見出し画像

(35)里帰り出産ではなく、2人で一緒に出産する選択。

フロリダでの生活も少し慣れてきた頃、マトさんの次の勤務先のリクエストを出せる時期になりました。

ミリタリーに属している=転勤族

です。
アメリカのMilitaryはArmy、Navy、Air Force、Marine Corpsとあります。あ、つい最近はSpace Forceも出来ました。初めて聞いたときは冗談かと思ったけど、本当に"宇宙軍"ができちゃった。いよいよ映画で見た未来の時代に入ったような気がします。Star WarsとかStar Trekとか好きだから、アメリカ人、宇宙物。



『全米ってよく泣くし、よく震撼するよね』

って、横須賀時代勤めていた花屋の先輩が言ってた(笑)
全米驚愕!全米が泣いた!全米震撼!という映画の謳い文句、妙に納得しちゃう気もするが、私はアメリカの映画館では大爆笑に出会う確率のが高い、見る映画にもよると思うけど。何年か前に"Magic Mike"という男性ストリッパーの映画を観に行った。仲良しの93ちゃんと、お互い夫に子供達を託して、静かにゆっくり夜ごはん食べて、デザートにMagic Mikeでも(笑) ってな感じ。あの頃話題の映画だったので、昼間よりもレイトショーなら空いてるだろうと思って行ったら、夜中だというのに映画館はおばさま方でごった返してた。まだ30代だった私達なんて若造な感じ。アメリカのおばさまのフットワーク、ハングリー精神に驚愕し、チャニング•テイタムのストリップダンスに黄色い声援があちこちから上がった時には軽く震撼した。 あの頃おばさま達の盛り上がりにまだちょっとびっくりしたけど、多分今なら何の躊躇もなくお仲間に入れる気もしているし、私もみんなを震撼させられると思う。

話がずれたけど、ミリタリーの所属先、階級、仕事に寄っても変わるけど、基本的にマトさんは3年毎の引っ越し。ですが、このペンサコーラだけは9ヶ月の予定で来ました。なので引っ越して、すぐにまた引っ越し。

ミリタリーの勤務地を選ぶ時は自分の職種、階級が一致するポジションが、世界中にあるアメリカ基地のどこにあるかっていうのを見て、一応リクエストを人事に出します。
これもすんなり通ったり通らなかったりで、時間が非常にかかるんですけどね。

マトさん、一応ハワイにポジションの空きがあるか調べてくれたけど、残念ながら一覧にHawaiiの文字は見当たらなかった。私、変な自信みたいなのがあったんです、ハワイに戻れるって。なんでか分からないけどハワイには縁があると思ってたから。

"I'll be back!!"

ハワイを離れた時、飛行機から見えたダイヤモンドヘッドに向かってターミネーターのあの言葉叫んだんです(心の中で)。帰れると思ったんだけどなー、残念(涙)

次の勤務地が決まらないけど、先に決まったのは引っ越しの時期。な、な、な、なんと!

6月中旬

ということは、ガッツリと出産時期と重なる。
予定日と引っ越しの日が1週間位の差。

産まれたばかりの赤ちゃんを連れて引っ越し、赤ちゃん大丈夫かな。。。。

って、そこがすごく気がかりだった。

マトさんの仕事もハワイの空きが出るまで待つ事は出来ないので、人事の人に色々聞いたそう。なんや、かんやと色々お話した結果、次の勤務地はミシシッピにある船に決まった。。。が、ここでマトさんが言いました。

"ミシシッピ ノ フネ、ハワイ イクッテ"

なんとマトさんが乗る船、この時ミシシッピでまだ作ってたそうで、出来上がったらハワイの基地が母港になる!という話だった。

"大! どんでん返し!"

