大高(おほだか) ひむがしの名古屋のはての大高のイオンに来たが屋上へ行く 期待せず屋上に来(き)ぬ 山脈(やまなみ)も海も見えない ただ速い雲 屋上に真向ふビルの或ル部屋の或ル眼差シと目が合つてゐる たひらげし昨夜の牡蠣の殻が裂くひとさしゆびの創(きず)へ西風 鈍色(にびいろ)に海をひからせて近づいて来るゆきぐも、雪こぼしつつ コメントやスキをくださるととても励みになります!

キタダヒロヒコ詩歌集 106 むらさきのきぬ

 ひとつぶの葡萄のやうな まとかにもかたきゐさらひしとやかにつつみてふかきむらさきのきぬ     キタタヒロヒコ (円にも堅きゐさらひ淑やかに包みて深き紫の衣) …漢字変換の一例。 コメントやスキをくださると励みになります~!

キタダヒロヒコ詩歌集 105

星ぼしに洗はれて来し朝刊に星のかをりをひいやり聴かう     キタダヒロヒコ コメントやスキをつけてくださると励みになります!

キタダヒロヒコ詩歌集 104 ほすと

あかあかとほすとほんやりたつてゐるすふぬれになつてまたたつてゐる    キタタヒロヒコ コメントやスキをお待ちしていますね。

キタダヒロヒコ詩歌集 103 こもまくら

こもまくら高橋一三天あふぎ地に祈りたるかたちして投ぐ     キタダヒロヒコ こもまくら(※1)…「高し」にかかる枕詞。 敬虔な投球フォームと哲学的な風貌が好きだった、あこがれの投手の一人。巨人の二軍監督をされていたとき、実際に間近で接する機会に恵まれたのは忘れがたい思い出。もう亡くなってしまったので、最初で最後のお近づきだった。 巨人が好きでないのに、彼だけは別だった。交換トレードで日本ハムに移り、巨人という「野球の都を離れ」(※2)たことで哀愁を感じさせるようになっ

キタダヒロヒコ詩歌集 102 たへかたきひのために

たへかたきひのためにけふすこしてもなにかわかちあつておかないか    キタタヒロヒコ (堪へ難き日のために今日少しでも何か分かちあつておかないか) コメントやスキ、とても励みになります。

キタダヒロヒコ詩歌集 101

50年後のことなんとなく話しつつそれまで生きてゐられるつもり    キタダヒロヒコ コメントやスキ、とても励みになります。

キタダヒロヒコ詩歌集 100

わたしたちはどんな星座に見えてゐる? ベテルギウスにはるか問ふ君     キタダヒロヒコ  今年は優里さんの「ベテルギウス」という曲がヒットしたので、そこからのインスパイア?と思われそうですが、キタダのほうが数年早いです(笑)。それはそうと、ほんとうは近くにあるわけでもないのに、それどころか、もしかしたら光だけを残して実体はもう消え去っているかもしれないのに、はるか彼方のこの角度からだとなんらかの意味のある図形や図像を描いて見える、というのは面白いことですよね。  宇宙のま

キタダヒロヒコ詩歌集 EXTRA 作品への感想をお待ちしています!

こんにちは。いつも読んでくださってありがとうございます。 キタダヒロヒコ詩歌集も99回を数え、とりあえずの節目となる100回目が目前となりました。過去作を中心にしたアップではありますが、ここ数回はできたての新作もまじえています。1日一度は詩歌のことを考える時間をつくっていることで、頭が詩歌モードに入っているのかもしれません。 みなさんからの「スキ」やコメントは、やはり創作や投稿のモチベーションになります。つきましては、キタダ詩歌集のバックナンバーでまだお読みになっていない

キタダヒロヒコ詩歌集 99 2月になったら

梅真白御慕申上ゲ候    キタダヒロヒコ  うめましろ おしたいもうしあげそうろう、と読む。梅は最も好きな花。とりわけ白梅が。 「白梅のあと紅梅の深空あり」という名句の影響も少しあるかもしれない。紅梅よりも白梅の方が開花が早い。きりりと、早春の印象。  ところでわたしは、城跡の中に建つ学校で勤務していたことがある。その城跡の一角に、梅林があった。そのためか、どうしてもわたしは武士と言えば桜よりも梅、白梅を連想する。  城下町の雰囲気を残す町で、登城よろしく坂を毎朝登っ

キタダヒロヒコ詩歌集 98 海辺のダーツ

13年前、海の近くの町でダーツに興じる人々のことを ひらかなばかりの連作短歌に歌ったことがあります。 漢字かな混じりの表記を添えて。 キタタヒロヒコ うはたまのよるのそこひをきりさきのひかりにすさふとはのりはつし (烏羽玉の夜の底ひを切り先の光りに遊ぶ(荒ぶ)鳥羽の(永久の)理髪師) あをやきのいとひくことくきりさきはまとのまとかのしんをうかてり (青柳の糸引く如く(孤独)切り先は的の円の芯を(心を)穿てり) ※「あをやぎの」は枕詞。 くはたててこのきりさきともろとも

キタダヒロヒコ詩歌集 97 ぬえとりの

あの3.11の2ヶ月後に、こんな歌を書いた。 発端は、新聞で読んだ、神宮球場でのプロ野球の試合記事。 もともとナイターの予定だったのが、 節電のためデーゲームに変更されたという試合。 平日のデーゲーム、スタンドもガラガラ。 夕刻、雨雲が来てさすがに暗くなり、照明塔に灯が入ったが、 通常の3分の1の明るさの照明に、ガラガラのスタンド… という、なんとも異様な写真を新聞で見た。 審判団はぎりぎりまで点灯を見合わせていたそうで、 中日・落合監督の「こんな状況では選手が危ない」とい

キタダヒロヒコ詩歌集 95 冬の宇宙に

冬の宇宙に近い気がして。夕方の顔を空へと投げ出しにゆく   キタダヒロヒコ コメントやサポートをお待ちしてますね。

キタダヒロヒコ詩歌集 94 ピアノバーIZUMIのこと

ピアノバーIZUMI 22:40    キタダヒロヒコ ROPPONGIのロゴの下なるタリーズで開演前の時を潰しぬ 何か売る外国人ゆ擦り抜けし半地下にそのバーはありたり 〈本日の出演〉ボードに躍りたる#Sさん#Rさんの名に昂ぶれり あ、ドアの向かふよりJAZZが匂つて来た JAZZもわたしを待ち兼ねてゐた 木のドアを開ければ船長のやうに#Sさんが穏やかに笑つてをりぬ 船長のピアノがわれらを海へ連れ出す 港区の夜の片隅の船出 #Rさんがう