見出し画像

「男性性研究」が北欧の福祉社会の根幹を支えている:「男らしさ」規範、「男性の暴力」に取り組む男性、「育児休暇の取得」など

前回、ホフステードの男性性指数(マスキュリニティインデックス)について書きました。日本は突出して男性性指数が高いことについて書いた後も考えていたのですが、男女平等に限らず人権的なことであったり産業構造であったり様々なことに影響を及ぼしている(SDGs時代では悪影響の方が大きい)ことにあらためて気づきました。男性性(マスキュリニティ)の度合いを下げることが、古臭い強い国から、尊敬される国になるために必要なことなのではないかと思うようになりました。そこで、最も男性性指数が低いスウェーデン(男性性指数5、日本は95)をはじめとする北欧は、マスキュリニティについてどのような考え方を持っているのかをざっと調べてみました。

北欧閣僚理事会傘下の北欧の協力機関であるNIKK Nordic Information on
Gender というところが 2018 年に作成した資料を見つけました。そこには、英語の国だけ見ていては気づけないことが書いてあって(実際、北欧諸国はアングロサクソンの国中心に男女平等が語られ、北欧が半周縁化されていることを苦々しく思っているという文献もあります)、非常に興味深いものなので、自分用としても日本語にしたこの資料をnote記事にあげておきます。

親子関係、暴力防止、そして、男性性規範:北欧の男性と男女平等に関するファクトシート」という資料で、男女平等のために男性の「性別役割規範」についての取り組みが行われていることが分かります。
(*本記事では日本では「ジェンダー」の語が正しく理解されていないこともあるので「ジェンダー平等」を「男女平等」と書いていますが、この男女は生まれ持った性別のことではなくて、育つ中で社会の中で身に着けた男性女性を意味しています。)

私は、大学院での研究内容から「性別役割規範」についてお話ししたりする機会があるのですが、その中で、日本での男性らしさをつくる規範、女性らしさを作る規範、について、明確な言葉にして知ることは大切たと感じています。特に、「男女ともに当事者として好ましくない規範を自分自身が実践していることを見つめ考えることが、誰もが生きやすい良き未来へとつながる」ということをお伝えするのですが、女性の方がその趣旨を良く理解して賛同もらえます。

一方、男性によっては耳を傾けてもらうことすら難しく、歯がゆい思いをするのですが、この資料は読んでいて、自分の考えている方向性を支えてもらえるような勇気づけられるようなものを感じました。ぶつ切りで、長文で、文字ばかりですが、必要なところだけでも抜き出して読んでいただけると嬉しいです。

資料を読む前に:性別規範の話するとあるある注意事項


男性でこれを読んで「責められている」と感じたり、女性で「だから男性はダメなんだ」と感じるとしたら、男性性を均一にとらえていて結局従来の「性別役割規範」にとらわれたままになってしまいます。このことにも注意をはらいながら、参考にしていただければと思います。以下、資料内容です。


北欧では男性が当事者として取り組む


北欧諸国では、ジェンダー平等を実現するためには、男性が当事者として取り組みに参加し、「男性性規範」に挑戦する必要があることが国家レベル十分に認識されている。北欧諸国では、男性とジェンダー平等という政策領域は高い優先度を与えられており、それに応じて、男性の暴力、子育て、男性のジェンダーロールの見直しまで、あらゆることに焦点を当てた多くの施策が実施されている。

北欧も以前は、男女平等改革について女性の状況に焦点をあててきたけれども、男女間の権力と資源の不公平な分配をより公平にするには、男性もこの課題に取り組み、ジェンダー平等の取り組みに参加する必要があると認識されている。

女性を抑圧するあり方は、男性の生活にも影響を及ぼすことが理解されている。「男性性規範」は、男性の性別役割と男性が人生で直面する状況に影響を与えていて、男性が指導的立場につくということだけでなく、ネガティブな側面にも影響している。例えば、自殺、薬物乱用、暴力、犯罪の統計で男性が多いのは「男性性規範」によるもの。したがって、男性の性別役割規範が変われば、男性自身にも社会全体にも良い影響を与える。