ねるとんだったら貴さんがカメラ目線でこう言ったと思う。まさに大!どんでん返し、そしてやっぱりある、何かある、ワイハとのご縁。初めてのハワイで感じたあの"ビビビっ"は、あながち間違ってなかった模様。

でも、1つ問題が出た。


ミシシッピにはマトさんだけが行く

マトさんが働き始めてすぐ、2ヶ月位で船はハワイに向けて出航するという。そうすると、ミシシッピにいる期間が短すぎて私は引っ越し出来ない。引っ越し先はミシシッピではなく、直接ハワイになるという。ハワイに戻れるのは嬉しいけど、マトさんいない2ヶ月。産まれたばかりの赤ちゃんと2人で何も出来ない。家もない、引っ越し手続きも、病院も行けない。車もない。この出産と引っ越しが被るというのがどうにも色々難しい。

そんな訳で、マトさんと私の出した答えは

"私は赤ちゃんと日本へ帰る"

事だった。
なんならちょっと早めに帰って"里帰り出産"も選ぶ事も出来た。
春美さん(母)が近くにいてくれたら100万倍心強いし安心だと思う。でも、そうすると赤ちゃんの父親であるマトさんは出産にも関わらず、そして赤ちゃんに会うのは2ヶ月後。ミリタリーではそういうの珍しくないけれど、それはデプロイメントという長期の出航だったり出張に行かなくちゃ行けないという辞令だから仕方ない。でも私が帰りたいという理由だけで、それは良くないと思った。マトさん、いつも一生懸命に妊婦の私を気遣ってくれて、赤ちゃんの名前も2人で考えてるのに、1人日本に帰って、日本の家族に助けてもらって産むよりも、当たり前だけど2人で作った2人の子供だし、

やっぱり出産はマトさんと2人で一緒にしたい

そう思ったんですよね。2人で作ったんじゃなかったら一体どうやって作ったんだって話ですけど(笑)、作ったのも、産むのも、育てるのも自分たちですからね。

2人とも出産経験も知識もないのに、多分大丈夫だと思えたのはマトさんが優しかったから。でも、1日何時間もゲームして、子供かよって思ってイライラも沢山させられて、でもそのイライラを英語で説明出来なくて更にイライラして無言で静かに怒る時間もいっぱいあったのは確か(笑)

ちなみに現在マトさん40歳、ティーンエイジャーの2人の我が子達と一緒にゲーム楽しんでます。40歳、趣味ゲームの男性がカッコいいとも思わないし、むしろちょっと引く。私としては出来ればもっとダンディーでカッコいい大人な感じが理想。でもまぁ、世の中に完璧な人なんていないと思うし、その嫌いな部分を見るよりも、良いとこ見ないと結婚生活なんて続かないというのは、18年一緒にいて身に染みていますから。とにかく明るい安村みたいな感じで、"とにかく優しいマトさん"、これがうちの夫の良いところだと毎日言い聞かせている、自分に(笑) まぁ、マトさんだって毎日何かしら呪文唱えながら私に付き合ってるかもしれませんしね、夫婦なんてそんな感じちょうど良いかと。

その優しいマトさんと2人での出産&引っ越し。最初にクリアにしなければならないのは、

1. 赤ちゃん産まれてすぐに飛行機に乗って大丈夫か?
2. パスポートを作るのが間に合うのか?
3. Dave(犬)をどうするか?

やること山積み。
赤ちゃんが産まれるのが1週間遅れたりしたらもうアウトです。

病院の先生に相談したところ、生後1週間でも飛行機に乗るのは問題ないよ!との言葉を貰った。日本人の感覚で行けば考えられないでしょ? でもミリタリーの中では特に珍しい事じゃないよって言われて、問題1つクリア。パスポートもお金はちょっと余計にかかるけど、1週間で出来るサービスがあったので問題クリア。愛犬Daveは2ヶ月ほどジターナ先生が預かってくれることになった。先生は私にとってはペンサコーラのお母さんみたいな存在。

引っ越しの日付けも出産予定日の10日後位に決まった。出産を経験した今なら言える、この無謀な日程。でもやるっきゃない、それしか選択肢ないんだもん。

優しいマトさんと、私、まさに二人三脚的な感じで出産と引っ越しです。エコー検査で見たクマのグミ子ちゃん、お腹を蹴ったりぐーっと伸びたりしてるんだろうなって動きを良くしていた。ほら、動いてるってマトさんに言うと、マトさんが急いで触りに来るのに、触った瞬間にピタリと動きを止めるグミ子ちゃん。うちの娘、かなり天の邪鬼な性格なんだけど、その性格はこの頃から少しずつ見えていたのかも。ずっとグミ子ちゃんとも呼べないから、やっぱり名前を考えないと行けません。

"ジュン"

