海外駐在(1国目)を終えて感じる駐在中のメリット - 経営視点/論理的思考力

こんにちはー!20代後半から海外駐在(イギリス→アメリカ)している大手メーカー会社員のぴよ吉です。
前回、駐在することで自分の習慣にもたらしたベスト4位&5位を語りましたので、今回は3位と2位を心を込めて書きたいと思います。

駐在と言うと、給与や昇進の面をよく聞かれるのですが、私が感じる一番のメリットは価値観がガラッと変わって形成されたこの習慣や考え方です。
駐在員に興味のある方、または今後の人生のヒントを得たい方など、この記事が少しでも助けになれば嬉しいです。

では下記、3位と2位を記載します。

3位 経営視点が身に付く

僕は28歳 入社5年目にイギリスの海外駐在員になりました。
その時は会社の中ではまだまだ若手で、身の回りの業務を自分一人で遂行でき始め、少し後輩に教える機会が増えたかな 程度のレベルでした。

また、僕は技術系の総合職であったため、社内の技術課題を解決する業務にしか関わったことが無く、正直 会社がどのような構造で仕事が生まれているか、どのように経営戦略が決められているかなんて考えたこともありませんでした。

 ◆ 赴任先は小さな大企業 ◆

駐在先では明らかに業務の範囲が広がりました。以下、僕が最初に新鮮だなぁと感じた点です。

〇 社長が隣の部屋にいて、定期的に打ち合わせがある
〇 人事や経理、総務など日本にいた時には関わらない人と仕事をする
〇 出向元と事業部の担当者と仕事をする。また技術を理解する必要がある

なにより社長が近いことには驚きました。
大企業に勤めていると社長に会う事は滅多にありません。事業部長ですら何かの大事な報告の際にしか直接会うことが無かったので、すぐ隣の部屋に社長がいて仕事の方向性について議論するという環境は衝撃でした。

また、人事や経理、総務など、正直日本にいる時は何しているかよく分かっていなかった部署の方々が、会社運営に必要な大切な存在だということも一緒に仕事をすることで学びました。(特に経理の方は超大変そう。。)

さらに、違う事業部から赴任していた駐在員と共同で進めるプロジェクトも駐在先では頻繁にあり、業務を通して違う事業部の役割や業績規模を知ることで会社全体が少しづつ見えてきたのを実感しました。

そういう意味では駐在先では、以下の要素が詰まっているため、
「小さな大企業」だなぁと感じました。

〇 日本の出向元と組織の機能(部署の種類)はさほど変わらない
〇 小規模でも各事業部の業務を行っている
〇 個々の投資規模は日本とは変わらない(但し 日本が投資判断を承認する)

例えれば、日本の全国に散らばった事業所から、要点となる機能をピックアップして一つの海外拠点に投入し、管理部門(人事/総務/経理など)と経営層を立てて構成した会社です。

そのため、海外拠点で働いていると日本で働いている時には大きくてイメージの湧かなかった会社運営の流れが、業務を通して見えるようになります。

◆ 業績管理が経営視点を伸ばす ◆

上記の会社の環境に加えて、駐在員は日本に定期的に赴任先の業績を報告する必要があり、その過程で経営に使われている数字を学ぶことになります。

28歳 技術総合職の僕にとって ”ROI?”、”Gross Margin?など日本語でも分からないことを英語で話されてちんぷんかんぷんでした。
(余談ですがイギリスのお酒IPAの話を財務諸表関係の話だと勘違いして険しい顔して聞いていたら、現地人に笑われたこともありました(笑))

しかし例え僕が技術系だったとしても、それを日本に報告する必要があるため、英語だけでも必死だったのに財務諸表の勉強をするのにさらに必死でした。

その結果、最初は日本に報告するためだった財務諸表の知識や考え方が、段々と自分の担当範囲(技術関連)の仕事と繋がってきて 今まで行ってきた活動や投資が実は部分的に良く見えているだけで、全体として最適化されていないことに気づくようになりました。

また、何かの優先順位を付けるにも、会社の利益に対するインパクトを考えることで取捨選択できるようになったので、企画を通すにも、依頼を断るにも合理的な判断/説明ができるようになりました。

以上のような、”小規模でも会社全体を見通せる環境”と”経営視点を身に付けざるを得ない環境”の2つの点で、海外駐在員は成長するのに大きなメリットがあると思います。

2位 論理的思考力が身に付く

僕は赴任する際に前任の先輩から、

「ぴよ吉くんは若いけど絶対にメッセンジャーになってはいけないよ。」

と言われました。
最初はどういう意味か分からなかったのですが、駐在して少し経った頃に 「なるほど」と実感し 今でもこの言葉を心に留めています。

◆ メッセンジャーとは?何が悪いの? ◆

メッセンジャーとは誰かの言葉を自分が仲介して他の誰かに伝える役割のことです。(私は見たことがありませんが、自転車で郵便や宅配を行う自転車便をメッセンジャーと呼ぶことから先輩はこのように言っていました。)

