営業時代の話part⑰
こんにちは!
今日は「営業時代の話」をお送りします!
▼第1話はコチラから!
それでは本日もよろしくお願いします!
※登場人物、企業、団体は全てフィクションです。
●タクシーの中で
長かった飲み会も終わり、私は社長と家の方向が一緒だったため、タクシーに乗せてもらうことになった。ここから約1時間弱。社長と二人きりのドライブが始まる。
「……ふぅー。結構飲んだね。君は大丈夫?」
社長はそう私に話しかけた。
「は、はい! 何とか大丈夫です!」
「意外とお酒飲めるの?」
「い、いえ。後半はほとんど口をつけるだけでして……。あんまり強いお酒は飲めないですね」
「そうなの? ならこれから鍛えないとダメだね。俺なんて若いときは散々飲み歩いて鍛えたもんだよ。また連れてってあげるよ」
「あ、ありがとうございます」
私は引きつった笑顔で答えた。
「でさ、佐藤君はこれから頑張っていけそうなの?」
「は、はい?」
「仕事だよ、仕事。今日あんな発表を見せられたんじゃ、社長としてはちょっと心配だよ。営業としてやっていけそう?」
「は、はい。今日はちょっと準備不足で、不甲斐ないことになりましたが、や、やる気はありますので頑張ります!」
「……そっか」
社長はそう言うと、何かを少し考えているようだった。
「……なら、今度『大柴テクノロジー』挨拶行くか?」
「お、大柴テクノロジーですか!?」
私は思わず声を上げた。なぜなら、大柴テクノロジーは日本を代表する有名企業だった。
「うん。俺が営業時代に新規開拓して、昔はかなりお世話になってたんだよ。今もまだ少し取引はあるんだけど、だいぶ縮小しちゃってね。これから何とか復活させていきたいんだけど、うちも人材不足でね。藤橋ちゃんも手一杯だし、俺も社長だからさ。そんな頻繁に営業行くことも出来ないからね、だから、君に引き継げたらって思うんだけど、やれそうかい?」
「は、はい! めちゃくちゃ頑張ります!」
「そうか。なら今週どっかでアポとってもらって、俺と一緒に挨拶いくぞ。明日電話番号と担当者教えるから、アポとってね」
「ありがとうございます!」
私は喜んだ。日本人なら誰でも知っているあの大手企業の営業担当になれるチャンスをもらったこと、営業としての第一歩を踏み出せそうなこと。正直言うと、さっきまでの飲兵衛だった社長には少し幻滅していたのだが、私の中で一気に株が上がった。
「なら、これから飲み営業も鍛えていくから、ちゃんとついてくるんだぞ」
「はい!」
タクシーは深夜の高速道路を駆け抜けていった。
To be continued…
▼アニメ制作時代の話はコチラ
色々な実験を行い、その結果を公開していきます!もし何かしらの価値を感じていただけましたら、サポートしていただけますと幸いです!