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刺さるモリサワゴシックMB101~ことばのアーティスト・イチハラヒロコ~

ミュージアム部mitu.です。今日は私が十数年来のファンである、現代美術家・イチハラヒロコさんをご紹介したいと思います。
※今回個人的な思い出により、癖の強い記事になっておりますm(_ _)m

「愛と笑い」がテーマの「ことばのアーティスト」

イチハラヒロコさんは、言葉や文字をモチーフに作品を制作する現代美術家さんです。豊田市美術館、東京都現代美術館、東京国立現代美術館などで作品を発表する一方、そごう心斎橋店の改装工事の仮囲いや、横浜のスケートリンク、六甲山の芝生など、屋外展示も精力的に行われます。
海外のショッピングセンターで、「万引きするで。」と日本語で大きく書かれた紙袋を2000枚配布。日本語で書いてあるため、持ち歩いている人やその周囲の人のほとんどは、その意味がわからないままお店の中をうろうろ……。しかし状況としては、万引き予告(!)をする人々で店内があふれている(笑)というパフォーマンスは、世界的に話題となりました。(ちなみに紙袋の底には英訳が書いてあり、最終的に種明かしされますのでご安心を。)

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東京ミッドタウン(2013年) 「期待して当たり前なんだし。」

くすっと笑えるものや、勇気をもらえるもの、妙に納得してしまうものなど「愛と笑い」をテーマに生み出される作品たち。

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グローカルカフェ(2016年) 「好きなだけスキになってくれていいから。」

絶妙な言葉のチョイスとリズム感のある言葉の並び、モリサワの「ゴシックMB101」というフォントと、その文字組のバランス。もともと現代詩が好きで、活字フェチだった私にとって、イチハラヒロコさんの作品は、小気味よいものばかりで、初めて見た瞬間から大好きになりました。

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『こんどはことばの展覧会だ』にはイチハラさんのサイン入り(自慢・笑)

美術館やギャラリーの企画展、屋内展示を観に行ったり、作品集を購入したり……そんな風にイチハラヒロコさんの作品を楽しんでいた私に転機が訪れました。

作品とゼロ距離になった瞬間

それは厄祓いのために訪れた、六甲八幡神社にて受け取った「おみくじ」がきっかけでした。(手前が私、奥の2枚は友人のもの)

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王子さまがきてくれたので、
どうしようかと思いました。

こちらの作品は、持っている作品集の中に掲載されてたので、すでに知っているものでした。ともすれば「“この人ゴミを……”と同じ、王子さまシリーズだなぁ~」など思った記憶も。

しかし!このおみくじを受け取ったときは違ったのです。当時、私は30歳を目前にした29歳。現在の夫と出会った頃で、とてもとーてもっ微妙な時期。そんな時に手にしたのがこちらの作品。もう一度書きます

王子さまがきてくれたので、
どうしようかと思いました。

以下、当時の私の心の叫びを振り返ります▼

そう!そうなの!どうしようかと思ってる!
王子さま(だと思いたい人)が来てくれたけど、童話のお姫さまのように、簡単には飛び込めないのよ! 仕事もできることが増えて楽しくなってきたし、まだまだやりたいことも行きたい場所もあるのに、結婚すると生活が変わってできなくなるんじゃ? それに、そもそも一人暮らしが長すぎて、他人と住めるのかが不安……。とはいえ、彼のことは好きだし、他に誰かいるというわけではないし、親も安心させたいし……どうしたいんだ私……。
嗚呼!そこに来てる! いつまでも待たせてたらどこかに行ってしまうかもしれないし……嗚呼~~~~待って待って、どうしたらいいの~!!!!

……大変失礼しました。

当時の私は、この作品を数ある中のひとつとは思えず、もはや自分の分身のような気持ちで向き合っていました。作品が自分の心の壁をぶち破って、ぐっと中に入ってくる。そんな体験でした。

作品と向き合うきっかけ~イチハラヒロコ恋みくじ~

この私が衝撃を受けた「イチハラヒロコ恋みくじ」は、イチハラヒロコさんの作品に感銘を受けた布忍神社(大阪松原市)の宮司・寺内成仁さんが、イチハラヒロコさんと一緒に作られました。誕生は1999年。実は、20年以上の歴史があるおみくじです。

「男女間」だけの恋ではありません。男女間を初めとして、家族の恋、友達との恋、会社に対する恋、趣味に対しての恋、学問に対する恋など沢山の恋があります。(布忍神社-イチハラヒロコの恋みくじについて-より)

布忍神社以外にも六甲八幡神社(兵庫県)、二宮神社(兵庫県)、北野天満神社(兵庫県)、清須山王宮日吉神社(愛知県)、山崎菅原神社(熊本県)、鎌倉画廊(神奈川県)全国7カ所に設置されています。

