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30日間の革命 #毎日小説68日目

 加賀は、橋田の話しを聞き、少しだけ肩を落とした。

 「そっか。ありがとね。何かさ、今俺も自分のことで精一杯になっちゃって、余裕がなくなっちゃってるんだよね。手崎さんも、前はよく話していたんだけど最近は本当に話す機会も減っちゃってね。もし手崎さんと話す機会があったらさ、加賀が気にしてたよって伝えてくれないかな?」

 「は、はい。わかりました。で、でも加賀先輩も悩むことあるんですね」

 「そりゃ俺だって人間だからね。俺ってそんなバカっぽいかな?」

「い、いえ。決してそういう意味じゃなくて。何ていうか加賀先輩は私たち後輩から見ても人気者だし、誰とでも仲良くしていて、いつも明るいイメージでしたから、少し意外でした」

 「”誰とでも仲が良い”か。今はさ、一番仲良くしたい人とも何かうまくしゃべれなくなっちゃってね。進路も中々決められないし、正直悩んでばっかだよ」

 「そうなんですね。実は、私も色々と悩んでます。自分の選択が正しいのか間違っているのか時々わからなくなって、情けなることもあります」

 「そうなんだ。お互い大変だね」

 それからしばらく加賀と橋田はお互いのことを話した。加賀も橋田も、素直に自分の気持ちを話すことが出来たのは久しぶりだった。今まで内に秘めていた気持ちが溢れ出すように、お互いのことを話した。

 しばらく時間を忘れ話していると、下校を告げるチャイムが鳴った。

 「お、もうこんな時間か。なんかごめんね、はじめて会ったのにたくさんしゃべっちゃって」

 「い、いえ。とても楽しかったです! こちらこそ、私のこととか色々話しちゃってすいませんでした」

 「いや、おれも楽しかったよ。何かお互い大変みたいだしね。まあこれからも大変だろうけど、何とかしていくしかないね。良かったらまた夏休みに白の会の集会を開くからさ、参加してよ」

 「はい! 参加します!」

 「ありがとね。よし! ならそろそろ帰るか」

 加賀がそう言い、ベンチから立ち上がろうとすると橋田は、

 「あ、あの。もしよかったら、またこんな感じでお話しすることは出来ますか?」

 と加賀へ聞いてみた。

 「うん? 全然いいよ。俺もさ、何か橋田さんなら色々話せそうだし、こっちからもお願いするよ」

 「ありがとうございます! またよろしくお願いします!」

 お互いまた話すことを約束し、解散した。加賀は坂本のことや面談のことでモヤモヤしていた気持ちが少し晴れていた。明日は思い切って坂本へ話しかけてみようと、そう思いながら帰り道を歩いた。


▼30日間の革命 1日目~67日目
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