「男性役割規範」(マスキュリニティ規範)の見直しは、北欧のジェンダー平等政策において中心的な重要性を持っている。加害者としても被害者としても、男性の暴力への関与をなくす努力、男性が家庭生活と仕事のバランスをとるのを助ける方法を見つける、「破壊的な男性性規範」を解体するといったことに、特に高い優先度が与えられている。*有害な男性性については、しばしばdistructive masculinity(破壊的な男性性)と表現されます。



「男性性研究」が北欧の福祉社会の根幹を支えている


北欧諸国は、ジェンダー平等や男女平等政策に関して、強い地域であると知られるが、そのために国が投資してきた研究が「男性性研究」(フェミニスト研究の視点を含む)だ。

「男性性研究」は比較的新しいもので、「男らしさ」や「男らしさに対する見方」が問題だと認識された1970年代に登場した。シモーヌ・ド・ボーヴォワールの「生まれながらにして "男 "である者はいない。"男 "になるのだ」という見解に触発され、男性性研究者は男性性がいかに社会的・文化的に構築されるかに関心を持つようになったのが始まり。

北欧では、活動家、研究者、政策立案者の国内および北欧のネットワークの緊密な協力のもと「男性性研究」が展開されてきた。男女平等志向の家族政策に重きを置くことを中心に研究され、その結果、北欧の福祉国家ができあがった。北欧のすべての国々が数十年にわたり、父親の国民育児保険の利用を増やすために努力してきたように、父性は研究の中で繰り返し取り上げられるテーマでもある。(*日本では戸籍制度を再検討しない限り、概念上、北欧のような男女平等の家族政策になり得ないことにも留意)

北欧各国の男性性研究と男女平等


北欧諸国には多くの共通点がありますが、男性性研究と男女平等の分野には、いくつかの違いもある。デンマークは北欧における男性性研究のパイオニアで、1920年代にすでに、同性愛と男らしさというテーマに焦点を当てた学位プロジェクトが発表されている。最近では、民族性、社会的疎外、学校における男子の成績不振などに関する多くの研究が活発だ。

ノルウェーの男性性研究は、多くの出版物や研究を通じて、北欧地域のこの分野の発展にとって重要な役割を担ってきた。ノルウェーとスウェーデンの両国では、福祉国家のニーズ家族政策の改革に沿って発展してきた。比較的最近まで、スウェーデンの研究は、家庭領域における男性の責任、離婚した男性の親としてのあり方、父親関連政策の発展などに主に焦点を当てていたが、最近になって、スウェーデンでもノルウェーでも、フェミニスト研究視点のジェンダー分野との融合がますます進んでいる。

フィンランドでは、他の北欧諸国と比較して、暴力や社会的疎外に強い関心を持つ研究者が多い。フィンランドが他の北欧諸国に比べて対人暴力の有病率が高いこともその理由と考えられるが、それ以上に複雑な関係がある。例えばアルコールや孤立などの問題を抱えた男性を対象とした研究は、この地域ではよく行われてきた。アイスランドでは、この分野の研究があまり盛んでないとしても、重要性が指摘されている。また、アイスランドはこの分野で最も進歩的な政治改革を実施している。

男女平等のために取り組んでいる分野は「男性の暴力」


北欧諸国では、20世紀を通じて、女性の経済的自立の強化が中心課題だった。1990年代には、北欧のすべての国で、男女平等の取り組みにおける男性の役割が注目され始めた。デンマーク、アイスランド、ノルウェー、フィンランドでは男性委員会が結成され、スウェーデンでは男性の問題を担当する特別職員が任命された。さらに、父親の育児休暇取得を促進するための改革も実施された。2000年以降、男性とジェンダー平等の分野は成長を続け、政策立案の場においてますます足場を固めてきている。

北欧閣僚会議の要請を受け、NIKK(Nordic Information on Gender)は、2005年から2015年の間に男性とジェンダー平等の政策領域で行われた取り組みに関する報告書を作成。この報告書で、男女平等のために重要な分野として「男性の暴力」が挙げられている。「男性の暴力」とは、通常、近しい関係における男性の暴力(多くの場合パートナーをターゲットとした暴力)であって、性的人身売買(売買春)、ヘイトクライムなど他の形態の男性の暴力に関するものはごく限られている。

