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人波に紛れて

人波を撮るのって難しいようで簡単だったり。
人波に向かって何回かシャッターを切れば、そのうち一枚ぐらいいい感じのが紛れてる。

東京にいた若い頃に、なんだかとても虚しい気持ちになったことがあって、会社を休んで、新宿まで出かけていって、西武新宿線の駅の近くかな、歌舞伎町かな、その辺りの喫茶店に入ってボーッとしていた時がありました。

その前後で何をしたかは覚えてないけど、もしかしたら別の日かもしれないけど、伊勢丹の近くにあった映画館に行って、たけしの映画と、オードリー・ヘプバーンのサスペンスものの映画を見ました。
あまり面白くはなくて、良い気分にもなれませんでした。

東京には沢山の人がいて、それこそ駅にはこぼれ落ちるぐらいの人がいて、だけどその全員が自分と何も関係のない人々で、なんとも言えない孤独感を味わいました。孤独の街、東京。

僕の周りの(と言ってもほとんど会社関係の)人たちは朗らかでいい人ばっかりで、だけどそれは会社の中だけ、寮の中だけ、の関係で、そこから外れたら他になんの繋がりもない。

遊びに行っても、みんな人付き合いがうまくて、うまく調和して、仲良くやれる。会社の中でも、レジャーの時も、ずっといい関係が続いてる。

だけど孤独。

人波に紛れていると、妙な安心感とともに、孤独を感じる時があるのです。
人恋しくて街に出るのかどうか知らないけど、街を歩けばいつもひとり。

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