NYでのコロナウイルスによる影響日記13
3/31(火)
3/17にロックダウンが始まって2週間が経った。
この2週間、ほぼ自宅に籠りきりでありながら毎日のように記録するほどの出来事や思索がよくぞあったものである。
今日もある。
私はどうも買い出しが苦手だと気がついた。毎度毎度、買うものをメモして必要分をしっかり買い揃えているはずのに、毎日毎日、何かが足りない。
つまり自分が思い描いたようなパーフェクトな買い出しはできていないらしい。自分の無能を痛感させられ、つらく悲しい。
無能な私はついに、重い腰をあげて初めて片手鍋でコメを炊いてみた。今のアパートには炊飯器がないので鍋炊きしか選択肢がないのだが、それがずっと億劫だった。
なぜなら私が持っているのは、前に住んでたアパートの汚いキッチンに半年間放置していたコメだからだ。
半年前なのは、いい。一人暮らしだもの、それくらい経つことはある。けれど前のアパートのキッチン、あの空間に置かれ続けていた、それがすごいイヤだった。
住ませてくれたオーナーには悪いけど、あそこはお世辞にも清潔といえるアパートではなかった。築60年超(まあアメリカの建物っていうのは頑丈な作りで建て直しとかはあまりしないらしいけど)でそこそこガタが来ていたし、構造的にも通気が悪く湿気が溜まりやすかった。
加えてシェアメイトが曲者で、衛生観念や社会性というものが少々足りないふうな行いをする者だったのが堪えた。共有スペースであるキッチンの排水溝には常に生ゴミが放置され、水切りカゴの底には変色した水が溜まっている。生活臭とゴミの臭いと、誰かが置いたキツめの芳香剤が混ざって言葉にしがたい臭気を漂わせる中に、ゴキブリなんかがしょっちゅう現れる。
念のため言うと私は掃除をしていた。けど彼は全然やらないので彼の家政婦みたいな気分になり、ほどなくして私も掃除をやめた。
そんな空間にある戸棚の中にしまっておいたコメなので、袋を密閉してたとはいえ、すごく不安だった。
でもまあこの状況で食べ物を粗末にするのも良くないしと思って試しに炊いてみたらば、まあ美味しいこと美味しいこと。
えっなに、こんな最安のコメでここまで美味しくなるの? ヤダ鍋炊きすごい。早く日本に帰って「つや姫」で試した〜い。考えただけでほっぺが落ちそう。
そういえば昔、友達んちで友達の彼女(年上)が作ってくれたお料理を肴に飲んでいたとき、あまりに美味しかったので「ほっぺが落ちるうう」と言ったら、真顔で「ついてるよ」と言われて背筋がヒヤっとしたのを思い出した。
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