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日本人はなぜキレやすいのか。

「なんで言わなきゃわかんねえんだよ!」「空気よめよ!」
いじめを受けた日本の学校で息子が何度も言われた言葉だとおもう。息子は心の中で「言わなきゃ分かるわけないよ。」「どの空気?」とか思っていたと思うけど、だんだん無口な子になってしまった。この学校は、帰国子女も受け入れる国際を売り物にしていた中高一貫校だ。

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日本人はキレやすい。自分の経験だけからなので一般論とはいえないけど、仕事がら多分50ー60カ国以上の人との仕事を経験したと思う。そのなかで一番キレやすかったのは日本人だった。というより、日本人以外にキレられた経験がおもいだせない。そしてそれは特に私が日本人だったからなのかと思う。

日本はものすごくハイコンテクスト(high context)の文化をもつ社会だ。”あえて言葉にだして言わなくても、みんなが同じように理解し分かってもらえる共通概念を共有している文化”をもつ社会だ。だから日本人相手には無意識にその文化を共有しているはずという前提を押し付ける。だから「”日本人のくせに” なんで言わなきゃわからないんだよ!」というイラつきが”キレる”につながったのかとおもう。

飛行機のなかでCAに怒鳴り散らすおじさんを見たことが数回ある。これも日本のおじさんだけで、日系航空会社だけだ。一番ひどかったのは、ナイトフライトの機内で彼の怒鳴り声が何10分も響き渡っていて、CAの人は泣いていて、となりに彼の子供が二人(たぶん恥ずかしそうに)座っていて、そしてエコノミーだった(これは大して意味がないけど、たぶんビジネスの人だったらここまで下品な光景は少ないのかなという勝手な想像、知らないけど)。言葉の問題もあるが、たとえ日本語をしゃべったとしても、外国人のCAには怒らないだろうなと思った。

いろんな国の人と働いていた時、「どうして言わなきゃわからないの!」というイライラはあまりなかった。だって、明白。言わなかったから。そして私にわかってもらいたいことがある時は、相手が言ってきたから。

言ったからといって、理解したり賛成してもらえるわけじゃない。けど、言わないと始まらない。言葉にするから自分が何を考えているかを相手に知ってもらうことができて、その先に議論があって、その先にもしかしたら理解があるかもしれないし、ないかもしれない。けどもし理解してもらえたら、その先に賛成や合意もあるかもしれない。でも日本の社会はそれをぜんぶ省いて、いきなり理解を要求する。(少し違うコンテクストの文化で生きてる人々(女性)がいないと会議が短くていいといった元総理(男性)なんかはその典型かも。みんな暗黙でさっさと理解してくれる人ばかりなら、そりゃあ会議短いよね。でもそれは会議といわないのよ。)

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ハイコンテクスト文化の社会だけで育った日本人は、言葉で説明しないと理解できない”日本人”をいじめて、そしてキレる。他人が理由をいわないまま、言葉で説明しないまま君にキレたり、君をいじめたのもそれが理由だから。と、長くなったけどこれが言いたかった。