北欧のすべての国には、身近な人に暴力を振るう男性が行動を改めるための支援組織(多くは危機管理センター)が存在する。彼らの活動は、暴力の加害者の精神科的治療に焦点を当てている。

「男らしさ」規範に疑問をもつことから始める


男らしさやマッチョ文化(日本なら体育会系文化)といった規範に疑問を持つことから始める。疑問をもつべき規範とは、性別役割に関して分かりやすく知られている態度もあれば、目に見えない暗黙的な態度の両方に注意を向けることを目的としている。少年や若い男性に焦点を当て、彼らの人生の早い段階でパターンを変えるようにする。例えば、規範に対する考え方の学習やコーチング、若者の暴力を防ぐための取り組みなどがある。これらの取り組みは、政府機関や団体によって実施されていて、単発的なものもあれば、より継続的なものもある。スウェーデンとノルウェーには、これらの問題に積極的に取り組む、大規模で国が資金を提供する非営利組織がある: MÄNとReform-Resource Centre for Men

北欧諸国は、男女平等を実現するために男性に焦点を当てている。男女平等を過去よりも男性にとって強い関心事とするために、多くの取り組みを行っていて、主に育児休暇の問題に焦点をあてている。中心的なトピックは、育児休暇の一定月数をもう一方の親に譲渡できないようにするなど、育児保険の変更が男性の育児休暇取得にどう影響するか、北欧諸国では父親の育児休暇取得はどうなっているか、など。レビューや統計的な比較は、一般に行われている取り組みだが、男性が親になったときに育児保険のより多くの部分を利用することを奨励するためにも、質的な研究を重視して行っている。

また、男女平等の問題が議論されるとき、男性に対する見方が少し一般化しすぎてしまうことがある。男性と男女平等の分野における問題のひとつは、少年や男性が均質なグループとして語られることで、男性の当事者としての多様性を無視して語ると、男性が社会で直面する様々な状況を見逃してしまう。例えば、LGBTQの人、障害を持つ男性、高齢の男性、人種差別を受けた男性などが、見えなくなる危険性がある。その結果、介入策に影響を与え、ジェンダーの平等を達成することがより難しくなる。

「男性の暴力」に対する取り組みは、交差的な視点(男性であることに加えて他にどんな属性があるか)がしばしば欠如し、男性と女性が同質なグループとして扱われがちだ。その結果、高齢の女性では経済的自立が重要な要素となりうる年齢などの要因が無視されたり、同性間における暴力が見過ごされたりすることがある。また、男性を1つのグループとして対象とした介入策は、性差に挑戦するのではなく、性差の認識を再生産する可能性があるというリスクもある

重要なのは、性別に関連する規範に疑問を持ち、それに対して働きかけること。そうすることで初めて、男性の性別役割を再定義することが可能になる。


北欧諸国の男女平等に向けた協力関係

北欧の協力関係では、数十年前から男女平等活動への男性の参画の重要性が強調されてきた。北欧男女平等基金は、この分野における数多くの新しい協力関係の立ち上げを支援してきた。

北欧諸国は40年以上にわたって、北欧閣僚理事会の支援のもと、男女共同参画の分野で協力してきた。1989年から1993年までの最初の協力プログラムでは、「女性と男性が有給休暇と家庭生活を両立させる可能性」というテーマが掲げられていた。北欧のすべての協力の基礎となる、その後のすべての協力プログラムで、男性や男女平等に関する問題を重視して取り上げてきた(この分野における北欧の研究を発展させることが、優先的な目的だった)。

2000年代初頭、この分野の研究のための北欧共同プラットフォームを確立することを目的として、北欧女性学・ジェンダー研究所に「北欧男性研究コーディネーター」が任命された。このコーディネーターは、会議、出版、ネットワーキングといった形で、北欧の協力プロジェクトを立ち上げてきた。今日、この協力関係は、男性という集団が経験する男女平等の課題に焦点をあてている。この分野は、かつては平等を求める女性の闘いへの男性の参加に焦点を当ていたけれど、現在は、健康、疎外、父親としての地位など、男性特有のジェンダー平等に関わる問題に重点を置いたものに移行している。

