行動することでしか世界は変えられない。企画を通してアップデートし続ける、これからの政治のカタチ
企画づくりを体系的に学んで実践する4ヶ月間の学生向けプログラム「I-MAGE」の特別企画「企画で、描いた未来は創れる」
この連載は、企画を通して、描いている未来を実現しようと活動している学生にインタビュー。描いている未来を目指し始めたきっかけや、目指す未来に近づいたと感じた自身が手掛ける企画を中心にお話を伺います。
第1回目は、一般社団法人NO YOUTH NO JAPANに所属する、ICU国際基督教大学4年次の石井萌さんです。
石井さんは、NO YOUTH NO JAPANの人気企画「Instagramで政治家と話そう」を中心に、プロジェクトリーダーとして、同団体に参画しています。
そんな彼女が描いている未来。それは、
「いつでも誰とでも政治の話ができる社会」
なぜ、彼女は政治という分野を選び、活動しているのか。自分自身を信じ活動していく中で生まれた企画秘話とともに紐解いています。
石井 萌さん
1997年東京生まれ。2019年にInstagramでNO YOUTH NO JAPANを見つけ、参加。Instagramのストーリーズ制作リーダーなどを務め、2020年夏の一般社団法人化に伴い理事に就任。現在に至る。
世界平和を目指したい
高校時代、私は「世界平和」という漠然とした目標を掲げていました。そこで、平和の理念が根底にあるICU国際基督教大学へ進学を決めます。世界平和という、自分のやりたいことができるんじゃないかと思ったんです。しかし、大学生活を送るうちに「もしかすると、世界平和はすごく達成しにくいものかもしれない」と思い始めました。世界平和はゴールで、そのための手段がたくさんあることを知ったんです。
そうして、いくつかの学問を専攻していく中で出会ったのが国際関係学でした。その中でも、高校生の時から関心のあった中東地域の国際関係に注力しようと決めました。このことをきっかけに、私は「中東地域の国際関係を日本以外の国の視点で学んでみたい」と思うようになりました。
それが、私の価値観を大きく変えることになる、1年間のロシア・モスクワへの交換留学に繋がります。
「日本の政治は終わってる」そう思っていた
留学してみると、「私って、全然政治への理解が足りないな」と感じる瞬間が多くありました。それまでの私は、日本の政治を斜め上から見ていたんですよね。「日本の政治って終わってるし、どうにもできないし、どうでもいいや」みたいな。投票へ行っても、白票(候補者の名前を書かずに投票すること)でいいじゃないかと思っていました。
しかし、海外の友達は違いました。自分の国の政治について説明した上で、自分の考えも述べていたんです。また、海外の友達は、日本の政治を知らないので、たくさん質問を投げかけてくれます。私は、日本の政治についてしっかり説明することができませんでした。
そんな政治に対する理解もない中で、「日本の政治は終わってる」と語っていた自分がすごくダサく思えてきました。結局のところ、今までの私は日本の政治に対して全然関心がなかったんです。ですが、それは私個人だけではなく、「若者の政治離れ」と言われるように、私たちの世代全体に共通している課題ではないかと感じました。それから、私は政治と若者を近づける活動がしたいと思い描くようになります。
政治の見方は変えられるかもしれない
2019年7月、1年間の交換留学から帰国した直後に参議院選挙がありました。そこで、たまたまInstagramのおすすめ欄に出てきたのがNO YOUTH NO JAPANの投稿でした。政治とInstagramという、一見遠い存在のものをかけ合わせたデザイン性の高い投稿に、私は衝撃を受けました。同時に「これは、政治に対する見方を変えられるかもしれない」と思ったんです。
そこでアカウントをフォローして、投稿をチェックするようになりました。そんなある日、質問箱で「大学4年生のメンバーがアカウントを運営しています」と回答している投稿を見つけました。衝撃でしたね。「同級生がこんなにすごいことをやっているんだ」って。私自身、直感を信じている人間なので、「一緒に活動したい」という想いから、NO YOUTH NO JAPANのメンバーに仲間入りし、活動を始めます。
若者の「分からない」に応える
最初は定例会の準備を手伝うところから始まりました。活動していく中で役割も増えていき、2020年3月から任されたのがInstagramのストーリーズ投稿です。当時はコロナが流行り始めて、みんなどうしていいか全く分からない状況でした。
そこで、質問箱を活用し、コロナに関して知りたいことを募集しました。当時、政治家の会見は「ロックダウン」「緊急事態宣言」といった初めて聞く言葉で溢れていたんです。そういった「よく聞くけど、しっかり説明できないこと」を解説していくことから始めていきました。また、「彼氏の自宅に遊びに行っても大丈夫か」といった、日常で感じる疑問に答えていくことで、コロナをきっかけに高まった若者のニーズに応えていきましたね。その結果、1.5万人から伸び悩んでいたInstagramのフォロワー増加に繋がりました。
