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文字通り「山積」する、インドのゴミ問題 (インド滞在録#13)

(2018年夏に、会社の海外派遣プログラムで、インドのプネにある環境NGOでインターンしていた際の滞在録です。現地での体験や、日頃の気づきなどを、ゆるゆると綴っています)

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インドは、世界第三位のゴミ大国で、年間6200万トンのゴミが排出される。その内収集されるのは8割、内処理されるのは3割にも届かない。
その他大量のゴミがどうなるかというと、放置されるか、埋め立てられるか、燃やされるかである。放置されたゴミは川の水を、分別されず焼却されたゴミは大気を汚染する。

プネでは、1時間以上外にいれば息苦しさを感じるし、川を渡れば、水の臭いと見た目に吐き気をもよおす。それほど問題は顕著なのだ。

入寮時のゴミ出しの説明では、「ゴミはwetとdryに分けて、外へ出して下さい」と言われた。その際、「分け方感覚的ですね(笑)分別少ないのも、玄関出しも、楽で嬉しいです!」と深く考えずに発言した。

しかし、この国のゴミ事情を知っていくうちに、見解は変わった。インドのゴミ収集は、労働集約型産業であり、個人のwastepicker(低いカースト所属者・貧困者中心)が毎朝各家庭よりゴミを収集する。

収集したゴミを、それぞれが手作業で細かく分別し、引取業者や施設へ持ち込む。低賃金で、作業環境・装備等は劣悪、労働者の健康危害や人権侵害は深刻な状況で、仕組みは難点だらけだ。

加えて、政府自治体の技術・資金不足で、重機の数やゴミ処理施設の能力は限定的であり、その付けは全て、川上のwastepickerに回ってしまっている。

インドでは、多くの途上国同様、急激な経済成長・人口増加・大量消費社会への変容に、社会インフラが追い付いていない。

ゴミ問題は、全体体制が変わらぬ限り、プロセスのどこかを省略すれば負荷が別部(労働者・環境)に転嫁されるだけだ。当初感じた「楽さ」は、犠牲の上に成っていたと気付き、発言を反省した。

インドが国として急ピッチで問題解決を推し進めることを祈るとともに、当面は当事者意識をもち、家庭レベルでできることを進んで行いたい。

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以 上

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