イギリスでライブしてきた話。
Eulalieと言います、これでゆーらりと読みます。普段は京都で音楽を作っています。
自分の寝室で音楽を作り、ベッドの上からインターネット上で音楽をリリースしています。
そんな活動を続けているわたしですが、先日でイギリスでライブをしてきました。
今回が人生初イギリス。ライブはおろかイギリスに行ったことすらなく、現地にリアルの知り合いは1人もいない状態でした。
日本以外に住んだ経験も留学経験もなく、英語もあまり喋れません。
そんな状態で知らない人ばかりの知らない場所に1人で飛び込んでいくことに不安もありましたが、沢山の助けを借りることで無事ライブをすることができました。
今回書くのはそんなイギリスでのライブについてのnoteです。
前情報
ライブスケジュール
イギリスライブ全体のスケジュールはこんな感じです。
これに8月5日のライブ前Slack's Radioでプレイしたライブを合わせて計5回、3都市でのライブをして参りました。
7月29日と30日に出演した音楽フェスティバル、Pure Live Londonについてはこちらの別記事で詳しく書いています。
何故イギリスでライブができたのか。
今回のイベントは全て友人の好意によって成り立ったものです。
例えばオンラインフェスに何度か参加していた縁でロンドンのイベントに誘ってもらったり。例えばマスタリングしてもらったレコードを渡そうと連絡を取った友人にライブに誘ってもらったり。
そんな音楽活動をしていく中で得た繋がりのおかげで、今回のライブが実現しました。
先に言ったように、わたしは今までイギリスに行ったことがありません。
今回ライブするにあたりお世話になったレーベルの皆様とも、やりとりこそインターネットを使って行っていましたが直接会ったことはありませんでした。
海外に行ったこと自体そこまでの回数がないこともあり、わからないことや不安もいろいろ。ヨーロッパに行ったことのある友人に話を聞いて準備を進め、ドキドキの状態でライブはスタートしました。
7月29日 :: The Glove that fits
イギリスライブの1日目はロンドンにあるThe Glove That Fitsというクラブで行われました。
実はこのクラブ、わたしの好きなアーティストがリリースパーティーとかで使っていたりする場所で、ここで皆様プレイしてるのかーとこっそりテンション上がっていました。
開演時刻になるとお客さんがたくさん。
わたしの曲を聞いていたファンの方もいました。私の物販Tシャツを着た人に、あなたの曲を聴きに他の国から飛行機で飛んできました!と言われてライブ前に泣きそうになってました。
ポーランドから来た方が直接感想を伝えて下さったり、ギリシャのお酒を差し入れてくださったり。
インターネットを通してわたしの音楽を知ってくださったファンの方とこうやって直接話せる機会を経られてとても嬉しかったです。
そしてライブ。わたしはダンスミュージックをメインにボーカルを混ぜたパフォーマンスを行いました。
ターンテーブルは回さないですが、ヘッドセットマイクで気分はDJ。
初日のライブで少し緊張していましたが、顔を上げれば思い思いに踊ったり、飛び跳ねたり、歓声をあげたりしてくれるお客様が目に入り非常に楽しくライブできました。
イギリスを拠点とするベテランのDJさんやスペインやフランスからやってきたアーティストなど、様々なルーツを持つ出演者の皆様のパフォーマンスは多種多様でどれもとてもかっこよく、またクラブの音響がとてもよく、出番以外でも観客として非常に楽しんでいました。
音に手でさわれるって感覚を初めて経験しました。空中に手を伸ばした時「あれ?なんかあるな?」って感覚になったんですよね。それが楽しくてまた手を伸ばすという。そうやっていると自然と踊るのが止まらない、そんな非常に楽しい体験をさせていただきました。
会場であるThe Glove That Fitsの雰囲気もとても良く、素敵な場所で素敵な人たちの音を楽しめる、とてもいい体験をさせていただきました。
初日は夜一時というクラブとしては少し早めの時間で終了。