駐在中は日本からたくさんの依頼や指示が駐在員に集まります。駐在員はそれを現地人と話し合ってどのように進めるか決めるのですが、中には現地側からすると、現実的でない指示や意図の分からない依頼が多く混ざっています。

もしその依頼を英語で現地人に伝えて、現地人の言い分(断りの理由)を日本語に直して日本に伝える、そして日本の追加の質問をまた英語に直して現地人に伝えて、、とやっているようでは僕はメッセンジャーになってしまいます。

簡単に言うと「日本が〇〇と依頼してきたけどお願いできる?」とか「現地人に確認したところ××とのことですがいかがでしょうか?」のように、自分の意見が一切なく現地と日本の間を取り持つことです。

聞いていて「そんな仕事の仕方あっちゃダメでしょ、もっと両者の実情を理解しているあなた(駐在員)が折り合いのつく所を提案すべきじゃない?」と思うかもしれません。

確かにその通りです。
でも業務量の多い駐在中は一つ一つに時間をかけていられず、ついつい簡単な方(メッセンジャー)に逃げて楽をしたくなってしまうのです。。
(結局 連絡のやり取りが多くなって自分が苦労することになるのですが。。)

ですので、互いの必ず通したい言い分や譲歩できる点を明確にして、新しい解決策を駐在員が考えるという点で非常に論理的思考力が身に付くと考えます。

◆ 現地人に納得してもらうのは大変 ◆

上記のように現地と日本の間を取り持つのも自分自身のトレーニングになりますが、一方 現地人に仕事を依頼して納得してもらうのはもっと大変です。

日本にいる時には気づかないと思いますが、僕たちには”当たり前のルール”や”当たり前の知識”を前提に働いています。

例として、
普通の感覚で日本人が現地人にメールしてもすぐに帰ってくる保証はありません。なぜなら希望納期が書いていないことが多いからです。

また予告無しに次の日から一か月休暇を取る とかも普通なので「それくらい事前に言ってよ(泣)」と困ることが多々あります。
でもこれって日本人が普通と思っているだけで、彼らにとっては普通ではないんです。

そんな現地人に仕事を依頼するとなると、どこから伝えればいいのやら。。入社したての新入社員に背景を教えるのと、日本のルールや文化を補足するようなイメージです。

「こういう仕事をお願いしたいんだけどね、背景から説明すると5年前にこ〇〇な取り組みが日本であって~。でも年末から年明け一週間は日本はお休みだからさ~。あと外部から詳細な見積もりを取るには、ほぼ購入するよっていう暗黙の了解があるから断る可能性があること考えると簡単には取得できないんだよね。ということで××までにお願いできる?」

こんな感じです。
大変は大変だけど、なぜこの仕事をあなたにお願いする必要があるのかを真剣勝負で伝える必要があるのでトレーニングになりますね。

◆ なんでも自問自答するようになる ◆ 

論理的思考力が身に付くと僕が考える最大の理由は ”自問自答” するようになるという点です。

人に何かをお願いする際には、日本語で要点を頭の中で整理します。英語で伝えることも考えるとなおさら論理を整理すると思います。
英語に自信がないうちは、「あれを聞かれたらなんて言おう」とか「この言い方の方が納得感があるかな?」などいろいろと試行錯誤するものです。

その際に、「あれ?なんであの時あの判断になったんだっけ?」とか「なんであれはダメであれはOKなんだっけ?」など、人に説明する準備をする過程でたくさんの疑問が出てきて、それを調べることになります。

この”自問自答”による準備が自分の論理的思考力を育むトレーニングになります。
日本語で話すときはお互い言っていることが分かるから、互いに理解している感じになって疑問に気づかないかもしれません。でも現地で英語で要点を説明する際にはごまかすことができません。お互いキーとなる言葉や理由を探しながら会話を行っているので、筋が通っていないことに気づいてしまうんですね。

このような環境も論理的思考力を鍛えるメリットに繋がると僕は実感しています。実際、日本とのテレビ会議では聞くのが申し訳なくなるくらい質問が多く浮かびますし、自分の説明も筋道立てて説明できるようになりました。

今日はここまで

今日は3位と2位を記載しました。

本当は1位まで書きたかったのですが、書いているうちに実感したたくさんのメリットを思い出してしまい、また長くなってしまいました。その分、私の海外駐在のメリットに対する熱い気持ちが伝わったら幸いです。

明日は1位についてもっともっと熱く語れたらと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました!みなさんの明日がもっとHappyになりますように!お互い頑張りましょう!明るい言葉が大好きです!

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