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製薬企業が「行動経済学」を学ぶメリットとは?

こんにちは。株式会社ユカリア データインテリジェンス事業部の城前です。

  • なぜ、あの人は私の言うことを分かってくれないのか?

  • なぜ、口では「分かった」と言ってもその通りに行動してくれないのか?

  • なぜ、明らかに効果の高い当社の薬ではなく他社の薬を使うのだろうか?

製薬企業の方であれば、業務上の医師との面談の場面で、そんなことを感じたことがあるのではないでしょうか?


医療における「行動経済学」とは?

最近私は、ある先生の書いた、医療の「行動経済学」に関する本を読む機会がありました。

タイトルにあるように、がん患者さんの意思決定支援をいかに良いものにしていくかを主題にした本です。

ただ、紹介されているノウハウ自体はがん意外の疾患に関しても広く応用可能なものとなっており、また、実際に読んでみると、タイトルから想像していた内容と、良い意味でギャップを感じることがありました。それが「行動経済学」です。

「行動経済学」という言葉自体は、これまでにもマーケティングの概論的な書籍で目にしたことがありましたが、それを医療の場面で活用するという発想が新鮮でした。

本書の中では、主に「医師」と「患者」の間でのコミュニケーションを円滑にし、それによって、いかに患者さんが「その方にとって最も良い」終末期の意思決定を行えるように導くか、ということが、豊富な事例とともに書かれています。

ただ、読後に私が感じたことは、これは「製薬企業の方」と「医師」の間でのコミュニケーションの改善にもそのまま応用可能なのではないか?ということです。

私は、弊社が行う製薬企業の営業活動に関するさまざまなコンサルティングプロジェクトを通じて、MRの方と医師のコミュニケーションがうまくいかないという事例を沢山見てきました。

  • なぜ、熱心に情報提供しているのに当社の薬を採用してもらえないのか?

  • なぜ、有意なエビデンスがあるのに評価してくれないのか?

  • なぜ、好適と思われる患者さんがいるのに処方してもらえないのか?

そういった課題です。

それらの事例を改めて俯瞰してみると、この本で記載されている行動経済学の理論で説明でき、解決に向けた対応策が示せる事象も非常に多いのではないかと感じたのです。

そのため、医療における行動経済学について理解を深めたいという興味から、同じ先生が一部の章を執筆されている別の書籍も読みました。

こちらのnoteでは、全3回の予定で、医療における行動経済学をテーマに記事を書いていきたいと思います。

第1回目の今回は、この話を書くに至った経緯と、製薬企業の方にとっての行動経済学を理解することの価値・メリットを、私なりの理解に基づいてお伝えします。

そして、
第2回目は「製薬企業の方が医師とより良いコミュニケーションをとるためには?」
第3回目は「製薬企業の方が医師を通じてその先にいる患者さんに良い影響を与えるには?」
という観点から、医療における行動経済学の活用方法を考えていきます。

本来すばらしい薬品であっても、その良さがうまく医師に伝わらなければ、治療に活かされる機会は減ってしまいます。

行動経済学を取り入れることで、製薬企業の方が医師に対してより効果的な価値訴求をすることができ、それが患者さんのためになれば幸いです。

この話を書くに至った経緯

私が医療における行動経済学に関心を持ったのは、前述の書籍『がん患者の意思決定支援 成功の秘訣』の著者である、堀 謙輔先生との面談の機会をいただいたことです。

堀先生は、奈良県立医科大学をご卒業後、一般病院、大学病院を経て、現在は関西ろうさい病院に勤務されています。
ご専門は産婦人科で、第二産婦人科の部長と緩和ケアセンターのセンター長を兼務し、ご活躍されている方です。

これまでに取り組まれてきたことを伺う中で書籍の紹介を受け、前述のような「意外な気付き」を得たことから、これをもっと多くの方に知っていただこうと考えました。

製薬企業の方にとっての「行動経済学」を理解することの価値・メリット

「行動経済学」のメソッドは、製薬企業の方が医師とコミュニケーションを行うにあたってしばしば起こる「伝わらない」「わからない」「すれ違う」「ズレる」といった問題を解消できる可能性があると思っています。

コミュニケーションが円滑になることに加えて、

  • 自身の考えを受け入れてもらいやすくなる

  • 医師や患者のことを多面的に理解し、提案活動において医師や患者に寄り添った提案ができるようになる

といった効果も期待できます。

行動経済学の理論を知ると、人が日々行っている行動や意思決定の背景には、さまざまな思い込みやバイアスがあることが分かります。
また、知らず知らずのうちに、非論理的な行動をとっていることにも気付かされます。

自身にも相手にも、そういった傾向があることを理解し、客観的に状況を捉え、適切な対応策を取ることで、他者との関係性が変わることを実感できるのではないでしょうか。

それでは、次の第2回では「製薬企業の方が医師とより良いコミュニケーションをとるためには?」をテーマに、具体的な状況の例や会話内容も交えながら考察を進めていこうと思います。

よろしくお願いします。

第2話はこちら


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