北欧ジェンダー情報局(NIKK)が運営する北欧ジェンダー平等基金を通じて、北欧閣僚理事会は北欧諸国の発展を目的とした様々な協力プロジェクトに資金を提供している。次に、男性と男女平等に焦点を当てたプロジェクトの一部を紹介する。


被害者ではなく「加害者の暴力」に焦点を当てる


ジェンダーに関連する暴力は、北欧のすべての国で広範かつ持続的な問題で、従来は被害者に焦点が当てられていたが、アイスランド大学のジェンダー・平等・差異研究所のパールスドッティル(Kristín Pálsdóttir)氏は、加害者に注意を向け、彼らの行動を変える方が重要であると指摘しています。

暴力のパターンは、加害者に焦点を当てることによってのみ変えることができる。彼らの行動を変えるためには、ジェンダーロールと破壊的な男性性に働きかけることが重要。そうして初めて、より男女平等な関係を実現し、女性は男性の所有物であるという有害な態度をなくすことができる。ジェンダーに関連する暴力は、破壊的な男性性による考え方に根ざしていることが多いからだ。

パールスドッティルによると、この分野では多くのことが行われている。彼女は、北欧のジェンダー平等基金の助成を受けた北欧のプロジェクトの連絡担当者でもある。このプロジェクトに関わる組織は、2016年秋に「ジェンダーの暴力に立ち向かう」と題した会議を開催し、加害者に焦点を当てた。この会議の目的は、北欧のさまざまなアクターが集まり、この問題にどのように対処しているのかを比較・議論することでした。

北欧の国々には、加害者に対してどのような治療法があるのか? この分野の研究は何を示唆しているのか? ジェンダー関連暴力の加害者が暴力の連鎖を断ち切るために、北欧諸国ではどのようなモデルが使われているか? を示す報告書が会議で発表された。「会議は、関連するさまざまな職種の代表者、暴力防止の専門家、研究者、警察官など、多くの人が集まる本当に良い会議でした」とパールスドッティルは語る。この基金プロジェクトの目的のひとつは、北欧のネットワークを構築し、経験談を共有することだ。
*日本では男性性指数高く調査が統計に偏りがちで、経験談の共有の重要性の認識薄いが「経験の共有が変化のためには重要」という認識が欧州にはある。

男性も男性の性別役割を変えたいと考えている


男性という性別の支配的な役割は、多くの点で問題がある。現代の大衆文化では、男性はしばしば、暴力を使うことをためらわない強い一匹狼として描かれている。北欧の男性組織のMenEngage Nordenでは規範について議論することで、男性の性別役割を変え、暴力のパターンを断ち切りたいと考えている。(英語OKの人はこの組織のグローバルリンク内の動画が分かりやすいです)

男女平等を最優先課題とするこの組織は、2014年、北欧ジェンダー平等基金の助成を受けたプロジェクトを通じて誕生。「アイデアや戦略を共有するためのプラットフォームの必要性を感じていました」と言うことで、当時は、ムーブメントを作ることに主眼が置かれていた。「男性とジェンダー平等はまだ新しい分野なので、他人と話を始める前に自分自身を定義することが重要」と、前コーディネーターのトーマス・アグネモは語る。

北欧諸国では、ジェンダー平等の問題への男性の参加に関して、各国で少しずつ異なる伝統がある。スウェーデンでは、MÄN(男性が女性に対する暴力に対して行動を起こすためのプラットフォームとして設立された非営利のフェミニスト組織)が1993年にすでに結成されている。ノルウェーでは、2002年にReform - Resource Centre for Menが開設された。他の国の組織はもっと若い。MenEngageの重要な任務のひとつは、家父長制と男であることの意味を問うこと。もうひとつの中心的な要素は、「男性や少年たちがこうした問題に関わることをどのように奨励するか」という議論だ。2017年、彼らは会議「Making the Invisible Visible見えていないものを見える化する)」を開催。また、組織の知識をより多くの人に広めるために、オスロで「ジェンダー・ジャスティスの実践のための少年・男性の社会的規範の変革」を開催した。
*ジェンダー・ジャスティス:ジェンダーにおける社会正義(女性であるという理由でによって抑圧されない、暴力をうけない、人権が侵害されない、貧困に追い込まれないなど)

