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『火吹山の魔法使い』と老舗鰻屋の秘伝のタレ

たとえばのお話だけど。たとえば老舗鰻屋さんの秘伝のタレ。創業以来何代も継ぎ足しで使っている秘伝のタレ。歴史と伝統がどっぷり染み込んだ秘伝のタレらしいけど、繁盛店であればあるほどタレをどんどん消費しちゃって頻繁に継ぎ足しするから、何週間かでタレの内容物がほぼ入れ替わっちゃうんだってね。創業何年って言ったって、いやいやそれ新品のタレですからってね。

たとえばお皿とかの洗い物でお世話になっているキッチン洗剤。最初はスポンジにちょこっと垂らして使ってるけど、溶剤が減るにつれて洗剤ボトルにお水をちょこちょこ継ぎ足して延命処理して洗っちゃうよね。泡立ちに関してはさ、ほら、スポンジにジャブジャブ注ぎ込めばまだまだ使えるしさ。最後の方なんて継ぎ足しし過ぎてほぼお水じゃん。でもしっかり泡立つし、ちゃんと油物も洗えるってね。

たとえば人間。人間、そう簡単に変われるものじゃない。なんてよく聞く台詞だけどさ。生物学的な考察では、細胞レベルで人間って生き物を語れば、皮膚細胞ならば約4週間、長いもので骨細胞なら約4年で新しい細胞に入れ替わるってのが定説なわけで。つまり人間程度の大きさの生き物なら、約4年間で身体中の細胞がすべて新しく入れ替わるわけで、それってもはや別人じゃねってね。今週のあなたは先週のあなたのままですか?

というわけで葉落々の『哲学シャーク・オブ・ザ・デッド!』の時間がやって来ました! 今回の『大學奇譚 葉落々の準備室』は哲学回! ネットミームと化したサメのごとく獲物を丸呑みにして理解する哲学シャーク! 今回哲学するのはアドベンチャーゲーム!

   

アドベンチャーゲームブックをご存じですか?
簡単に言っちゃえば、読み手の選択によって物語の展開が変わる小説みたいなものです。結末に向かって読み進めていく読書の過程は変わりません。ただし、文節が選択肢になっていて読み手は本のあちらこちらに飛んでページに書かれた物語を再現し、追体験する。それがアドベンチャーゲームブックです。
たとえばのお話だけど。

・アドベンチャーゲームブックの歴史を調べる。 → 3へ進む

・一つのアドベンチャー小説として物語を読む。 → 2へ進む

・だからどうした? 『大學奇譚』の話をしよう。 → 8へ進む

   

あちこちページをめくるのもめんどうくさい。ページ通りに読み進めてみましょう。
もちろんそれも本としての楽しみ方の一つです。ゲームブックとコンピュータゲームとの大きな違いはゲームシステムのマスタリングをスクリプトに任せるか、自分の脳内で物語を継ぎ接ぎして再構築するか。それくらいの些細なものです。 → 6へ進む

   

多くのゲームブックファンが語るアドベンチャーゲームブックの元祖はこちらです!

『火吹山の魔法使い』(S・ジャクソン、I ・リビングストン著 浅羽莢子訳 1984年初版)

これはもう断言しちゃっていいでしょう。ファンタジーな世界設定から本の装丁にいたるまでページをめくるのすらわくわくする最高にクールな一冊です。 → 5へ進む

   

 それはまるで本をラストシーンから読むようなものじゃね? と感じるかもしれませんが、そういうストーリー展開も小説の技法として普通にあり得ます。それも本の楽しみ方の一つだと思います。たとえば同じゲームを「強くてニューゲーム」で遊び直すのと同じベクトルです。

・ゲームブックで遊んでみるか。 → 3へ進む

・アドベンチャーゲームで遊んでみるか。 → 8へ進む

   

 選択肢ごとに本のあちらこちらへ飛ばされるので、本の残りページ数から「クライマックスに差し掛かったな!」とか「こいつがラスボスか?」とか、従来の本とはまるで違った物語の追体験ができる。これこそがゲームブックの醍醐味と言えるでしょう。

・ページ通りに従来の本として読んでみる。 → 2へ進む

・コンピュータゲームとの共通点を調べてみる。 → 7へ進む

・コンピュータゲームで遊んでみる。 → 8へ進む

   

 「A」から始まって「Z」で終わるストーリーがあるとします。普通の小説ならば章の順番通りに読み進めて物語を理解してA→Z展開を楽しみます。ですがゲームブックをページ通りに読む行為は展開を先に知って、たとえばバッドエンドも体験しておくことでグッドエンドの成功体験をより鮮やかなものにする遊び方です。 → 4へ進む

   

 シンプルに最適解ルートを進むのがゲームブックのメインルートだとしたら、それがいわゆる「ビジュアルノベル」であったり「ノベルゲーム」であったり、物語を読むのがメインのゲームジャンルです。「もしもあの時に別な道を選んでいたら」という「if」のストーリー展開も楽しめるのが(たとえそれがバッドエンドであっても!)アドベンチャーゲームと言えるでしょう。物語の展開を体験するか。物語の結末を楽しむか。それがゲームとしての共通点であり、同時に相違点でもあります。 → 9へ進む

   

『大學奇譚』は「論文」を駆使して事件解決に臨む現在鋭意製作中のビジュアルノベルです! 『大學奇譚』が気になる方は → https://note.com/f094/n/n8b197d2128e5 へ進む

   

物語の体験を継ぎ足しで作り上げる秘伝のタレのように、細胞が新しく入れ替わってもいつものあなたであるように、ストーリー展開に違いはあれど物語を楽しむという結果は変わらないのがアドベンチャーゲームです。過程がどうなる、こうなる、気になる、それはどうだっていいんですよ。結果を求めて読み進める。それがゲームブックです!

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