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営業時代の話part⑦

おはようございます!

今日は「営業時代の話」第7話をお送りします!

▼第1話はコチラ

それでは本日もよろしくお願いします!

※登場人物、企業、団体は全てフィクションです。

●遅れてきたボス

目覚ましの音で目が覚めた私は、ゆっくりと起き上がりシャワーを浴びた。今日は月曜日。またこれから一週間が始まる。転職してから1週間が経過したが、少しだけ憂鬱な気分になっている自分に気が付く。

「何か今日は仕事行きたくないな。会議があるからかな」

そんなことをつぶやきながら会社へ行く支度を済ましていく。そして、行きの電車の中では「#会社行きたくない」といったハッシュタグで検索し、私と同様の気持ちの人のつぶやきを見ながら自分の気持ちを落ち着かせていた。

会社へ着くと、同期の本村さんが既に出社していた。

「おはようございます。……課題図書読んできました?」

私は本村さんにそう聞くと、

「いやー、テストの疲れで土日結構ゆっくりしちゃって、実はあんまり読めてないんですよ。佐藤さんは?」

「僕もです! やっぱり結構疲れましたよね。まあ、感想を言えばいいって藤橋さんも言っていたから、多分大丈夫だと思うんですけどね」

「そうですよね。何とか今日を乗り切りましょう」

私たちは、夏休みの宿題を仕上げてこなかった小学生のように、お互いの進捗具合を聞いて安心しあった。

そして時間は過ぎていき、定例会議の時間となった。私と本村さんは初めて定例会議に出席する。この定例会議では、営業担当が現在抱えている案件の進捗状況を報告し、今後の動きや目標を確認していく。会議室には藤橋さんを含めた営業担当数名が集められ、淡々と会議は進んでいった。藤橋さんは営業マネージャーとして、情報を聞きながら的確に指示を出していく。少しでも曖昧な報告があれば、詳しく追及し今後の動き方などを明確にしていく。とても仕事が出来る人だと思いながらも、その追及していくスタイルが少しだけ怖く感じた。事実、この会議の雰囲気はピリついており、みんな険しい顔をしながら話を聞いていた。

営業の報告が終わり、いよいよ私たちの課題図書感想発表の時間が迫ってきた。会議の雰囲気に圧倒され、緊張が増していく。

(この空気の中発表ってやばいな。もし藤橋さんに色々とツッコまれたらどうしよう)

私は心の中でそんなことを考え、手には汗がびっしょりだった。

「それでは営業報告はこれくらいにして、次は新人二人の読書感想でも聞いてみようか。これはプレゼンの練習にもなるから、緊張するだろうけど二人とも頑張ってね。ならまずは佐藤くんからお願いするよ」

藤橋さんは笑顔でそう言った。その笑顔も私は逆に怖く感じたが、もうやるしかないと意を決して立ち上がった。その時、

「いやー、遅れてごめん」

と会議室のドアを開け一人の男性が入ってきた。私はその男性を見て、更に緊張が増した。なぜなら彼はこのヒューマン株式会社の社長なのだから。最終面接のときに1度だけ顔を合わせたことがあったが、それ以降は出張で会社におらず、今日が2度目の対面となった。

社長は席につくと、

「お、これから新人の発表なの? ちょうどいいタイミングで来れたな。二人とも楽しみにしているよ」

と笑顔で私たちに向かって話した。私は引きつった笑顔で

「は、はい。頑張ります」

と答えた。

To be continued…

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