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SUPER ENFANT TERRIBLE

2月24日に、婚姻届を提出した。

近所の大好きな仲間たちと集まって酒を飲み交わし、0時をまわる前に少しぼんやりした頭で区役所へと向かうタクシーに乗り込む。

花束の代わりに彼からもらったプリザーブドフラワーの瓶が、半開きの箱の中で時折カタカタと音をたてて揺れていた。

すべてがめまぐるしく、ドラマみたいな夜だった。心の中でずっと、ドレスコーズの『SUPER ENFANT TERRIBLE』のメロディが流れている。

大人になんかまだ ならなくていいんだよ
正しいのは僕ら、
悪いけど愛なら知ってるよ

おお、僕らは行く
夕暮れの国境線 花束にはマシンガン
夜をこえて すすめ、荒野を!
ジョニー あのコが君を待ってるぜ

そのときはまったく実感がわかずぽうっとしていたのだけど、家に帰ってから一気に涙があふれ、ぼろぼろ泣いた。突然の誘いを快く受け入れてくれた友人たちの笑顔を思い出す。

隣にいる彼はいつもと何ら変わりがないように思えるけれど、今日からは確固たる「夫」。まだにわかに信じがたかったが「大好きな人とこれからずっと一緒にいられるなんて、幸せだなあ」と感じ、そのまんまを泣きながら口にした。夫は、ニコニコと笑っていた。


今振り返ると、彼と出会う前の私はボロ雑巾のようだったなあ、と思う。

うだつがあがらない仕事。乱れる生活。シンクにたまった洗いきれていない皿と、洗濯機からあふれた洗濯物だけが積み重なる日々。

そんな状態だから恋愛など当然うまくいくはずもなく、「楽しい生活」を維持するためにしこたま酒を飲み、べろべろに酔い、そのくせわんわん泣きわめいたり誰かをどうしようもなく傷つけたりした。今思い返しても、どこにも書けないことばっかりだ。

それでも、どうにかこうにか自分を変えたくて行動した。その矢先、彼と出会った。


付き合い始めた彼からの一番印象に残っている一言が「ずっと楽しく一緒に過ごしたいから、健康でいてほしい。まずは少しずつ生活を朝型に変えよう」というものだ。

当時、12:00〜14:00に起きて朝5:00まで仕事をするような昼夜逆転生活を送っていたのだが、アラームをかけて必死に「早起き」に取り組んだ。毎朝連絡がくるので、寝ていればすぐバレてしまうのだ。

最初はひいひい言いながら10:00に起きるのがやっとだったけれど、今では彼より早く目が醒めるようになった。

不思議なことに、朝シャキッと起きると気持ちが前向きになる。「腰を据えていろいろなことに取り組もう」と決意した矢先、素敵な仕事が舞い込んでくるようになった。

そして、彼は旅が好きだった。「地方の酒場を見にいこう」という言葉のもと、今まで行ったことがなかった場所へ連れ出してくれた。四国、沖縄...さまざまな地へ赴いたが、そこで起こる出来事は須らくおもしろく、毎回「この人と、もっといろいろな世界が見れたらよいな」と感じた。

生活が鮮やかに色を変えた。


他にも、彼からもらった嬉しい言葉や好きなところは本当にたくさんあるのだけど、ここには書かずに自分の胸のうちに留めておく。何となく、笹舟のように流れて行ってしまいそうだから。

ただただ、わたしと出会ってくれて、本当にありがとう。

新しい器で水を飲んだら「何だかおいしい気がするねえ」と笑いあえるような、ベーカリーで「明日の朝のパン、どれにしよう!」とワクワクするような、梅昆布茶を飲みながら梅干しを食べ「すっぱい!すっぱい!」と顔をしかめるような、ふたりでヘンテコな写真を撮り合うような。(まだまだ思い返せばキリがないね)

そんな日々をこれからも、ただただあなたと積み重ねてゆきたいと思っています。

岡田まりなを、どうぞよろしく。


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