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山桜桃 えみ
2020年1月10日 21:31
上質な嘘をまとった姫君は振り返らずに駆け去っていく。優秀な魔法使いがしつらえた靴は彼女にジャストフィットで、あの晩に脱げようはずもなかったが、王子はそれに気づかなかった。選ばれる者は待つふりをしながら、テーブル上の選択カードを巧妙に、かつ着実に切っていた。嘘と駆け引きは紙一重だ。もし今夜、魔法使いに出会うのがあの子じゃなくて私だったら?姫君を追って主賓が出て行った舞踏会では、取り残された姫