オールナイトのクラブに行ったときは大抵途中で一回沈没しかけるので、この時間で終わりは非常にありがたいなあと思いました。
帰り道のタクシーから見た夜のロンドンはとても綺麗でした。
7月30日 :: IKLECTIK
Pure Live2日目の会場はIKLECTIKというアートスペース。
IKLECTIKの敷地内にはアトリエやキオスクなどが並んでいて、ライブハウスというより一つのコミュニティーのような場所でした。
そんな会場に到着して物販の準備。Pure Lifeの過去のリリースがずらっと並びます。
隙間に私が日本から持ってきた物販も並べさせていただいたためテーブルがギッチギチ。
段ボールに入ってるのはこのために用意してきたユーラリマスコットストラップ(ガチャカプセル仕様)です。
ガチャガチャってロンドンで通じるのかなーと思いましたが、「これ龍が如くで見たやつじゃん!」との声が。
どうやらヤクザゲームでガチャガチャ文化も輸出されているようです。
これは良いことを聞いたと思い、「龍が如く!龍が如くスタイルです!!」と宣伝したところ好評いただき完売。
ストラップを買ってくれた方に写真を撮らせていただきました。
ストラップ以外にTシャツも持っていったのですがこちらもほぼ完売、というかサイズが売り切れて購入できなかった方もいらっしゃって申し訳なかったです。
昔UNIQLOのプリントサービスを使って作ったお試しTシャツまで残さず売れていきました。
会場内に増殖していくわたしのロゴTシャツを着た人々。嬉しいやら気恥ずかしいやらで、感無量とはこのことかと思いました。
そしてこれらの物販に使われているキャラクター。この一つ目の猫は私が以前から使用しているマスコットです。その名もユーラリキャット。
今までもわたしのリリースやミュージックビデオでたまに登場していた3Dユーラリキャットが、今回のライブでは凄腕プログラマーR3Nの魔改造により音に合わせて踊る巨大ダンシングキャットに。
後日Pure Liveの模様を特集したラジオもいくつか放映されたのですが、どの番組でも「Eulalieって子がいてね、後ろに猫がね…」とご説明頂いて、もう私と猫どっちが本体なのかわかんないなって感じ。
しかしやってみて思ったのが、お客さんたちのノリが大変よろしい。
アンビエントっぽいセットの最中に口笛が飛んでくるとは思わなかったよね…。
わたしの映像を担当してくれたビジュアルアーティストでプログラマーのR3Nが「Eulalieのライブ見た後にあの猫じゃん!ってなるからグッズめっちゃ売れるよ」とライブ前に言ってくれていたのですが、物販がほぼ完売の理由としてこのインパクト抜群の猫ビジュアルがかなり貢献してくれたと思います。
そして昨日のクラブに引き続き会場の音響が非常に良い。
ロンドンの中心地からバス数駅でアクセスできる立地でここまで大音量の低音が出せる場所があるのかということに感動しました。
ベッドルームで作ったわたしの音が13.4チャンネルの音響だとどう聞こえるのかドキドキしてましたが、低音が想像以上にいい感じに聞こえる中非常に気持ちよく演奏させていただきました。
2日間通して会場の音響スタッフさんにライブを好評いただいたのがとても励みになりました。
そして今回のイベントの主催者であるKuroi Ameのセットで一曲歌わせていただきました。
音響面ではKuroi Ameに頼って、ボーカルエフェクターの操作に集中できるのはまた普段と違う楽しさがありました。
ロンドンでの2日間のイベントは無事終了。雰囲気の違う二つのイベントに出演させていただきました。どちらも本当に楽しかったです。
番外編 :: 8月1日〜2日 :: マンチェスター(移動日)
Pure Live Londonが終了し、次のライブのためにロンドンからマンチェスターに移動し一泊。
マンチェスターに到着してロンドンとはまた違う雰囲気を感じました。
ロンドンは白い壁の建物が多くてマンチェスターは赤煉瓦造りの建物が多いんだと同行者に教わり、そう言われてみると確かに街並みが赤い。
そしてマンチェスターはとても寒い!雨も降る!
