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【電子書籍新発売】全世代のランナーに贈る加齢と向き合うエッセンス

私自身5冊目(英語版を含めると6冊目)の電子書籍、「全世代のランナーに贈る加齢と向き合うエッセンス」が発売開始となりました。

本書は、3章から成り立っています。

1章では、ランニングパフォーマンスと密接な関係を持つ3要因(最大酸素摂取量、ランニングエコノミー、酸素摂取水準)について説明しています。
この章は、加齢がランニングパフォーマンスに及ぼす影響を理解する上で必要となる前提知識を得るために存在します。

2章では、加齢がパフォーマンスに及ぼす影響を理解するために、加齢が3要因に及ぼす影響を主に説明しました。
この章は、一言に加齢と言っても、トレーニング状況などによって、及ぼす影響が様々であることを学べます。

3章では、年代別のワールドクラスのアスリートたちをピックアップし、彼らの強さの秘訣を解説しました。

各章の終わりには、「難解な話」「興味深い話」「筆者の見解」という形で、本書と関連する興味深い記事を含みました。

本書が、あらゆるランナーの充実したランニングライフを送るために役立てば幸いです。

下記は本書の「はじめに」と「目次」です。同様の情報はAmazonの商品ページからも閲覧できます。

はじめに


前置きになりますが、本書はアンチエイジングとして、ランナーが取り入れるべきトレーニング、コンディショニングの具体的なアプローチを解説したものではありません。ではどういった本なのかというと、ランナーが加齢に直面しながらも、それぞれの目標に挑戦し、ランニングを愉しみ続けるために役立つエッセンスの提供を試みたものです。トレーニングやコンディショニングに関する方針は一部示唆されているものの、全体をとおして本書は具体性よりも抽象性に重きを置いています。

本書の構成についてです。最初にマラソンをはじめとする長距離走のパフォーマンスに深く関わる生理学的要因について詳しく説明します(1章)。次に、加齢によってパフォーマンスがどう変化するのかを理解するために、1章で説明した生理学的要因に対する加齢の影響を中心に説明します(2章)。年を積み重ねることで、落ちてしまうもの、維持できるもの、またトレーニングなどの工夫によってその変化をどこまで食い止めることができるのか、理解を深めていただければと思います。そして終盤には、事例研究をもとに、ワールドクラスのマスターアスリートの強さや速さの秘訣に迫ります(3章)。なお、一口にパフォーマンスといっても色々な捉え方がありますが、本書では主にタイムのことを指しています。

ところで、筆者はランニングに関する一定の研究業績こそあるものの、トップジャーナルに論文が掲載された経験もなければ、大きな資金をとった実績もありません。要するに、筆者は一流の研究者ではありません。それに加え、「ランニングと加齢」という、本書と直接関係するテーマで論文を執筆した経験もありません。このような事実をあえて最初に記しているのは、筆者が読者に対して、権威のある人物や専門家の意見を、その内容を批判的に評価することなく、正しいとすぐに受け入れる心理的傾向である権威バイアスを使う意図がないことを示すためです。

研究者や科学者が情報を発信すると、全てがエビデンスで裏付けられていると受け取られることがありますが、必ずしもそういう訳ではありません。また、一口にエビデンスといっても、そのレベルには高低がありますし、根拠は正しくても、誤って情報が伝わることがあります。誤って情報が伝わる理由は、情報の誤った解釈、誤解を招く表現の利用、科学リテラシーの欠如、コミュニケーション不足、商業的都合といったように、発信者と受信者の片方もしくは両方に問題があるためです。本書では、そのような誤りをなるべく避けるために、エビデンスを解説する際に、出典・引用文献をつけています。また、執筆する際には、エビデンスを解説しているのか、それをもとに個人の見解を述べているのか、なるべく読者がわかるように心がけました。

読者の年齢や走る目的は様々だと思います。また、今は少しでも良いタイムで走りたいと日々トレーニングを頑張っているけれど、将来的には走る目的が変わっている人もいると思います。もしくは、今現在は走っていない人もいるのかもしれません。目次を眺める限りでは、本書はパフォーマンスにこだわり続けるランナーに向けたものに見えますが、『全世代のランナーに贈る加齢と向き合うエッセンス』というタイトルのとおり、様々な年代の多種多様な目的でランニングに関わる人を対象読者層として執筆しました。

正直なところ、本書を読んで難解さを感じる人もいると思います。ただ、筆者は、一読すると難しくても、時期を空けて繰り返し読めば理解が深まると同時に、新しい発見が得られることを狙って本書を執筆しています。どうか一度で全てを理解しようとせずに、最初は軽い気持ちでお読みいただけると幸いです。そして、疲れたり走る目標を見失ったりしたときには、本書を読み直していただけると嬉しいです。

髙山史徳

目次


はじめに
1章:パフォーマンスを決める3要因
 3要因
 最大酸素摂取量
 ランニングエコノミー
 酸素摂取水準
 トップランナーの3要因
 難解な話:乳酸性閾値は単位によって意味が違う
2章:加齢とランニングパフォーマンス
 横断研究と縦断研究
 論文の種類とエビデンスレベル
 加齢による3要因の変化
 加齢が最大酸素摂取量に及ぼす影響
 加齢がランニングエコノミーに及ぼす影響
 加齢が閾値指標の酸素摂取水準に及ぼす影響
 加齢が身体組成や末梢要因に及ぼす影響
 加齢がバイオメカニクスに及ぼす影響
 興味深い話:半生をサブスリーで走るランナー
3章:ワールドクラスのマスターアスリートたち
 鉄人ランナー(70代)
 走る以外には何もしないランナー(70代)
 ハイボリュームランナー(70代)
 怪我をしない中距離ランナー(70代)
 3つの年代別世界最高記録を持つランナー(80代)
 70歳を過ぎてから競技を始めたローイング選手(90代)
 とにかく沢山レースに出たランナー(90代)
 100歳を超えて記録を更新したサイクリスト(100代)
 ギネス記録を作った親子の物語(30代、50代)
 筆者の見解:チャンピオンスポーツで何歳まで勝負できるのか?
おわりに
著者プロフィール
奥付

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