パラレル・レース・ロイヤル
メチルヒドラジンとエリクサーの配合物が点火し、噴射が始まる。レースが始まる。本来は平行世界どもを集めてバトルロイヤルの予定だったがレースのほうが長期的な見世物になって興行収入が入ると責任者は考えた。
武装担当のサカヤマが祈る。仏教徒のこいつはインドで六年間修行した挙げ句にレーサーになった。バディを組んだ理由は賞金の寄付。
百メートル右でユニコーンが出馬を待つ。角が生えて神々しい本物の聖獣。雷とホーリーガスがかなり厄介だ。
二百メートル左には量産型魔法少女マカイゾウ。バルカン砲とスティック型バットを装備したあいつは最初に暴れると俺は考えている。
俺が乗るのはタンデムバイク。防御は考えてないがロケットエンジンを積んだ車体は死ぬほど早い。死ぬほど。誰も追いつけないぐらい。
信号はレッド。
レッド。
出場騎手は二百。ドラゴンの咆哮がする。
イエロー。念仏が上ずる。
グリーン。
「ゴー」
【続く】
いいなと思ったら応援しよう!
頂いたサポートは本の購入・取材・他記事サポートに使用します。