8月だと思い油断して薄着だったわたし。
寒さに震える姿を見かねて、観光の前に服を買いに連れて行ってくれました。
連れられて入ったのはまさかのUNIQLO。
UNIQLOってイギリスにあるんだ…とおどろきました。2022年現在マンチェスターとロンドンに店舗があるらしいです。
日本の大型店舗と全く変わらない店内の様子にここってイギリスだよね?と少し混乱を覚えつつ、探偵みたいなコートを購入したり。
地元のレコード屋に入ってレコードを購入し、Pure Lifeのレコードがたくさん並んでいるのを見てテンション上がったり。
テーブルゲームを買ってみんなで遊んだり。
皆んなと過ごした時間は数日前に初めて会ったことも英語が喋れないこともまったく気にならなくなるくらい楽しくて、観光に遊びにと様々な思い出を作りました。
修学旅行と文化祭がいっぺんに来たような気分でマンチェスターを非常に満喫して次のライブへ。
8月3日 :: Todmorden
ライブはTodmordenというマンチェスター近くの村にあるNan Moor's Todmordenというバー。
BROKEN_CANYONとわたしの2マンライブ。フリーエントリーです。
数日イギリスにいて入場無料のライブイベントが多いなと思いました。
あとで聞いたところによると、皆さんお酒をめちゃくちゃ飲むのでバーだけでも経営が成り立ち、入場無料のライブがたくさんあるのだとか。
確かに日本の一般的なサイズより明らかにでかいビールジョッキが目の前でどんどん空いていきます。
Dreampunk関連のお客様が多かった前2日と比べて、Todmordenのライブでは私のこと知っているお客さんが減るだろうと正直少し不安でした。しかしいざ出番が始まってみたら地元の皆様が非常に暖かく迎えてくださりとても楽しくライブをすることができました。
また「私、あなたの曲をBBCで聴いて知って。今日あなたのライブを聞くために電車で来ました。」と素敵なマダムが声をかけてくれたり。びっくりしましたよね。
「終電があるから早めに帰らないといけない」とのことでライブを最後まで聞いていただけるか不安だったのですが、無事ラストの曲まで聞いていただくことができたみたいでよかったです。
他にも、お世話になっているレーベルDream CatalogueのShimaが急遽来場しDJ係をしたり、地元の人やバーの常連さんたちと仲良くお話ししたりと非常に楽しい時間を過ごしました。
8月5日 :: Newcastle
Todmordenでのライブの後はニューカッスルに移動。
今回イギリスでのライブ最後の街です。
着いて驚いたのがニューカッスルの気温。8月なのに14度の日があるとかマジですか。京都の過酷な夏に慣れたわたしには衝撃の涼しさでした。
通り雨にも何度かあい、マンチェスターで購入したUNIQLOブロックテック撥水ロングコートに助けられました。買ってよかった。
ライブ前にOpal Tapesのスティーブンさんが観光に連れてってくれました。お城や灯台などいろんな場所を訪ねることができました。
Live Streaming @ Slack's Radio
ニューカッスルに到着して挨拶に伺った際、今回のイベントを企画して下さったSlack's Radioが「明日ライブ前にうちのラジオにでない?」とお誘いいただきまして。急遽決定したラジオでの生放送です。
Slack's RadioはニューカッスルのDIYなインターネットラジオ局。Slack's Radio Tシャツを着て30分ほどパフォーマンスさせていただきました。
Pure Lifeのメンバーがトッドモーデンから急遽一緒に来てくれて、このラジオパフォーマンスを聞いてくれました。彼らの優しさがとても嬉しかったです。
そして人生初めてのインスタライブをやってみようと試みました。何の告知もなく突然始めたのですが、見てくれた人もいたようでよかったです。
コメントもいただいたようでありがとうございます。
Slack's Residents Party @ The Lubber Fiend
ラジオでのパフォーマンスの後は最後のライブ。会場のThe Lubber FiendはOpal TapesやSlack's Radioのメンバーをはじめとしたニューカッスルの仲間たちがDIYで経営する、非営利のライブハウスです。
The Lubberは本当に良い場所で、わたしみたいに他所からぽっとやってきた人にも非常に良くしていただきました。