プログラムには、反暴力の取り組みに男性を参加させる方法、ネガティブな「男らしさ」に対処する方法に関するワークショップが含まれる。参加者は、自治体の代表者、ジェンダー研究者、活動家、政治家で構成されていて、この会議は、社会におけるジェンダー関連の暴力の割合を減らすことを目的として開催された。「暴力の問題は非常に重要です。暴力の加害者はほとんどすべて男性です。男性による加害は、機能不全に陥った社会の症状なのです」とアグネモは言う。

性別と労働市場の問題


性別で分化した労働市場は、北欧の国々が共通して抱える課題だ。例えば、介護看護分野は女性が多く、北欧の看護師養成課程では男性の確保が難しい。アイスランドでは、看護師全体のうち男性はわずか2%。デンマークとノルウェーでは、それぞれ3.5パーセントと9パーセントです。北欧の男女共同参画基金が資金提供するプロジェクトでは、看護師養成課程を調査し、より多くの男性を採用し維持するために何ができるかを考えている。「労働市場をより男女平等にするためには、介護看護の分野で男性を増やすことが重要。また、職場の多様性にもつながります」と、プロジェクトリーダーのヘッダ・ハクヴォーグ氏(Norwegian Reform - Resource Centre for Menのシニアアドバイザー)は言う。

ハクヴォーグ氏によると、介護看護分野では労働力が不足しており、同時に多くの若い男性が看護師のような「性別に関係なく」できる仕事を避けているという。そこで親保険制度の見直しもプロジェクトに含めている。
*親保険制度:育児期間中の経済的支援策として、労働法制上の育児休業制度および育児休業期間中の所得保障を行う親保険制度がある。育児休業は、子が8歳又は義務教 育第1学年修了までの間に取得することができる。親保険の給付は、妊娠手当、両親手当、一時的両親手 当から成る。海外情勢報告.indb (mhlw.go.jp)より

2つの男女平等機関と2つの大学が、北欧諸国における介護看護分野の男性の割合の低さについて調査している。具体的には、看護プログラムがどのように推進されているかを調査、プログラムコーディネーターに、プログラムの一般的な雰囲気からプログラムのデザインまで、あらゆることについてインタビュー調査を行っている。「彼らは何をうまくやっているのか?何がうまくいって、何がうまくいかないのか」、その結果に基づいて、看護師養成課程に男性を採用し、維持する方法についての提言が作成され、その結果は、報告書として発表される予定だ。「この研究が政治的な影響を与え、変化に貢献することを期待しています」とハクヴォーグ氏は言う。


性別役割規範を変えるために育児休暇取得の不平等をなくす


北欧諸国では、様々な異なる改革を通じて、男性の有給育児休暇の取得を増やそうとしてきたが、その努力にもかかわらず、北欧でも女性は男性よりもはるかに長い育児休暇を取得している。2017年に北欧男女共同参画基金が資金提供したプロジェクトでは、北欧諸国の育児保険制度を見直し、その設計が女性の有給労働への参加や男性の育児休暇の取得にどのように影響するかを明らかにする計画がある。

「育児休暇における男女平等は、社会の多くの分野で大きな効果をもたらすので、目指すべき重要なことです。男性が子どもに対してより多くの責任を負うことで、人間関係がより男女平等になり、ジェンダー規範を変えることができる。また、労働市場における女性の状況にも影響し、例えば、給与や年金がより男女平等になる」と、スウェーデン女性ロビーのプロジェクトマネージャーであるヨハンナ・ダーリン氏は言う。

この基金プロジェクトは、スウェーデン、ノルウェー、アイスランドの女性団体による共同プロジェクトで、加盟団体はすでに数回会合を開き、この分野の制度や最新の研究の検討を始めている。その結果は報告書として発表され、男女平等を高めるためにどのようにシステムを改善できるかの提言も含まれる。

プロジェクトの目的のひとつは、北欧の政策立案者が次のステップに進むのを支援すること。2018年秋には、北欧の閣僚を対象とした会議を開催する予定だ。育児保険と男性の育児休暇の取得は、女性運動にとって長い間重要な課題だったけれども、この分野の進展は非常に遅い。「そろそろ変えていきたい。最良の方法を特定し、各団体がそれぞれの国で全国的に推し進めることができるような要求を策定したい。」と、ダーリン氏は語る。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?