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営業時代の話part⑭

おはようございます!

今日は「営業時代の話」をお送りします!

▼第1話はコチラから!

それでは本日もよろしくお願いします!

※登場人物、企業、団体は全てフィクションです。

●社風

「もう1軒行くよ」

この言葉に私は驚愕した。あれだけ飲んだうえ、上司たちの言い合いをなだめ自分たちも説教をくらい、心も身体もクタクタだった。しかし、まだ開放されない。私たちはタクシーへ乗り込み、向かったのは上野だった。

「運転手さん、この辺で」

藤橋さんがタクシーを止める。そして、飲み屋街の少し奥まったところにある雑居ビルへと入っていく。そこにあったのはスナックだった。少し重たいドアを開けると、そこには一人の女性が座っていた。

「ママ、久しぶり!」

社長と藤橋さんは酔った勢いもあってか、とても大きな声でその女性へと話しかけた。どうやらその女性はこのスナックのママらしい。

「あら社長、久しぶりね。死んじゃったのかと思ってたよ」

ママは冗談交じりにそう話した。

「相変わらずだねー。今日は藤橋ちゃんと、新人連れてきたから」

社長はそう言うと、私たちをぐっと前に押し出した。

「は、はじめまして! 先週こちらに入社した佐藤と申します!」

私はなぜか緊張していた。スナックという場所に行くこと自体が初めてだったのもあるが、そこに座ってタバコをふかしているママの圧に気圧されていたのだ。ママはじーっと目を細めて私を見ている。

「へぇー。若い人獲ったんだ。珍しいわね。御宅のところ、老人会だと思ってたんだけど」

「うちもフレッシュにいかないと時代においていかれるからね。まあとりあえず何かもらおうかな。……あ、そういえばこの前来たときにボトル頼んでなかったっけ?」

「あるよ。全員同じのでいいの?」

「そうだな。なら全員ウイスキーのロックでいいよ」

社長は私たちに確認するまでもなく注文をした。ちなみに、私はウイスキーが苦手であったが、そんなことを言える雰囲気ではなかった。

ママはカウンターの奥でボトルを開け、四人分のグラスにお酒を注いでいく。

「いやー、それにしても久しぶりだな。やっぱりこの店は何か落ち着くね」

久しぶりの来店に、社長はどんどんと上機嫌になっていく。

「もう今日はフルコースで行くから、君たちもちゃんとついてきてね」

機嫌が上がっていく社長とは対照的に、私たちの笑顔はどんどんとひきつっていった。

To be continued…

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