ニューカッスルでのライブはOpal TapesとSlack's Radioの助けによって実現したものでお客さんも地元の人たち。今までPure Lifeが企画していたロンドン、トッドモーデンのライブとはまた違った雰囲気になるだろうと思っていました。
どうなるかなぁと思っていましたが、始まってみるととても楽しい。初めて出会った皆が私の音楽に合わせて踊っているのを見て、とても幸せな気分になりました。
ライブが終わった後はいろんな人に声をかけていただきました。
日本語を10年勉強しているというお姉様に「めっちゃよかったです!別の世界みたいで泣きそうでした!!」と流暢な日本語で言っていただいたのには驚きました。発音が綺麗すぎて、ここってイギリスじゃない別の場所だったっけ?となったのも、嬉しさで泣きそうになったのもわたしの方です。
他にもフロアで踊っていた見ていたお姉様にハグされて「もう一回ライブやんないのー!?」と言っていただいたり。とても暖かい言葉をいっぴいいただいて嬉しかったです。
The Lubberはライブハウスでもあるけど、日本のライブハウスのイメージとは少し違っていて。
昼間は映画を上映したりクイズ大会をやったりと、夜以外にも様々なことをやっています。昼間に遊びに行くと生まれたばかりの赤ちゃんをつれてやってきているご家族が談笑していたりして、人を繋ぐコミュニティスペースとしての側面がすごく強いなと思いました。
わたしが出演する日の昼間はフェミニズムとパンクに関するドキュメンタリーをやっていました。スクリーンでこちらに語りかける彼女たちの想いは英語が聞き取れなくてもなぜか理解できました。
ヴィーガンフードの屋台が来ていてハンバーガーがとてもおいしかった。イギリスにいる間は他にもヴィーガン向けチップスやグルテンフリーケーキなどを食べましたが、どれもめちゃくちゃクオリティが高く美味しかったです。
The Lubberでのライブが終わったあと「明日もクラブイベントあるけど来ない?」「ノイズのイベントがあるけどどう?」と連日お誘いいただき、この場所が居心地良すぎたのもあって、結局ニューカッスルにいる間毎日入り浸ってしまいました。
遊びに行った時も「この子はここでプレイしたEulalie!めっちゃよかった!」と常連さんたちに紹介してもらったり。日本の音楽や漫画が好きな人に、わたしも知らなかった日本の音楽を教えてもらったり。
宮崎駿がニューカッスルを舞台にした漫画を描いていたことも教えてもらいました。知らなかったです。
街を歩けばピカチュウもいたし、日本の漫画やゲーム、広まってるんだなあーと思いました
感想
行く前は不安の方が正直強かったです。
初めて会う人たちと知らない街で何日も過ごすわけですから。しかし実際会ってみて想像の何倍も楽しい体験をさせていただきました。
着いた最初はネイティブ英語に圧倒されたり、ご飯の値段の高さに驚いたり。
でも1週間朝から晩まで一緒に過ごして、お互いのライブを聴いたり一緒にセッションしたりしているうちに、不思議なことに言葉の壁は気にならなくなるもので。日本に帰るころにはみんなと離れたくなくて泣いてしまうくらい打ち解けることができました。
わたしは今回の旅でイギリスが大好きになりましたが、それも優しい皆に助けてもらったからという部分が非常に大きいと思います。
いろんな場所を案内してもらって綺麗な景色を見たり、不慣れな英語を助けてもらいながら一緒にゲームをしたり、ホテルまでの夜の道を着いてきてもらって一緒にポテトを買い食いしたり。
本当に素敵な思い出がたくさんできました。
わたしはイギリスに住んだこともいったこともなかったですし、今回のライブも大手レーベルやエージェントなどの後ろ盾があったわけでもなく、友人たちの好意と優しさによって実現したものです。
スーツケース片手に見知らぬ土地へ一人飛び込んでいったちっぽけなわたしが無事ライブを終えることができたのは、皆さんの優しさに支えてもらったからだと思います。
彼らと過ごしてライブをした1週間はわたしの一生の思い出です。
今回書いたライブの様子をまとめて一本の動画にしました。よければ見てください。
文章では書ききれなかった会場の空気などが少しでも伝わればいいなと思います。
読んでいただきありがとうございました。
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