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【書評】『発達障害の人のための上手に「人付き合い」ができるようになる本』



【基本情報】

  • 著者:吉濱ツトム

  • 出版年:2018年5月10日初版第1刷発行

  • 出版社:実務教育出版

  • ページ数:全199ページ

【読書のきっかけ】

発達障害さんの一番の悩み『人付き合い』

私自身も人付き合いは
あまり得意な方ではありません。

↓こちらの記事でも
私の人付き合いにまつわる悩みを書いています。

特に、コミュニケーションは長年の悩みです。

本書との出会いは

自身の生きづらさの多くが
コミュニケーション面から発する
様々なトラブルや悩みから来ていたので、

コミュニケーションがうまくいかない理由
改善するコツを知りたい
少しでも生きやすくしたい

などから『人付き合い』をテーマにした
発達障害の本を探している時に出会いました。

著者の吉濱ツトム先生は
自身もASD当事者であり
発達障害専門のカウンセラーで有名な方です。

【気づいたこと・感じたこと】

①定型と発達障害さんの感じ方や思考の違い

そもそも、定型と発達障害さんは
思考や感じ方に色々な違いがあります。
どのような違いがあるのか、まとめてみました。

【定型の場合】

  • 相手の表情から感情や気持ちを読み取る

  • 共感性がある

  • 成長に合わせてコミュニケーション能力を身につけていく

  • TPOで表情を使い分ける

  • 得意も苦手も平等にこなす

  • 周りの状況に合わせて、自分の行動や考えを柔軟に変えることができる

  • 優先順位をつける作業は比較的得意

  • 場面に合わせて適切な言葉や話し方を選択できる

  • 本音と建前を使い分ける

【発達障害の場合】

  • みんなが熱中しているものに興味がモテない

  • 周囲のペースに合わせることができない

  • 劣等感が強く、時にそれが体調に影響を及ぼすことも

  • 無表情が多い

  • 自分を客観視するメタ認知が低い

  • 雑談が苦手

  • 興味の差が激しく、得意不得意がはっきりしている

  • 自分なりの強いこだわりがある

  • 共感性が低い

  • 未来を想像することが苦手で、予想外のことが起こると強い不安を抱える

  • 優先順位を付けるのが苦手

  • 相手が何を要求しているのか、何を感じているのか推察できない

②生きてるだけでストレスだらけ!

発達障害さんにとって
社会生活を送ること自体
「生きているだけでストレス状態」です。

  • 人と会う

  • 仕事をする

  • 電話に出る

  • 電車に乗る…etc.

発達障害さんにとって定型の人がこなす
当たり前のことがうまくできません。

私はこの下りを読んで
本当にその通りだなと思いました。

私自身も小さい頃から
発達障害の特性に悩まされていました。
今でもそれは変わりません。

「何であの人は怒っているんだろう」
「どうして気持ちをうまく言葉にできないんだろう」
「周りの人のように色々な作業をこなせない」

など、日頃でも色々悩みは尽きません。

そして、自分を責めてしまったり
周りに対して劣等感を抱いてしまったり
など、マイナスな方向へ行ってしまいがち。

③発達障害さんは、なぜ人付き合いがうまくいかないの?

発達障害さんは、なぜ人付き合いなどが
うまくいかないことが多いのでしょうか?

そこには、発達障害さんの特性である
以下の特徴が関わっています。

  • 自分を客観視する「メタ認知能力」が低い

  • ワーキングメモリー(短期記憶)が弱い

  • 自己に対する認知の歪みや偏りがある

  • 否定的思考が強い

  • 自己評価が低い

他に恋愛面や家族、友人との付き合いでも
発達障害の特性が原因で
トラブルを起こしてしまうことも多いです。

④自分でもできる!改善方法

発達障害さんが人付き合いなどにおいて
トラブルを避けるには、自身で改善していくことが大切になります。

本書では、トラブルの一例や特徴の他
改善策についても紹介しています。

(本書に紹介されている改善策)

  • ストレスを抱えやすい→ストレス解消法を身につける

  • 無表情が特徴→笑顔の練習をする

  • 気が散りやすい!→抑制機能を鍛える

  • 相手の気持ちが分からない→共感能力を鍛える

  • 不安が強い…→自分の不安を声に出して実況中継する

  • 予定変更が苦手→第三者に協力してサプライズで予定変更してもらい、徐々に慣れていく

  • 複数のことを頼まれるとパニックになる→ワーキングメモリーを鍛える…etc.

どの改善策も取り組みやすいものなので
私も実践していこうと思います。

【まとめ】ちょっとしたコツで、生きづらさは解消できる!

仕事面や恋愛面だけでなく
家族や友人との人付き合いは
日常生活を送る上で欠かせないもの。

発達障害さんは特性上、定型と比べると
一般常識や一般的な振る舞いが
自然に身につきづらい
です。

発達障害さんの生きづらさは
生まれつき持っている
社会性・コミュニケーション・想像力のズレ
といった発達障害の特性が原因です。

他に、定型と比べると
共感性が低いのも特徴です。

発達障害の特性を理解したけれど
「じゃあ自分ははじめから社会不適合者なの?」と絶望的に思う人もいるでしょう。

本書では発達障害さんの
様々な事例をあげており

  • どんな特性があり、生きづらさに繋がっているのか

  • 特性の原因や要因

  • 改善策や対策について

分かりやすくまとめてあります。

発達障害さんは
一般常識や振る舞いが
自然に身につきづらいため

色々知識を自ら学んでいく姿勢が大切だと
私は感じました。

こういう場面ではこんな対応をする
人前ではこういった行動は避ける
など

自分の体験したことや知識を蓄積して
マニュアル化していくのが一番オススメ
です。

発達障害の特性で困っている方
発達障害について最近勉強を始めた方
日頃から人付き合いに悩んでいる発達障害さんに強くオススメします。

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