見出し画像

1on1を上手に使ってコミュニケーションを深めよう

こんにちは。
10年ほど前に、日本の企業からアメリカの企業に仕事先を変えて、そこで学んだことの一つに 1on1での話( 1対1、つまり二人だけでの話)の文化がありました。さらにその後、独立して会社を始めたのですが、この1on1 ( 以下、1x1と略します)というコミュニケーション手法を私の会社や個々の友達とのコミュニケーション手法の重要な手段の一つとして活用しています。 この記事では、この1x1の考え方や、具体的利用法についてご紹介したいと思います。

 皆さんの職場などでは、1x1でのコミュニケーションは普通に行われていますか? 私は長く日本企業で働いていたのですが、意識して1x1で話す機会をもつという習慣はまず無かったと思います。日本の会社だと、そもそもグループで話することが多く、対面で話すといっても大部屋など周囲に人がいる状態での会話が多かったと思います。つまり、意図的に2名しかいない環境を作ってしっかり対面して話すという機会はあまり無い様に思います。今思えば、日本企業で1x1で話すというのは、人事の伝達、賞与査定、給与改定などに限られていたように思います。

 そういう長い日本企業での経験から、その米国の企業で働いて一番驚いたのは、初期のトレーニングの中で、1x1というコミュニケーション手段を基本にしているということでした。これがこの会社で最も大事にしているコミュニケーション手段であるこということ、直接の上下関係の間だけではなく、会社の中のだれとでも1x1をして構わないこと。この1x1制度を基本的な権利として会社が提供している、ということです。もちろん会社なので1x1を設定するには、仕事に関係する内容が優先されるべきで、目下の仕事のすすめ方、チームの課題、目下の自身の課題、お互いの期待値の確認、この先について、等幅広い内容を率直に話すことができました。3人以上いる場面で話せることと、2名しかいない1x1環境でしか話せることは自ずと違ってきます。ここが1x1を行う最大の理由だと思います。

 やり方は、基本的にスケジュールがオンラインで公開されている人は空いている時間をみつけてそこに30分の1x1時間を設定して依頼すればいいだけです。もしくはアドミ(秘書など)の方に連絡するか、直接メールで依頼してアポイントをきめます。もちろん相手は忙しいこともあるので断ることもできますが、原則は都合のよい日時を提案するということで成立させるわけです。直接の上司でもいいですし、その上や、さらにその上と直接話すこともなんら問題ありません。チーム同僚はもちろん、別の組織の幹部、海外の別の部門の人でも問題ありません。直属上司の更に上と1x1で話すというのは直属上司の方は嫌がることも多いのではないでしょうか?そこを会社として保証しているということはやっていることに自信がないとできないかと思いました。

 1x1の時間枠: 基本的に1x1は30分で行います。話すポイントを明確にして30分以上かからないように注意して行う癖をつける必要があります。もし話が早く終るのであれば、そこで切り上げて、お互いに時間を節約するというのも意識しています。

 1x1の頻度: 同じ仕事やプロジェクトをやっているメンバーであれば、毎日ミーティングをする場合もあると思います。ただ特定の人との関係を維持するために、定期的な1x1をお互いに約束してカレンダー上に設定するのがよく行われていましたし、今の仕事ではこれを駆使してコミュニケーションを確保しています。まず、同じ仕事をしている主要メンバーとは、Weekly 1x1 を設定します。毎週1回行う、という意味です。曜日と時間を約束してカレンダーにいれてしまいます。毎週でなくてもいい場合は、隔週のBiWeekly 1x1 として設定します。通常この間隔ぐらいが同じ仕事を一緒にやっているメンバーとのコミュニケーション頻度でしょう。これより間隔が広いMonthly 1x1, Bi-Monthly 1x1, Quarter 1x1になっていくと、最近はどうですか?という定期的な状況確認と挨拶という意味合いに変わっていきます。それでも設定しておくと、特定の人とある頻度で会話するということを意図的に行えます。 そして1x1を定期的に設定するとき、3ヶ月とか半年ぐらいの終わりも設定しておきます。この期間を終えるときお互いに継続する意味があるか、を確認するためです。

 1x1の場所:日本の企業で一番困るのは場所だと思います。人が多い大部屋では1x1を行えません。かといって、20人の会議室が数個しかない会社では、皆が1x1をする場所を確保するのが難しくなってしまいます。勤めていた米国の企業では、会議室は6席程度のものがたくさんあり、これもカレンダー上で確保できました。また、海外など異なる拠点や自宅や外出先にいる方と1x1を行うための一人作業ブースもかなりたくさん配置されていました。このような設備を配置するには、このような1x1を含めたコミュニケーション手段に対する会社全体での認識があるからこそできるのだと思います。では、そのような場所がないときはどうするか?オープンエリア、カフェテリア、食堂などを用いて行うことも多かったです。
 オンライン、つまりリモートで行う場合に気になるのは、相手の話している環境がよくわからないことです。人によっては、周囲に人がいてパソコンのスピーカで声をだしている環境でやる方もいるかもしれず、それではクリティカルな内容を話す場合も多い1x1は成立しません。相手がリモートの場合は周囲環境は確認が必要ですし、話す内容によっては対面で行う必要がでてきます。

 以上のようなやり方で1x1をうまく導入することで、仕事やプロジェクトをリモートも含めて、仕事を効率化できるのではないかと思っています。 
一方で、課題もあるので記載しておきます。
 持ち時間制約がある:自分の人との関わりという管理スパンとの兼ね合いですが、例えば8時間フルに使えば16名と話せるのですが、疲れ果てますし、半分ぐらいの1日の8名でも話た内容をメモして、整理して、アクションにつなげるには少し多いかもしれません。 私は、一日4件ぐらいにして週3−5日1x1枠を設けています。これによって、週12件から20件ぐらいの1x1時間を確保して仕事を進めています。目下の仕事の推進のための状況確認、依頼事項の議論、少し先の事案の推進、そして時々話す方々との状況確認を目的にしています。課題としては、自分が投下できる時間枠を頭にいれておくということが必要かと思います。

 1x1だけに頼らない: 当然ですが、複数の人に同じ内容を話すときは、グループミーティングが効果的です。基本30分枠を駆使して行います。が、日本だと10−20名も参加者がいて、ほとんどの人は話さず聞いているだけ、というミーティングが多かったのですが、人数が多すぎます。原則、話さない人を参加させる必要はないです。6名以下がまあ適切なミーティング人数かと思っています。
 そういう意味でいえば、数十名以上の大人数を集めた説明会、伝達もやることに一定の意味があるのですが、多くの人の時間を奪う行為であるという意識の下でやるのがいいと思っています。そもそも一方的に説明して質問も受け付けないのであれば、ビデオにとって非同期で見てもらえればよいと思いますし、会社幹部の説明の大半はビデオで良いとおもいます。勤めていた米国企業では、大人数を集めた講演会などの後に必ず質問時間がとられるのですが、数十人が列をつくって質問をする、という光景をみてきました。ここも日本企業とは文化が違うな、と感じました。

以上のような方法を取り入れて、コミュニケーションをとって、仕事やプロジェクトを進めています。 皆さんが知っているもっと良い方法を是非教えてください。

ありがとうございました。よい一日を。
 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?