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「中年は無理しない」変化する価値観、どう向き合う?|ジェーン・スー&堀井美香 対談 3/3

Podcast番組「OVER THE SUN」も好評なコラムニストのジェーン・スーさんと元TBSアナウンサーの堀井美香さん。近年、価値観や考え方は凄まじい速さで変化していきますが、中高年ともなるとその速さについ戸惑ってしまうことも。対談3回目となる今回は、変化する価値観への折り合いのつけ方、下の世代との向き合い方について伺いました。

文/アケミン 写真/高見知香

堀井美香
1972年生まれ、秋田県出身。’95年にTBS入社後、2児の出産を経て、数々のアナウンス、ナレーションを担当。'22年3月、同社退社後、現在はフリーアナウンサーとして活動。現在もTBSラジオのPodcast番組「OVER THE SUN」は続投


ジェーン・スー
1973年生まれ、東京都出身。作詞家・コラムニスト・ラジオパーソナリティ。TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」などで活躍中。連載、著書多数。最新刊に『きれいになりたい気がしてきた』(光文社)

できないことは無理して取り入れなくていい

堀井 わたしたちの世代だと、からだの変化についてオープンに話すことってなかった気がします。

スー いきなり「今日からオープンに話しましょう」と言われても、できることじゃないからね。わたしたちの世代や、さらにその上の世代があまり語らなかったことや隠してきたことを、みんなが気軽にしゃべって共有できるのは、とてもいいことだと思いますよね。

堀井 一方でなかなか新しい価値観についていけない、というのもオバサン(over the sun)世代のリアルなところかもしれない。

スー たしかに。若い世代がまぶしく思えることもあるけど、わたしは「自分ができないことを無理やり取り入れる必要はない」と思っていて。

堀井 無理するとロクなことないですよね。

スー たとえ理解できなくても、若い子たちのカルチャーや価値観に我々が茶々を入れないことも大事だと思うんです。彼ら/彼女たちの考えや行動が、我々の世代とは違っていても「はしたないからやめなさい」とか「みっともない」と言うことは、少なくてもやめておきたいと思うんです。

凄まじい勢いで変化する価値観と世代間ギャップ

スー 堀井さんは、娘さんと話すときには世代間のギャップを感じることもあるんじゃない?

堀井 うちの娘、25歳なんですけど当然、わたしとはまったく考え方は違いますね。そして娘に言わせると、彼女の後輩にあたる20歳ぐらいの世代は、また感覚も価値観も違うのだと話していましたね。

スー きっと世の中の価値観や考え方が変化するスピードって、うちらが20代のころとは比べ物にならないほど早くなっているんだよね。

堀井 わたしたちだとざっくり10年刻みで世の中が変化していったけど、それが今の子たちは数年刻みって感じかしら。凄まじい勢いですね。

下の世代には「どんどんやってほしい」とも思わない

スー そんななかでは、上の世代は下の世代に対して、まずあれこれ茶化さない。そして下の世代に「どんどんやれ!」とも言わないことですね。

わたしも若いころに「これからも若い世代には、どんどんやってほしいですね」と上の世代の人たちから言われるのがすごく嫌だったんですよ。でもあれって今になって思うと、そう言っている当の本人もこれといって言うべきことないから、「どんどんやってほしい」と言っていたに過ぎないのだと、最近になってわかったんですよ。

堀井 ほっといても自然に変わっていくもんね。

スー もし下の世代から相談されたり、頼られたりしたらなんでも答えたいと思う。でも、それ以外は自分から口を出しにいかなくてもいいかなって思うんですよ。

堀井 それぐらいの距離感がいいのかも。

スー 中年が無理して今の自分の価値観を変える必要もないし、下の世代に「どんどんやれ」とハッパをかける必要もない。必要なときに語り合って、それぞれが"ご自愛"できる、そんなふうになっていければいいよね。

(ジェーン・スー&堀井美香 対談:記事リンク一覧)
【1】週に一度、会って話して見えてきたこと
【2】「おもしろおかしく」でいい。更年期も話してみる
【3】「中年は無理しない」変化する価値観、どう向き合う?