私、もし自分に女の子が産まれたらこの名前をつけたいって思ってた。

母方の祖母の名前"潤子"から1文字。
そして、春美さんのお店も"潤"という名前だった。
おばあちゃんやお母さんみたいに芯の強い女性になってほしいなという願いも込めて。そしてこのグミ子ちゃんは6月(June)に産まれ。

ただ、マトさんと私の苗字と合わせてファーストネームにするにはちょっと流れがスムーズじゃ無かったので、Juneというスペルでミドルネームに入れてみることにした。Juneと苗字の前に来て、流れが綺麗な日本人でも言いやすく、親しみやすい名前を考えた結果、名前は

"Lisa"

とつけることにした。


"Lisa June(リサ ジューン)

日本人なら画数とか拘るところだけど、アメリカで暮らして行くという前提だったから、画数よりもその"サウンド"が美しい方が良いと思った。もともと私は"感覚"で生きているような所もあるし、画数とかも細かい事は気にならなかったけど、唯一の拘りは日本の私の家族にも言いやすい名前という事。


"リサ、お願いだから予定日よりちょっとだけでも早く産まれて来るんだよ"

って、ずっとお腹に話しかけてました。その効果があったのか、予定日2日前、遂に陣痛(Contractions)か!?となって病院に連絡して、荷物もって行ったら、

前駆陣痛というやつだった...チーン(-_-)

まだ弱いから、一度家に帰りなさいって言われて空振り。

やっぱりリサは天の邪鬼だった。(笑)

そこから数日ずっと変わらない。予定日も2日過ぎちゃった。引っ越し近いのに産まれる気配がなくて焦ってた私を見て、マトさんはショッピングモールにでも行って気分転換しよう!って外に連れ出してくれた。病院でも歩くと良いわよ!って言われたしね。そればっかり考えても仕方ないから、マトさんとデートする事にして、ショッピングモールをブラブラしよー!と意気込んでお出かけ。が、しかし。。。

"身体が重くて歩くの辛い(泣)"

軽くランチでも食べた気もするけど、もうとにかく横になりたい。家に帰ってベッドにバタンQ。いつになっても来ない陣痛、待ちくたびれた(笑)

ランチで何食べたのか忘れたけど、来たのは陣痛じゃなくて腹痛。こんな時に食あたりかと思って焦りトイレに駆け込んだけど、なんか大丈夫かも?と思ってホッとした。でもやっぱりあたったかも。。。(泣)と思ってまたトイレに行った。そんな事繰り返してたらマトさんが言いました。

"ソレ ジンツウ ダヨ"

えっ!? 私、お腹壊したっぽいだけなんだけど....って言ったら、

"It's every 15min(15分置きだよ)"

って言われたの。
ってか、私がトイレに駆け込む時間を黙って測ってくれてたみたい。私は陣痛だと思わなかったけど、マトさんは陣痛だって言い切る。ってかマトさん、あなた

"助産師ですか?"(笑)

自信満々の助産師マト、病院に電話して入院の手配を済ませて、愛車Honda Passport君に乗って病院に向かった。確か出発前に日本の家族にも電話をいれたと思う。
車で15分くらいの距離、駐車場に着いた頃には痛みも増していて、さすがの私もこれは陣痛だと確信した(笑)

予定日を2日過ぎて、いよいよ来た陣痛。
助産婦マトさんと一緒に、いよいよ2人で出産に挑みます!

《今日のヒトサラ》

キャラメルフラペチーノ

妊娠中は大好きなコーヒーが飲めなくて我慢してた。でも、陣痛が来たあの日、ランチに何を食べたのか覚えてないけど、マトさんがスタバでカフェモカ飲んで、確か一口だけ貰った気がする。一口飲んだだけだけど、もしかしたらカフェインが効いちゃったのかも? 私はカフェモカよりもキャラメルマキアート派。手作りのキャラメルって美味しくて、娘にいつも作ってと頼まれます。今度レシピ載せますね。写真は節約の為家で作ったキャラメルマキアートです(笑)

この記事が参加している募集

エッセイに登場する”出演者”である家族に”出演料”として温泉旅行をプレゼントするのが目標です。イッテQ!の温泉同好会の様な宴会をすべく、各自芸を磨いて待機中との事ですので、サポートしていただければ幸いです。スキ、シェアだけでもすごくうれしいです。よろしくお願いしますm(‐‐)m