30日間の革命 #革命編 34日目

 加賀は仙波に生徒会室へと誘われた。仙波が見せる不敵な笑みに、加賀は少し躊躇してしまう。

 「こ、ここじゃダメなのかな?」

 「あら、私が怖いの? 生徒会室で何かされるとでも?」

 「そ、そんなんじゃないけどさ。いいよ。行くよ」

 加賀は仙波の挑発に乗って、生徒会室へ向かっていった。

 一方、高橋と坂本も職員室へと着いた頃だった。

 「よし、ならあそこの部屋に入れ」

 高橋は坂本を小さな個室へと誘導した。

 「さあて、何だっけ? 相談事があるんだっけか?」

 高橋は個室に入ると、緑茶を一口飲んで坂本へと問いかけた。

 「はい。ちょっとだけ悩み事がありまして」

 「そうか。坂本にも悩みがあるんだな」

 「私だって普通の人間ですからね。ロボットにでも見えましたか?」

 「ははっ。確かにそう見えるときもあるな。ただ、最近はロボットよりも人間らしさのほうが増えてきているみたいだけどな」

 「それはどういうことですか?」

 高橋はもう一口緑茶を口に含んだ。

 「まあまあ、それは後ほど話すとして、どうした? 相談があるんだろ」

 「……はい。ちょっと人間関係について悩みがありまして」

 「人間関係? お前がか? そりゃ一体どんな悩みだ?」

 高橋は興味津々で坂本へ質問をした。

 「……特定の誰かってわけじゃないんですけど、何だか誰かに監視されてるっていうか、いつも見られているような気がして……。これって私の考えすぎでしょうか」

 高橋は少し黙った。そして、この相談には裏があると悟った。坂本の表情を見ると、いつもと変わらず全く変わっていない。この相談に何の意図があり、何かの作戦なのか、坂本の表情からは推察出来なかった。

 「……お前を監視している人がいるってことか。何でそう思うんだ?」

 「いえ、視線を感じるっていうくらいなんですけどね」

 「そうか。何か思い当たる節でもあるのか? その、監視されるようなことでもしたとか……?」

 高橋は坂本の表情の変化を見ようとした。しかし、坂本の表情は変わらない。流石は坂本だと高橋が思った瞬間、坂本の口から意外な言葉が出てきた。

 「私が”革命”を起こそうとしたからでしょうか」

 高橋は動揺した。まさか坂本から革命のことを口に出すとは思ってもいなかったからだ。

 「……”革命”ね。そういえば、そんなことを企んでたって生徒会選挙のときに暴露されてたな。……お前、本当にそんなこと考えてたのか?」

 坂本は一瞬の間を置き答える。

 「……はい。そう考えていました。そして、それは今も変わっていません」

 高橋は頭を掻きむしる。

 「……あのなぁ、何を考えるのも自由だけどな、変なこと起こすんじゃないぞ。お前、進学するんだろ? せっかくここまで積み上げてきたものを、そんなことでお釈迦にするんじゃないぞ」

 坂本はじっと高橋の目を見つめ答える。

 「……先生はやけに進路について気になさるんですね」

 「当たり前だろ。教師が生徒の進路を気にすることに何の違和感があるんだ。なあ坂本。その革命だか何だか知らんが、もうやめとけ。生徒会の選挙で思い知っただろ。誰もそんなこと望んじゃいなんだよ。お前はさ、生徒からも教師からも慕われてるんだ。このまま変わらず卒業して、いい大学へ行ってさ、いい企業に入って安泰な生活を送ってくれよ。それが一番だと俺は思うよ」

 高橋は再び緑茶を飲んだ。

 「今日はそこの部分についてもお話し出来ればと思ってお時間いただきました」

 坂本はニコッと笑顔になると

 「最初からそれが目的だろ? お前も中々食えないね」

 と高橋は再び頭を掻いた。

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