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第四回 点群転生デザイン原論

2023年秋学期前半科目として開講された寄附講座「点群転生デザイン原論」。講義も折り返しの2023年10月24日、先日の開いた金木犀の花は1週間で見事に落ちていた。

前回講義、第三回はこちらから

点群転生デザイン原論
慶應SFCで2023年秋学期開講。會澤高圧コンクリート株式会社による寄附講座。本講義では、使用済みのものを廃棄するのではなく、形を変えて新たな利用先を生み出し循環させる際に、新たな「物語(ストーリー)」を介在させる方法を「(ものの)転生」と捉え、その新しい方法を開拓する。

前回アナウンスがあった通り第四回は中間発表だ。メディアセンターが取り壊された後の2033年にSFCメディアセンター第二形態とされる1年間の庭園の物語 / インスタレーションを構築するという課題であった。物語の内容、Chat GPT-4との対話デザインプロセス、最終的にClusterで制作された庭園をスライド形式で全8グループが発表した。

点群転生デザイン原論の名の通り、本講義ではデザインプロセス・対話の過程やそのデザイン原論を作っていくことが重要であることを前提としつつ、そこから生まれたものは魅力的でなくてはならない。発表の一部であるが、全8グループの庭園とその物語を以下のnoteに記した。ぜひ2033年に庭園へ訪れたつもりでワールドを回遊してみてほしい。PCでも視聴可能だが、VRゴーグルがあるとより良いだろう。

Cluster内のメディアセンター

8グループそれぞれ創意工夫があった。「あなたはシナリオライターです」と前提に置くことで文章の質を高めようとしたり、石同士の関係性について聞いてみたり、Chat-GPTから出力された文字をくまなく読んで、行間を推測し、設定が甘い部分を聞いていく。各班のChat-GPTとの対話のプロセスは、想像力豊かな子どもと話しているようだった。

物語は大きく2つの作り方が見られた。
一つは、初めからストーリーを作ってもらい、ストーリーのバージョンをアップデートしていく方法。もう一つは、ストーリーを作ってから石の設定や世界の設定を詳細に出力させて、最後にその設定をもとにストーリーを新しく作る方法があった。この物語の生成方法については、細かく出力させて、詳しい内容を詰めていき、最後に材料を集めて一気に出力をさせるのがGPT-4では活用しやすい、と會澤大志からのコメントがあった。

Cluster内に入ると寸法に合わせて配置されたコンクリート群が並んでいる。地形そのものを作るグループもあった。

講評には、講師の田中浩也、第一回ゲスト講義の會澤大志、次回ゲスト講義のシシドヒロユキのほか、田中研の修士生2名も参加した。

「自分が何をしたいのか。伝えることが大事である。もっと自分達が面白いと思っている部分をしっかり伝えられる発表をしてほしい。」と會澤大志の発表自体についてコメントは、さまざまな事業で多くの人を巻き込む彼の実践的な言及だ。発表者の中には、物語を絵本のように読んだり工夫があるグループもあった。

SFCメディアセンターという場所と地域性と物語の関係性や、Chat-GPT 3.5にできなくて4にできることに挑戦することへの期待、SFCの各館がギリシア文字で名前を割り振られていることなどからギリシア神話の話が多かったこと、ハンバーグのタネ神話の発表はハワイの神話がココナッツから始まるのを想起させたこと、環境破壊や現代の問題や発見についての伝承があってもよかったのではないか、空間の使い方についての工夫が足りなかった、昔話や神話の型を読み込ませたグループがあったことなどの話が上がった。

一通りプロセスを踏んだことで、AIの使い方、点群を利用した空間活用、神話や物語への造詣などの解像度が上がったように思える。最終課題に向けてよりワクワクするものができることが楽しみだ。

次回は、シシドヒロユキによるゲスト講義だ。中間課題ではギリシア神話にまつわる物語が多かったが、神主による講義から日本のルーツに迫る。

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