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ドローンでも空飛ぶクルマでもないORB(オーブ)とは?

アメリカ空軍はORB(オーブ)というカテゴリーを定義し、市場創出をしていくというアナウンスを行っています。このプロジェクトはAgility Primeと名付けられ、今後数年にわたり資金供給やコンテストが行われます。では、ORBとは何でしょうか?

米軍の説明によると、ORBとは以下の条件を満たすものとされております。

・電動のプロペラ推進機構
・電動のパワー供給機構
・有人、遠隔、自動運用が可能
・垂直離発着が可能
・標準パーツ利用
・商用への転用が可能
・基本はローターで浮揚

また、いくつかの理由により、以下のカテゴリーには属さないものだとされています。

・航空機ではない(滑走路を必要としないため)
・ドローンではない(ドローン違い人を運べるため)
・ヘリコプターではない(ヘリほど巨大でうるさく高価ではないため)
・空飛ぶクルマではない(道路や滑走路が必要ではないため)

さらに、ORBの特徴として以下を挙げています。

・滑走路が必要ではない
・メンテナンスが楽である
・長期間使える
・コストが安い
・静か
・安全

アメリカ空軍は、この領域で約30社のプレイヤーを新たに支援するということも明言しています。新たな時代の防衛戦略が見え隠れします。航空業界、ドローン業界の皆さん、ORBというワード、覚えておきましょう!

ちなみに、NASAはこの領域を概ねAAM(Advanced Air Mobility)と呼んでいます。ORBはあくまでも空軍での呼称です。つまり、この領域は米空軍やNASAから見ると概ね一つのカテゴリーに収まっており、サイズによって細分化されます。小さいのから大きいのまで順番にいくと以下のようになります。

1.都市圏物流機(UAS)
2.個人用飛行装置(GoFly)
3.超軽量航空機
4.軽量航空機
5.都市圏貨物機
6.都市圏エアモビリティ(UAM)
7.広域エアモビリティ(RAM)

日本ではこの辺がドローンと航空機でごっちゃにされていますが、米国では明確に定義されつつありますね。

思うに、航空機は全体的に滑走路を必要としない世代に進化を遂げつつあり、これは恐竜の範疇で滑空が中心だった始祖鳥が、いよいよ鳥類に進化を遂げるような劇的なテクノロジー進化のマイルストーンに今差し掛かっているということを航空産業の人たちが明確に意識し始めているのではないかと思います。


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