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営業時代の話part⑳

おはようございます!

今日は「営業時代の話」をお送りします!

▼第1話はコチラから!

それでは本日もよろしくお願いします!

※登場人物、企業、団体は全てフィクションです。

●失敗

初めてのテレアポはあっけなく終わった。

“吉田は移動に鳴りました”

そう言われて何も返すことは出来なかった。電話を切った後から頭の中で色々なことが思い浮かんでくる。

(後任の方をお願いしますって言えばよかったんじゃないのか? それか、電話口に出てくれた人も人事部の人なんだからその人に話しても良かったじゃん。あー何やってんだよ俺は……)

私は思わず頭を抱えた。こんなにも自分が何も出来ないなんて。アポイントくらいすぐに取れて、どう商談をしようかなんてことを考えていた自分が恥ずかしくなった。

そしてタイミング悪く、藤橋さんがやってきた。

「大柴テクノロジーどう? 電話した?」

「は、はい。さっき電話しました……」

「そうなんだ。で、どうだったの?」

「え、えーと……。うちとの取引履歴にあった担当の人にかけたんですが、もう移動されていたみたいでつながりませんでした……」

「まあ取引あったの結構前だしね。それで?」

「……え、えーと……」

「……ん? その後はどうしたの?」

「……それだけです」

「え? もしかして、そこで電話終わっちゃったの?」

「は、はい……」

私は下を向きながら弱々しく返事をした。

「ちょっとちょっと。担当は移動しましたって言われて『はいそうですか』って電話を切る営業なんていないよ。何のために電話してるんだよって話じゃん」

「そうですよね」

藤橋さんも私の話を聞き頭を抱えた。

「……まあ初めてのテレアポだもんな。テンパった?」

「すいません。正直どうしたらいいのか分からなくなりました」

「今だったらどうすれば良かったか思いつく?」

「はい。後任の方を紹介してもらうとか、電話に出てくれた人に話をするなどすればよかったと思います」

「そうだよな。出来ることはたくさんあったよな。まあしょうがない。なら今日この後すぐには電話できないから、また明日かけ直すか。ちなみに、その電話に出てくれた人の名前は覚えてる?」

「は、はい。飯河さんっていう男性の方でした」

「名前はさすがに憶えてたか。よし、なら切り替えてまた明日だ。と言っても明日またぶっつけ本番だったら緊張してテンパるかもしれないから、今日はこのままの勢いでテレアポ続けるぞ」

「は、はい!」

藤橋さんはそう言うと、今まで取引があったがここ2年以上連絡が途絶えてしまっている企業をピックアップしてくれた。そして、

「今日は夕方までひたすらこのリストに電話をしていけ。とにかくアポイントをとるんだ。まずはそこからやってみるぞ。電話のかけ方なんかは先週やったよな? とにかく落ち着いて目的を考えながらやればいいからやってみろ」

「はい! ありがとうございます!」

「うん。なら俺はまた別室にいるよ。何かあったら声かけてね」

藤橋さんはそう言うと、再び会議室へと戻っていった。私はリストを前にして再び気合いを入れ直した。

To be continued…

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