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「不動産豆知識29 買戻し特約の登記」笹谷部長 Vol.204

FMグループ社内報Vol.204【投稿者:笹谷部長】

先日、契約案件の登記簿を見ていて、めったに見掛けない登記がされているのを見つけました。甲区欄に付記登記として「買戻特約」という登記がされていました。
これは、一歩間違えると売り物にならない物件なので、今日はその辺のお話を出来ればと思います。

買戻しは、文字通り売った物件を買い戻す事です。
例えばAさんがBさんに3000万円で土地付き建物を売却した場合、AさんがBさんに3000万円と契約に掛かった諸費用を返還すれば、契約を解除し物件を返してもらう事が出来ます。

この内容の特約を、第三者に主張できるよう登記したものが、買戻し特約の登記なんです。

何の為にこんな事をするのかというと、金銭的な貸し借りがある場合、債務者である物件の所有者が、その担保として物件を債権者に売り渡したかたちをとるケースです。
貸したお金を全額返済すれば物件が戻って来る事になります。

もう一つのパターンとして、住宅供給公社、都市再生機構などが住宅分譲・マンション分譲をする際に、買主が自ら居住することを条件とし、一定期間転売を禁止し、これを守らずに転売した場合は、買い戻すという特約をつけるというパターンがあります。

公社や機構は、住宅政策の一環として公的な住宅供給を目的としている為、業者が買い占めて転売し利益を独占する行為を禁じている訳ですね。
最近の登記で多いのはこのパターンです。

いずれにしても注意が必要な点は、この状態で第三者に売却する契約をしてしまった状況で、買戻しが実行されると対抗出来ない事です。
これが最初に書いた「売り物にならない物件」という意味になります。

では、どの様に解決するかと言うと、買戻特約の期間満了を待ってから、売買契約を締結する方法と、買戻権者の了解を得て登記を抹消する方法があります。
また、期間が満了しても、自動的に登記が抹消される訳では無いので、関係当事者で登記を抹消の上、引き渡すのが一般的です。

この様に登記を見るだけでも、我々仲介業者側ではコントロール不可能な物件を判別出来る事もあるので、注意して見ていきたいものです。

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