レジリエンス

 【まえおき】 

 多分わたしは「受験国語オタク」なんだと思う。国語の教科書に載ってる文章を読むのが好き。問題を解くのも好き。教員だった頃、授業の準備に毎日追われてひーひー言ってたけど、「いったいどうしたら、生徒に『わかった!!』を提供できるだろう?」と考える時間を、実は結構楽しんでいたんじゃないか、と今になって思う(何かに追われてる感がずっとあったので、大変だったのは大変だったけど)。

 というわけで、13年国語科教員としてやってきたわたしが、「あの教材の、ここが好きだったんだよねえええええ!!!」とか、思い出みたいなものを、ただひたすら、好き勝手、つれづれに、書き連ねることにした。

-----------------------------------------------

はずだったんだけど、脱線。

 行きたい学校に受からなかったからと言って人生が終わるわけではない。

が、「行きたい学校に受かれなかった自分に囚われて、大人になっても『何をやっても上手くいかない自分』という自己イメージで生きている人」を私は知っている。

「行きたい学校に行けたのに、いろんな意味でついていけなくて通学できなくなった人」も、私は知っている。

 いろんなタイプの生徒や保護者の方々を見てきたことから、

「こどもたちに必要なのは、『逆境を追い風に変える力』」だと、私は本気で思っている。

 様々な入試形態がある今、同じ志望校に対して、スケジュール調整して何度かチャレンジをすることが出来るし、推薦を狙えるなら、それも視野に入れて、使えるものは何でも使えばいい(推薦の準備もなかなか大変、という事実はあるけれど)。

 個人的に「やばいぞ」と思うのは、推薦でダメだったあと、その結果を引きずって落ち込んだまま一般のための勉強に切り替えられないパターン。

 「落ちた=自分はもうダメだ、価値がない」という回路になってしまっているパターン。

 そんなことないのに。結果は結果、あなたはあなたなのに!

 今関わっている生徒さんのご家族がとても素敵で、例えば模試や、例えば入試や、例えば入社試験の結果が、残念なものであっても、

「そこまでの過程がわたしたちにとっては宝物でした」とか

「これをいかして次はどうなるかしら」とか

ナチュラルに言えるんです。

「結果が残念で悔しいけれど、だからこそこの子は、それをバネにしようってめちゃくちゃ燃えてるみたい」

で、実際お子さまたちと話をすると、本当に「自分ならやれます、がんばります!」って気持ちをしっかり次に向かわせている。

 これって本当にすごいことだと思う。

 私がやりたいのは、こどもたちと日々話す中で、彼らが本当につらいときに、さりげなくよりそうこと、彼らが自分で立ち上がる力を湧きあがらせるような声かけをすること、そして、彼らがナチュラルに立ち上がれるようなものの考え方が出来るような、自分で自分の道をきりひらいていけるような学びの場を提供すること、なのだけれど、

 いちばんそばにいる家族が、

失敗したときによりそってくれたり、挫折をバネに変えるような視点を提示してくれたり、「結果の向こうにあるもの」を一緒に見ようとしてくれたりする

 これがいちばんなんだろうなあって。

 わかんないとき、むずかしいとき、親だからとか大人だからとかいう理由で、知ってるふりするのではなくて、

一緒になって「わかんないね、むずかしいね」

「でも、ここまでやれたね」って

そんなスタンスでいられることが、きっと、子どもには大事なんだろうなって、ついこないだ、素敵な家族を見て感じたという話。

-----------------------------------------------

 もし、雨が降ったとしても、「きれいだね」「虹が出るかな」って楽しめる。

 そういう環境で育った子の見る世界はきっと美しい。

 だけど、そうじゃないからダメなんだ、っていうわけでもなくて

 例えば私は、様々な理由により、自己卑下の塊として生きてきた。それこそ、雨が降ったら「あーあ、雨が降った、私のせいだ」って思うタイプ。「自分はダメだ」「どうせ私なんて」の塊だった。でも、幼少期からそんなマイナス思考で生きてきたからこそ、そういう考えに陥ってしまう人たちのつらさを知っているし、そこからの思考転換の大切さも、方法も、全力で伝えることが出来る、という自負がある。

 できるから、輝くものも、できなかったから、輝きに変えられるものも、みんな持ってる。

 今がキツい人には、キツい一言かもしれない、でも、

「すべてのことは、必要だから起こるんだ」

じゃあ、「自分には、この出来事は、なんのために必要だったんだろう?」

この問いに対する、自分の答えを見つけられたら、きっと悲しみもつらさも、全部ギフトに変わると思っている。


 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?