30日間の革命 #革命編 24日目
江藤は部活が終わると、一人で学校の近くの公園へと向かった。公園へ着くと、ブランコに座っている加賀の姿を見つけた。江藤は加賀の元へと駆け寄った。
「ごめん、待った?」
加賀は江藤に気づくと、笑顔で答えた。
「お疲れ! ううん、全然待ってないよ」
「あれ、セト一人だけ?」
江藤は坂本がいないことに気づき、周りを見渡した。革命の話であれば、坂本と二人でいるはず。そう思っていた。
「うん。今日は俺だけだよ」
「そっか。てっきり坂本さんも一緒かと思ったよ」
「はは。実は俺も小春も一緒に来るもんだと思ってたんだよ。でも、小春が一人で行って来いって言うからさ」
「ふーん。何か坂本さんらしいっちゃらしいね」
「そうだね。でもさ、こうやって二人で話すのも本当に久しぶりな感じだよね」
加賀は少し懐かしそうな顔で話した。
「この前二人で話したばっかじゃん」
「この前は『江藤さん』と話したからノーカンだよ」
「何それ。同じ人物なんだけど」
二人は穏やかな笑顔で話を続けた。加賀、江藤にとって、とても懐かしい時間が流れる。かつては二人してよくこうやって笑いあっていた。
「でも何か本当に久しぶりにセトと話した気分だよ」
江藤は少し息をついてそうつぶやいた。
「……うん。何か3年になってからクラスは一緒だったけど、少し距離を感じてたもんね。お互いにね」
加賀も、少し遠くを見つめながらそう話した。
「やっぱ私が変わったのかな。バレー部のキャプテンになってさ、みんなから恐れられて……。それでセトとも距離が出来ちゃったのかもね」
「うーん……。まあそれもあるかもしんないし、俺自身も変わったのかもね」
「……やっぱ坂本さんの影響?」
江藤は少し間をおいて加賀へと問いかけた。
「……。まあそうだね。今までは、楽しく過ごせればいいやって思ってたのが、小春と出会って変わったのかな。やりたいことが明確になったっていうか」
「……革命のこと?」
江藤が革命について触れると、加賀は少しだけ沈黙をした。そして、
「何か自分が革命を起こそうなんてしてること、全然ピンと来ないけどね。でも、やっぱりこの学校には革命が必要だっていう思いは変わらない」
と真剣な表情になり答えた。
「……革命か。まさに私みたいな権力をふるってる奴を変えたいってことだよね」
江藤は苦笑いしながら、そうつぶやく。
「……江藤ちゃんだけじゃないよ。でも、まずは江藤ちゃん自身を変えて欲しいって正直に思う。力で、恐怖で人を従えるのは江藤ちゃんの本来の姿なんかじゃないよ。もっとふざけて、楽しくて、明るくて。そんな江藤ちゃんの姿にみんな憧れてたよ」
そして、再び少し間をおいてから真っすぐ江藤を見めた。
「改めて言うけど、やっぱり俺は江藤ちゃんと一緒に革命を起こしたい。それと、江藤ちゃんの力が必要なんだよ。一緒にこの学校で革命を起こそう」
加賀の力強い言葉に、江藤は少しうつむいた。
「……ありがとう。私も本音で言うけど、セトたちと一緒にやりたいって思ってる。でも……」
江藤は何かを迷っているようだった。
「馬場のことが気になる?」
加賀は、江藤が迷うのは馬場のことがあるからだと思った。しかし江藤の悩みはまた別のものであった。
「もちろん馬場のことも気になるけど、それだけじゃない……」
言葉を出すのを躊躇う江藤。そこで加賀はあることに気づいた。
「……もしかして、手崎さんのこと?」
”手崎”の名前が出た途端、江藤の反応が変わった。あきらかに動揺している。その姿を見た加賀は、江藤が手崎のことで悩んでいたことを察した。
▼30日間の革命 第一部
まだお読みでない方は、ぜひお読みください!
▼30日間の革命 ~第二部革命編~
マガジン作成しました! 第二部はコチラからご覧ください!
takuma.o
色々な実験を行い、その結果を公開していきます!もし何かしらの価値を感じていただけましたら、サポートしていただけますと幸いです!