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【書評】『マンガでわかる認知行動療法』


【基本情報】

著者:大野裕
マンガ:さのかける・サイドランチ
出版年:2019年9月11日発行
出版社:池田書店
ページ数:223ページ

【読書のきっかけ】

私は発達障害の特性を持っていて
現在発達障害に関する勉強をしています。

発達障害について
書かれた本やYouTubeの動画で色々勉強する中
「認知行動療法」という単語が出てきました。

認知行動療法が
ストレスを和らげる効果があるということから

何かとストレスを抱えがちな
発達障害の特性にも効果があるかもしれない
と思い、興味を持ったのがきっかけです。

ただ、「認知行動療法」というと
なんだか堅そうなイメージがあり
また、あまり馴染みのない言葉
だったので

『一体どんなものかな?』と
疑問に感じていました。

本書とは
書店でぶらぶら棚を探索している中
偶然目に入ったのが出会いのきっかけでした。

本書はマンガ形式となっており
分かりやすい解説もついているので
初心者もとっつきやすい内容となっています。

【気づいたこと・感じたこと】

①そもそも「認知」って何?

そもそも「認知」とは何でしょうか。

私達は日常生活を送る中
色々な出来事に対して
常に判断しながら生活
しています。

この判断が「認知」です。

認知は自動運転と同じで
私達は常に周りの状況に対し
とっさに判断して行動
しています。

つまり認知とは
次々に起こる状況や情報を
瞬時に判断するこころの働きです。

認知という行動は
日頃無意識で行われているので
中々自覚しないですよね…💦

しかし、認知という行動は
その時々の感情や行動に左右されます。

強いストレスがかかると
無意識に行っている
判断に狂いが生じてしまい

現実に起こっている問題に
そぐわない極端な判断をしてしまいます。

極端な判断は

・気持ちが辛くなる
・不適切な行動を取ってしまう

などマイナスな方向へ
つながってしまう
原因になります。

そこで認知の自動運転を
手動運転に切り替えるのが
「認知行動療法」です。

②認知行動療法の役割

ストレスを感じている状態だと
思考もマイナス気味
になります。

ネガティブ思考に陥ると

さらに悩み落ち込んでしまい
情報をうまく集めることが
できなくなってしまいます。

そこで、少し立ち止まり
今の思考が極端になっていないか
自分の考えを振り返ります。

今、自分に「何」が起こっていて
「何」をすれば良いか
考える手助けをするのが認知行動療法
です。

私自身も色々考えすぎて
思考の渦に呑まれたままになってしまい
身動きできなくなることが度々あります。

また発達障害の特性として
思考が極端な「白黒思考」になりがち
自分を客観視することが苦手です。

マイナス思考で極端に物事を考えると
心がかたくなになり身動きできなくなります。

このかたくなになってしまった心を
解きほぐすのが
認知行動療法の目的なんだな
と思いました。

③認知行動療法の基本

認知行動療法の基本は
以下の4つのステップから成り立っています。

①心と身体の不調のアラームに気づく
②一旦立ち止まり、落ち着いて
現在の問題に目を向ける
③とっさに浮かんだ考えや判断は
現実的に考えて正しいのか
④期待する現実に向かって行動するには
どうしたらいいか考える

色々考え込んでしまう時は
思考が極端になっているだけでなく

自分を守ろうと防衛本能が
働いてしまっている
状態。

大事なのは
極端な思考に囚われたままではなく

一旦立ち止まり落ち着いて
今起こっている現実の問題を
冷静に見つめる
こと。

そして

自分が望んでいる「期待する現実」が
どのくらいまで実現可能なのか
実現に近づくにはどうすればよいか

改めて考えていくことが大切だと感じました。

【まとめ】

本書には
それぞれ悩みを抱え不調をきたしている
3人の人物が登場します。

3人とも当初は不安から生じる
ネガティブ思考ゆえ

自分を責めてしまったり
家に引きこもりがちになったり
していました。

しかし、認知行動療法を行うことで
現在抱えている自分の悩みと向き合い

自身の思い込みや不安などといった
ネガティブな感情や
そこからくる行動を振り返り

新たな行動を実践するうちに
それぞれの悩みから解消されていく
姿が
描かれます。

本書の中で
「不安はシャボン玉のようなもの」という
言葉が出てきます。

不安とは
ネガティブな想像が膨らみすぎて
大きくなったシャボン玉。

しかし、シャボン玉は
だんだん小さくなって
最後には消滅してしまいます。

不安が強い時は
ネガティブな未来を想像してしまい
行動に移せません。

不安を解消するには
思い切って行動してみて
その後行動を振り返る
という

トライアンドエラーが大事だと
思いました。

本書には他に

  • 緊張を和らげる方法

  • 認知行動療法のやり方

  • 支援者のサポートのやり方

などについても
分かりやすく解説が載っています。

認知行動療法は
最近では教育現場にも取り入れられるなど
幅広い分野で活用されています。

本書には

自分でもできる「こころ日記」を
はじめとした行動記録のやり方や
緊張を和らげる方法などがあるので

私も日常生活に取り入れて
初めてみようと思いました。

いずれその成果を挙げていけたらなと
考えています。



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