政治家の想いを届けたい
いま、私が力を入れているのが「Instagramで政治家と話そう」という企画です。この企画は、「街頭演説のアップデート」を掲げ、Instagramライブに毎回政治家1名をお迎えし、政治家になるまでのエピソードや取り組んでいる政策について伺っています。
普段、政治家って選挙のときしか関心を持つ機会がないと思うんです。しかも、街頭まで会いに行かないといけないので、若者たちとの接点がほとんどないと感じていました。このままでは政治家との距離が遠いままになってしまう。それなら、若者のフィールドであるSNSに政治家をお呼びすることで若者と政治家をつなぐ橋渡しになれると思い、企画しました。
この企画の良さは、政治家個人にフォーカスが当たることだと思っています。国会中継だと、「野党が与党を攻める」という構図になりがちで、政治家個人よりも「〇〇政党の人」「野党の人・与党の人」と見られることがほとんだと思うんです。なので、政治家個人にフォーカスし、政治家になった背景や注力している政策を中心に伺うようにしています。政治家もひとりの人間だし、考えている想いや政治家を目指す原体験がきっとあります。そんなニュースでは伝わらない根っこの部分を届けることが私たちの役目だと感じています。
一緒に世の中を変えてくれる気がした― 政治家 蓮舫さんとの出会い
この企画を立ち上げた当初、政治家とInstagramライブをすることに対して、ほとんどのメンバーが「本当にこれって面白いの?」という反応でした。日本でこのような企画を行った前例がないこともあり、実は企画した私自身も不安だったんですよね。
しかし、第1回目のゲストとしてお越しいただいた蓮舫さんの回で、そんな不安は一切無くなりました。蓮舫さんはもともとアナウンサーだったこともあり、話の構成がすごく上手く、どの質問に対しても、ご自身の考えをしっかり届けてくださいました。私たちも聞いていてすごく楽しく、「この企画は、新たな可能性を秘めている」と確信しました。
特に印象に残っているのは、NO YOUTH NO JAPAN代表の能條とのワンシーンです。能條が「こんな世界を実現したいんです」と言うと、蓮舫さんがカメラに近づき、「一緒に実現しようよ」と呼びかけてくれました。その言葉が画面の向こう側にいる一人ひとりに呼びかけてくれている気がしたんです。私たちと同じ目線に立って、これからの社会を考えているんだという思いましたね。
配信が終わったあと、視聴者のコメントをみると「蓮舫さんの印象が変わった」という声が多く寄せられました。普段は、与党を厳しく追及する姿が多く取り上げられるので、怖いという印象が強いと思います。それがInstagramライブを通して、私たち若者の声に耳を傾けてくれたことで、蓮舫さんに対する印象の変化につながったと感じています。
行動することで変えられる未来がある
私は、いつでも誰とでも政治の話ができる社会をつくりたいと思い、活動を続けてきました。そのためには、「政治について話す=意識高い」という考えを変えないといけないと思っています。自分の好きなアイドルやエンタメについて話すことと同じように、政治の話を友人や家族と話せる世の中にしたいです。
正直、今の世の中は生きづらい。この状況を自分より下の世代に残すのではなく、私たちの手で解決しなきゃいけないと思っています。ですが、こういった話を家族や友人など、誰とでも話せないのが現状です。政治をはじめ、社会問題や環境問題などの話題が日常で気軽に話せる世の中になることが、未来を変えるきっかけになると思っています。
すぐに目に見える結果には繋がらないかもしれません。それでも、NO YOUTH NO JAPANでやってきたことがひとつの点となり、それらが将来繋がることで、社会を変えられると思っています。
そのためには、行動するしかないと思うんです。行動することでしか、点はつくれない。失敗しても、それで得られるものがあるはずなので、「やりたい」という想いを大切に、これからも社会を変えていくための活動を続けていきたいですね。
学生団体からはじまったNO YOUTH NO JAPAN。そこには、一人ひとりの熱い想いとその想いに共感する人々の存在がありました。
行動を続ける皆さんが創る未来を、私たちも応援し続けたいと思います。お話ありがとうございました!
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取材・執筆・撮影:島袋 響(I-MAGE16 OB)
校正:福原 健汰 (I-MAGE17 OB)
Special Thanks:中村 友瞳(I-MAGE15 OB)
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