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ヨーロッパ的なるもの:小話15 ヨーロッパ人は花が好き

【ヨーロッパ人は花が好き】
 英国の春は水仙から始まります。2月下旬ぐらいからスーパーマーケットに、つぼみの水仙の束が並び始めます。それはとても安くて、10本ほどの束で200円ほどです。最初は、こんな安物は開かないのだろうと半信半疑で買いました。ところがこれです。ただ花瓶に入れているだけでみるみる開き、満開です。

英国の水仙

 公園でも水仙が咲き誇ります。白いものは見たことがなく、筆者が知る限りはみな黄色です。水仙の黄色が「春が来るよ~」と言うサインです。また、面白いことに英国の水仙は、日本のよりも鼻高です。なぜ、人間の鼻の高さと水仙の鼻(花)の高さが比例するのでしょうか? 不思議です。

鼻高の水仙

 そして桜。ロンドンにもところどころに桜があります。これはリージェンツ・パークの門の前です。日本人として桜を見るとほっこりしますが、何故か日本のより長持ちをするようです。普通の桜のように、しっかり咲いていてパッと散ると言う雰囲気ではありません。咲き始めた時は感動するのですが、そのうちまだ咲いているの?と思ったりー。これはひょっとしてアーモンドなのでしょうかーー。

リージェンツパークの門の前の桜?アーモンド?

 ほぼ同時期にチューリップ。ロンドンの公園にも色とりどりのチューリップが咲きますが、何と言っても圧巻は、オランダのキューケンホフでしょう。広い園内が、さまざまな種類のチューリップで埋め尽くされます。埋め尽くすと言うのはこういう状態を言うのだと、おもわずつぶやきが出ます。   

キューケンホフ公園@オランダ
キューケンホフ公園@オランダ

 5月になると英国の郊外が菜の花畑状態に。イングランドには高い山は無く、なだらかな丘が延々と続きます。そこが一面の菜の花畑に早変わり。思わず車を停めて、見とれます。  

イングランド郊外にて

 6月に入ったらバラ。ロンドンのリージェンツ・パークには見事はバラ園があります。区画ごとに、さまざまな異なったバラが植えられています。それにはそれぞれユニークな名前が付けられているので、「この名前は花にピッタリだとか、これは言い過ぎだとか、これはどういう意味だろう」などと会話も弾みます。この多彩なバラ園で、筆者は初めて花の色と香りの強さが比例することを発見しました。濃い花は濃い香りを放ち、薄い色の花は、ほのかな香りを漂わせる。妖しい色は、妖しい(怪しい)香り。「香りには色があるんだ」と大発見!
(注)ところが2023年は悲惨でした。ロンドンは6月、あり得ない酷暑に見舞われ、多くのバラが干からびていました。下の写真は、まだ気候がましだったな時のものです。

リージェンツ・パークのバラ園
それぞれに個性的な名前

 野原や公園だけでなく、ヨーロッパ人は窓辺を花で飾るのが大好きです。これがヨーロッパの町々を美しく飾っている、まさしく花を添えています。窓辺に置く花を植える箱はウインドウ・ボックスと言います。 起源は中世にあるらしく、当時は家庭菜園がわりにハーブや野菜を育てていたものとか。それが次第に花を植えて、町を飾ると言う用途に変わってきたらしい。ヨーロッパの都会は国を問わず、何百年も前から大なり小なり集合住宅がメインです。通りに向いていくつもの窓があります。その窓々を花で飾れば、その壁一面が巨大なキャンバスになり、見事この上なしの光景です。まさにヨーロッパ的な光景です。

スイス ルガーノ湖畔にて

写真集紹介:
【ヨーロッパ的なるもの:アルバム1 街角と博物館で見るクラシックカー(その1)】
ドイツ、イタリア、英国の博物館や路上で見かけた車の写真集(有料)です。歴史的意味のある車、著者が美しいと感じた車を集めています。

著作紹介:ヨーロッパ ちょっと楽しい迷信とことわざ(アマゾン)


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