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スポーツ選手が会計にもたらす影響について(プロ卓球チーム琉球アスティーダの分析)

はじめまして、金融エクスプローラーです。学生でまだまだ未熟ですが、Twitterやnoteを通じて、金融や会計で興味の持った出来事を分析していきます。 
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先日、大手町のランダムウォーカーさんと黒澤友貴さんによる学生企業分析講座を受けました。そこで学んだことを生かし、今回はプロ卓球チームを運営する上場予定会社、琉球アスティーダを分析していきます。

誤った認識をしている部分がありましたら、指摘して頂けると嬉しいです!

この記事の概要

私は今回、琉球アスティーダがプロスポーツチーム企業として、日本初の株式上場を目指している点に注目しました。なぜなら株式上場により、日本のプロスポーツで初めて財務状況の公開が行われるからです。そこで琉球アスティーダの所属選手が会計にどのような影響をもたらすのか予想していきます。

琉球アスティーダとは

プロ卓球リーグ「Tリーグ」に参戦するプロチームの運営を中心に『沖縄×スポーツ×○○』で事業展開を進めている会社。参戦している「Tリーグ」とは、世界No.1の卓球リーグを実現するという理念で2018年に結成された日本の卓球リーグ。参加チームは現在男子・女子それぞれ4チームずつです。水谷隼選手などオリンピックのメダリストも「Tリーグ」でプレーしています。「琉球アスティーダ」には、福原愛さんの夫である江選手や、リオ五輪の団体戦銀メダルを獲得した吉村選手が所属しています。

市場環境分析

政治、経済、社会、技術面からスポーツビジネスを分析していきます。(この分析手法をPEST分析といいます)

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コロナの蔓延により、オリンピックの延期がスポーツ界に与える負の影響は大きいと思います。一方でリモート化が進み、テレワークの普及や地方への回帰が起きるでしょう。運動に割ける時間の増加や地方の再興は、地方密着のスポーツビジネスにとって追い風になるのではないでしょうか。

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若年層や高齢者を中心に卓球は人気のスポーツです。オリンピックを契機に、幅広い世代で卓球が注目されると期待されています。

琉球アスティーダのビジネスモデル

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琉球アスティーダは、「Tリーグ」の試合入場料など卓球ビジネスを中心に売上を伸ばしています。特徴的なことは、スポーツバルや卓球スクールにも注力していることです。一般的なスポーツビジネスは、チケット代、スポンサー、物販、放映権によって収益を上げています。上記のビジネスに加えて、スポーツバルや卓球スクールの注力により、琉球アスティーダは卓球の普及や地域活性化を図っています。

琉球アスティーダが上場を目指す背景

株式上場とは、株式を誰もが保有できる状態にして出資者を募ることです。一般の方から預かったお金をもとに企業を経営することになるため、財務状況の公開など積極的な情報開示が求められます。
琉球アスティーダは、積極的に情報開示することにより、スポーツチームにお金を出しやすい環境作りを目指しています。

琉球アスティーダの選手はどのように会計に影響を与えるのでしょうか。

資産の予想

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貸借対照表とは、企業がどのような資産(例:土地や建物や商品)を運用しているのかを開示しています。資産は、主に①有形固定資産②無形固定資産③流動資産の3つに分類されます。選手登録権がここで重要な要素になってきます。

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上記で難しく書いていますが、簡単にいうとスポーツ選手が会社の資産になるということです。確かにどのスポーツ界でも、球団に所属する選手によって、球団の人気や順位が変わりますよね。例えば、イニエスタの獲得により、ヴィッセル神戸は観客数を大幅に伸ばしました。株式上場しているイタリアのサッカークラブ、ユベントスは選手毎に会社にとってどれだけの価値があるかを公表しています。

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契約選手を独占的にプレーされる権利(以後、選手登録権)は、会社の資産において高い割合を占めています。以下はドイツの名門サッカークラブ、ドルトムントの資産内訳です。

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株式上場を行っているサッカークラブの事例から、琉球アスティーダも選手登録権を資産計上するのではないかと予想しています。選手登録権は無形固定資産に分類されるため、無形固定資産の割合が高くなると予想しました。

利益構造の予想

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選手登録権は資産だけでなく、会社の収益にも大きく関係してきます。

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先ほど取り上げた2つのサッカーチーム、ユベントスとドルトムントにおける選手売却益の割合をチェックしてみましょう。

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上記のグラフから選手登録権の売買が売上に非常に貢献していることが読み取れます。海外のサッカークラブに限らず、日本でもスポーツ選手の移籍金が利益計上されている例があります。

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さらに、国内のスポーツと比較した時の、卓球ビジネスの営業費用(コスト)にも注目しました。

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卓球ビジネスでは、競技の性質から人件費の存在感が相対的に小さくなると予想しています。

ここから読み取れる考察

今後のプロ卓球の市場規模が、選手による会計の影響を左右すると思います。欧州サッカーでは、選手の年俸や移籍金が高いため、選手の移籍による利益が莫大であるうえ、選手契約が資産に占める額も大きいです。プロ卓球が人気になり、市場規模が拡大した場合、選手の価値は会社の大きな鍵となるでしょう。選手の人件費は他のスポーツと比較して相対的に低い点で、卓球ビジネスを拡大できれば売上が上昇し、利益率(売上-コスト/売上)が高いビジネスが確立されると思います。今後のプロ卓球と琉球アスティーダに注目していきましょう。

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分析は以上になります。

最後まで読んで頂きありがとうございました。Twitterなどで感想や指摘して頂けたら幸いです。フォローもよろしくお願いします。

最後になりますが、このような企業情報を発信する契機を与えてくれた大手町のランダムウォーカーさんと黒澤さんにこの場でお礼を申し上げます。

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