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「想像力がない」と言われても

一時期、けっこうな頻度で「想像力がない」と言われたことがあった。

ここでいう想像力とは、自分と立場の違う人の心情や状況に馳せる思いがない、ということを指す(と思う)。思いやりがないっていうのと近い。

ただ、頭ごなしに想像力を持てと言われても全然ピンと来ない。想像力のある状態ってどんな感じなんだろう? と、それこそ想像がつかなかった。果ては「想像力 身につけかた」でググってしまうほど、私にとっては得体の知れないものだった。

ググると、心理カウンセラーのような人のページに辿りついた。30分6,000円で電話カウンセリングというので、藁にもすがる思いで話してみたら「もう子どもじゃないんだから、感情で相手のことを想像できないんだったら想像できる技術を身につけなきゃ」と言われた。具体的には、想像力のなさが露呈したときにメモを取り、どうすればよかったかを後で考えて次回に生かす、みたいなアドバイスだった。

一理あるような気がしなくもないけど、結論だけ言うと役に立たなかった。

このカウンセラーをディスりたいわけではなくて、もしかしたら同じように悩んで迷走している人がいるかもしれないと思い、この記事がそういう人の助けになるといいなと考えた。

想像力の正体

想像力は、言葉のイメージからして天性の能力だとか、幼い頃からの環境によって身につく能力だとかの印象を持たれている方は多い気がする。私がそうだったし、一面では正しいと思う。

だから「想像力なんて育った環境によって豊かな人も貧しい人もいるだろう。そんな天賦の才のようなものを持ってないからといって非難するのは酷い」と思ったり、

時にはもっとひねくれて「人に想像力がないと言えるほどの想像力を備えたアナタでも、世の中にはどうしたって想像力の貧しい人がいるんだということへの想像は働かないんですねェ〜」などと内心で嫌味を言っていた。

けれど、いろいろと思考や試行を繰り返した結果、自分なりに想像力の正体が見えてきた。それは決して、生来だけのものでも、大人になったら身につけられないものでもなかった。

想像力=(知識+経験)×共感力

これが、私の出した答えだ。

想像力は、知識と経験が基礎となり、共感力によってブーストされるものだという考えに至った。

……どうですか? 今日から使えるライフハックとかではないので、今まさに悩んでいる人にとってはガッカリの答えかもしれない。けど想像力を身につけるって壮大なことだし一朝一夕でできる類のものではないと思うので、まあ気長に続きを読んでください。

知識が想像力の外殻を拡げていく

想像とは、自分の中にあるいろんな記憶を掛け合わせて思考する行為だと思う。決して、何もないところからポンと思いつくものじゃない。

その記憶の引き出しがすなわち知識と経験であって、これをコツコツ積み重ねていくことで想像できることのバリエーションがどんどん増えていく。

経験はその人その人で歩んできた道があるだろうし偶然性もあるから、ここではアレコレ言わないことにする。それよか、自分の努力で増やしやすい知識について話したい。

私が知識を身につけるためにやっているのは、本を読むことだ。

実は33歳まで読書習慣がなく、読書らしい読書はほとんどしてこなかった。

けど想像力の問題と向き合ってからは、「●●だということが想像できないの?」と指摘されたら●●に関する本を読むようになった。ときには同じテーマで2、3冊を読むことも。

心理学の本とか、世の中にはいろんな人がいるんだなあってのがわかる本とか、そういう本が多かった。

それから3年ほど経過したが、以前よりも考えが及ぶ範囲がだ〜いぶ広がり、想像力が拡張されたって実感がある。

共感力が貧しくても大丈夫

続いて、知識と経験をブーストさせる共感力。私はこの力も少々足りていないようだった。

人の話を聞いて自分のことのように喜んだり悲しんだりすることができないし、頑張って共感しようとしても「演技」とか「無理して合わせなくていいよ」とか言われたり、ひどいのだと「人の心がない」と言われたりしたこともある。ちょい、つらいものがあった。

でも個人的な実感でいうと、それでもまあ大丈夫。

共感力が0.1であったとしても、確かに人より効率は悪いけど、知識と経験をコツコツためていけばしっかりと想像力に反映されていく。感情ではなく理性で人を思いやることができるようになってくる。そして知識や経験に裏打ちされた言葉は、たとえ感情がこもっていないように聞こえても、相手にはちゃんと伝わります。なんか、言葉が浮かなくなるんだよな。

「想像力がない」と言われても

いきなし「想像力がない」って言われるの、けっこう堪えるんですよね。何をすればいいのかが皆目見当がつかないので、言い方によってはすごくムカついたり落ち込んだりする。

言われても気にせずに生きていくことはできるけど、せっかくの機会なんでそのムカつきや落ち込みをいったん置いといて、本を読んでみるっていうのはいかがでしょうか。

もちろん本だけじゃなくて、映画とか新聞とかでもいいと思う。テレビとSNSはちょっとオススメしないけど。

まあ、こんなん言ってる私もまだ道半ば。想像力のある優しい人になれたわけではなくて、以前よりはマシになったって程度だと思う。だけどそれでも、過去の自分とは明らかに違うっていう手応えもある。

とりあえず自分のペースでいいから本読んで、何年か様子を見てほしい。

ほんと凡庸な答えしか提示できてないけど、想像力で悩んでいる人にとってこの記事が少しでも役に立つことを願っております。

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