地域ブランディングとは
地域ブランディングとは、地域産業の活性化や地域自体の魅力・競争力を高めるために、官民一体となって行うブランディング活動です。
たとえば、「新潟清酒」や「岡山ジーンズ」など、地域の特産品や産業を世界市場で販売できるようになることです。
または、地域のPRを行い、インバウンドを含む観光客を誘致するなども地域ブランディングといえます。
〈目次〉
1. 地域ブランディングの目的
(1)地域ブランディングの重要性
(2)地域ブランディングと企業ブランディングの違い
2.地域ブランディグの進め方
(1)地域全体でコンセプトを打ち出す
(2)地域色を出した新商品や特産品をPRする
1.地域ブランディングの目的
地域ブランディングの目的は、「地域ブランド」の価値を梃子にして「地元企業を活性化する」ことです。
たとえば、「シャンパン」はワインのカテゴリーであると同時に、世界的に流通している地域ブランドです。
世界には星の数ほどスパークリング・ワインがありますが、シャンパーニュ地方で作られたもののみ「シャンパン」を名乗ることができます。
シャンパーニュには、モエ・シャンドンやヴーヴクリコなど有名なもののほかに無名のブランドもありますが、地域ブランドが一様に「傘」となることで、無名であっても他のスパークリング・ワインよりも価値のあるものとみなされ、高い価格で売られています。
また、地域ブランディングには「地域自体の魅力・競争力を高める」という狙いもあります。
こちらはインバウンドなど観光客需要を狙ったもの、または地域の過疎化などを懸念し「街の人口増加」を目的としたものです。
そのためには、観光名所のほかに特産品やB級グルメのPRなど「他地域の人が来たくなる」施策が官民一体で行われています。
(1)地域ブランディングの重要性
何故、地域ブランディングに取り組むのか?まず思いつくのは「地域の生き残り」です。
ご存知のように東京や大阪などの大都市ではない地方都市、各地域は人口流出が常態化しています。
また経済がグローバル化したことによって、たとえば中国からの安価な商品が地場産業を衰退させてきました。
つまり、これまでにない人口減少や競争環境にさらされ、地域においてもブランディングが重要になったのです。
一方で、経済のグローバル化は地域経済にとって市場機会でもあります。
現在では、世界中の特産品・商品がインターネットを通じて認知され、かつ購買することが可能です。
たとえば、パルミジャーノ・レッジャーノが挙げられます。
このチーズも、もともとはイタリアのパルマ、レッジオエミリアといった小さな街のローカル・チーズでしたが、いまでは世界中で消費される食品になっています。
人口流出や安価な外国製品という問題は、このような地域ブランディングによる「攻めの姿勢」によって解消される可能性があるのです。
(2)地域ブランディングと企業ブランディングの違い
ブランディングそのものの考え方や方法はそれほど変わりません。
しかし、地域ブランディングと企業ブランディングとでは実務的なプロセスでは大きく違うと思います。
一番の違いは、官民一体の言葉からもわかるように、地域ブランディングにかかわる人たちの顔ぶれと人数です。
たとえば、地域の役所が旗振りとなって商店街や商工会議所を巻き込みながらブランディング戦略を考え実行していく。
そこに参加する人たちのコンセンサス作り、実施の協力を仰ぐための説得などは企業ブランディングの比ではないでしょう。
同時に参加する人たちは、必ずしもマーケティングやブランディングを理解した人材ではないことも挙げられます。
次に商品の問題があります。たとえば、「青森りんご」や「神戸牛」のように誰もが認める商品力を備えたものがあればよいのですが、現実にはそのようなことは稀です。
多くの場合、「これから何を目玉商品にしようか」ということから考えなければならないことが多いでしょう。
その時、競争力のないものを「ある」とみなしてしまうこともあります。
最後に予算の問題もあります。地域ブランディングでは、県や国の補助金などを使うことが多く、その金額は必ずしもブランディングに十分なものではないことが多いものです。
このような「ヒト」「モノ」「カネ」の制約が多い中で、地域ブランドの戦略を決めて実施していくのは、とても大変なことです。
2.地域ブランディグの進め方
地域ブランディングのアプローチとしてよく見られるものは、以下になります。
・地域全体でコンセプトを打ち出す
・地域色を出した新商品や特産品をPRする
(1)地域全体でコンセプトを打ち出す
もともと地域がもっている魅力やイメージを、統一コンセプトとして打ち出す方法があります。
たとえば、香川県は「うどん県」、大分県は「おんせん県」、「餃子のまち、宇都宮」などです。
さらには、京都や奈良の「歴史」、知床や屋久島の「自然環境」なども例として挙げられます。
もちろん、これによって狙うのは観光客の増加です。地域の特徴をシンプルに言い表すことで「来るべき場所である」「観光の目的地(JRが行うディスティネーション・キャンペーン)」を示すわけです。
これの良いところは次の3つです。
・すでにある観光資源を活かすので、あらたに商品開発をしなくてよい
・そのままの商品で十分説得力がある
・コミュニケーションにフォーカスして、おカネを使うことができる
一方で、もし商品が中途半端なものや、購買に耐えられるものでない場合、消費者の失望で地域ブランドのイメージを落とすリスクもあるでしょう。
インバウンドを狙って観光協会のウェブサイトに大きなお金をかける地域がありますが、その前に「わが地域の売り物は本当に商品として買うに足るものか」「商品力はあるが、地域施設は“もてなし”のレベルにあるか」などを検討する必要があります。
(2)地域色を出した新商品や特産品をPRする
ここ数年、「ご当地グルメ」で地域をブランディングする事例が多く見られます。
「金沢カレー」「大阪お好み焼き」「門司港焼きカレー」「月島もんじゃ」「讃岐うどんバーガー」「湘南しらす丼」「福井ソースカツ丼」「よこすか海軍カレー」などです。
これらはもともと地域がもっていた「食のブランド資産」「イメージ」を、地域ブランドのパッケージに昇華させたもの、または新たに開発されたものと思われます。
まず、ご当地でB級グルメのイベントなどを行います。
ご当地キャラの「ゆるキャラ」も登場し、県外からの観光客に楽しんでもらう。
参加したお客さんは当日、SNSで県外へ発信。
さらには、「後日、ネットでリピートしてもらえるとありがたい」という流れになります。
この取り組みは、企業の行うブランディングに近いと思われます。
引用元: 「世界をワクワクさせよう。webサイト
以上
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