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私がおみくじをひかせていただいた六甲八幡神社

それまでの私は、イチハラヒロコさんの作品に対し、どちらかというと瞬間的な感動を楽しんでいました。読んだ瞬間にくすっと笑ってしまう。見た瞬間にぎょっとする。展覧会でも作品集でも、出会う直前の「次は何かな♪」とワクワクとした気持ちと、出会った瞬間の衝撃を楽しんでいました。

しかし、「おみくじ」という“選べない”形で受け取ることで、出会う前のワクワクはそのままに、出会った後、簡単に作品から離れられず、しっかりと向き合うことができたのです。このおみくじがきっかけで、展覧会や作品集で作品を観る際にも、よりじっくりと向き合うようになりました。

黙読して、声に出して読んで、シーンを想像して、意味を考えて、デザインとしての文字を観て、再び言葉をかみしめて。そして、最後は自分の心の動きを意識して……(内省タイム)

じっくりと作品と向き合うようになって気づたのが、イチハラヒロコさんの作品の奥行きです。簡潔な言葉が多い分、そこから想像できる余地が広く、リズム感のよい言葉の並びは、声に出して読むたびに心に響きます。向き合うほどに、味わいが深くなる作品たち。また、かつて出会ったことのある作品も、再び向き合えば、新たな発見があることは大きな喜びでした。

定期便というおみくじ~ことばアートスタンプ~

おみくじ同様、“選ばない”ことで作品とじっくり向き合える商品が、フェリシモにもありますイチハラヒロコ ことばアートスタンプの会

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イチハラヒロコ ことばアートスタンプの会
月1個 ¥880(+10% ¥968)

※1個だけ(1ヵ月だけ)の購入も可能です。
※詳しくは「初めての方へ・お買い物ガイド」をご確認ください。

イチハラヒロコさんの12種類の作品が、手のひらサイズのスタンプになっています。身の回りのアイテムに押せば、自分だけのオリジナルアートグッズに! 全12種類の中から、毎月1回、1種類ずつスタンプが届きます。(お届けは1回のみでストップすることができます。)

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お気づきになられたでしょうか? 
“何が届くかはお楽しみ!”というフェリシモ定期便の仕組みが、まさに「おみくじ」状態なのです。届いたスタンプはまさにお告げ!

いったい自分にはどんな言葉が届くのか!? 早速、私も注文してみることにしました。そして、届いたのがこちら▼

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真価が 問われる お年頃。

フェリシモに入社して十数年。後輩もたくさんできて、若手と呼んでもらえるわけもなく、20代の頃のままでは許されず……その一方で、落ちていく体力と代謝(苦笑)まさに問われています、真価。

とりあえず、仕事中に見えるように、デスクで使っているコースターに押してみました。4枚100円で購入したコルクコースターに、これまた100均で購入した油性インクで押しただけ。私だけのイチハラヒロコグッズの完成です!

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コーヒーを手に取るたびに、イチハラヒロコさんの作品が目に入ります。うん、我ながら良い場所に押しました。初回からパンチのきいたお言葉でしたが、来月のお告げ(お届け)も楽しみに待ちたいと思います。

お近くに「イチハラヒロコ恋みくじ」を引けに行けない方は、その代わりに「フェリシモ的イチハラヒロコみくじ」をお試しいただくのはいかがでしょうか? 神社のようなありがたさはありませんが(笑)ひとつの作品とじっくり向き合う機会を、お試しいただくことができますよ。

フェリシモ定期便は1回からストップもできるので、1回だけ楽しむのもよし。私のように、月に一度のお届けを「月に一度のお告げ」として楽しむのもよし。お好みの方法で楽しんでくださいね♪

イチハラヒロコ ことばアートスタンプの会
月1個 ¥880(+10% ¥968)

※1個だけ(1ヵ月だけ)の購入も可能です。
※詳しくは「初めての方へ・お買い物ガイド」をご確認ください。

後日談「イチハラヒロコ恋みくじ」

その後、毎年2月厄祓いのお参りとともに、おみくじを引くのが友人との恒例行事となりました。ピックアップしてご紹介すると……

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悪いけど この恋は にがさん。

2020 - コピー

夢のような 日々でした。
鬼のような ひとでした。

当時の衝撃・動揺・葛藤などは割愛しますが、こちらのおみくじが戒めとなったのか、おかげさまで現在も夫との結婚生活は続いております(笑)

また、余談ですが「イチハラヒロコ恋みくじ」は2017年にGoogleアプリのCMに登場しました(ご覧になった方もいらっしゃるかもしれませんね)。初めてCMを見た時には、関西弁女子3人組、という設定に身に覚えがありすぎて笑ってしまいました。


「イチハラヒロコ恋みくじ」はポストカードサイズなので、こちらの「ミュージアムポーチ」に入れて楽しむこともできます▼

また、最近発売しました「額縁柄のきせかえポストカード袋セット」に入れて壁に飾るのもおすすめです▼


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