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父と娘の日々

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認知症が進行していく、憎たらしく愛おしい父との、尊い日々の記録。
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2022年7月の記事一覧

手を借りるありがたさ。

手を借りるありがたさ。

今日から寝込んでしまう予定だった父だけど
ちょうど看護師さんが来てくださり
おなかの調子など診てもらっていたら
便秘でおなかがカチカチになっているとのことで
便を出してもらうことに。

昨日の夜の父はアクティブで
夜中3時半頃、頭が痒いと
シャワーを浴びたりしたので
絶対に今日はバタンキューだと思っていた。

血圧は上が80くらい。
体温も35度5分で
フラフラしている。

そんな中、看護師さんに

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歯は大事。

歯は大事。

また父の歯の詰め物が取れてしまった。

去年と同じところだったし
父がショックを受けていたので
また詰めてもらおうと
往診してくださる歯医者さんに電話すると
神経のない歯だし
痛くないのならそのままで良い
治療の必要はない
とのことだった。

全然痛がってないし
歯医者さんがそういうのだから
大丈夫なのだと思うけど。
父もそれならこのままで良いと言うし。

でも自分の歯だったら
痛くなくても
詰め

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安心する、ということ。

安心する、ということ。

散歩の途中、そこここで
枯れかけた紫陽花がすごくきれい。

5月まで山の家に住んでいてくれた家族が
望んでいた土地におうちを見つけて引っ越して
次は村の仲良し家族が山の家を使って
楽しいことを計画してくれている。

安心して家を空けていられる。
ほんとうにありがたいこと。

山の家はもはや
自分の家ではないのかも
と思うようになってきた。

来年には父を連れて
山に帰るつもりだけど
それでもいろん

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反芻に気づく。

反芻に気づく。

わざわざ昔のことを思い出して
また同じような気分になることに
私は人生のどれほどの時間を
使ってきただろう。

楽しいこともうれしいことも
悲しいことも怒りも全部。

家でぼーっとしてても
ごはんを食べてても
散歩してても
誰かとお話ししていても。

ハッと気づくと頭の中は
今ではなくどこかにいて
何かを思い出している。

ラクダみたいに
胃の中に入った食べ物を
また口の中に戻してもぐもぐしてるみ

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笑顔で弱気。

笑顔で弱気。

父はにっこり笑顔で
「今日初めて弱気になった」
と言った。

ずっと強気のつもりだったんだ〜

日々弱気な発言ばかりしてるのに。

全部忘れちゃえるのっていいね。

そして全然
弱気な顔じゃないところがいいね。

存在するということ。

存在するということ。

梅雨は元気なひとも
からだがだるかったりするくらいで
父もずっとだるそうにしてるけど。

その代わりなのかどうなのか
波が緩やかで、幻視が強く出てこない。
ごはんも三食それなりに食べている。
丸一日寝込むことが
梅雨に入ってから減っている。

でもこないだは
早朝から床屋に行く気満々になり
シャワーを浴びて準備をしたけど
床屋がオープンする時間には
力尽きて寝てしまった。

唯一の外出の床屋に行く

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たい焼きに救われる。

たい焼きに救われる。

今日は朝から苦しがって
ごはんが食べられないと言う父。

前に弟の奥さんから
父がたい焼きをひとつペロリと食べた
と聞いたのを思い出して
それ以来食べさせてないし
喜ぶかな、と
近くのスーパーで買ってきた。

たい焼きを渡すと
半分私に分けてくれると言うものの
食べれるだけ食べていいよ
と伝えたら
やっぱりペロリと全部食べた。

ここ最近の父にとっては
一番ボリューミーな食べ物だ。

食べたいもの

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注ぐのみ。看護師さん。

注ぐのみ。看護師さん。

きっと母の好みだったんだと思うけど
なぜかうちには、今までのどの家にも
ソテツが植えてある。

ソテツは恐竜時代から地球を見てきた
生きた化石らしい。

そんなソテツの花が咲いた。

今日は看護師さんの日。

夜も眠らず今朝まで
幻視のお付き合いで忙しくしていた父は
看護師さんが来る頃には撃沈。

血圧計ろうが着替えようが
うんともすんとも言わずに寝ていた。

それでも看護師さんは
やさしく声をか

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夏がやってくる。

夏がやってくる。

今日も朝から苦しがる父。

もうこれで最後かも。。
と言うので
それはないわ。。
と返すと
わははと笑ってくれるようになった。

こんなにムシムシしてるのだもの
健康なひとでも息苦しい。

外は強い日差しと共に
雨が降っている。
村のおかあさん達が
狐の嫁入りや、と言っていたやつだ。

天気予報では
来週には梅雨明け。

今年は冷夏だそうで
喜んでいてはいけないことも
あるのだと思うけど
去年の夏

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めんどくさがりの小言。

めんどくさがりの小言。

昨日は父が寝ていたし
最近食べてばかりで運動不足なので
散歩に行こうと電車に乗って
北鎌倉の明月院へ。

暑くて家を出るのが遅過ぎて
着いたらもう閉まってた。

閉まってたから入り口もわからず
どんどん奥まで歩いていってしまって
良いウォーキングになった。

帰り道に円覚寺にも寄って。

せっかく鎌倉に住んでて
その上暇なのだから
散歩がてら観光してみるのも良いな。

久しぶりに飲まず食わずで眠り

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めんどくさがりの気づき。

めんどくさがりの気づき。

梅雨明けの兆し。

それはそれで、暑い。

今日も看護師さんの日だったので
父のわがまま放題について聞いてみたら
水類が飲めないと言うときには
無理に飲ませなくて良い
とのことだった。

丸一日くらいなら大丈夫だと。

それより室温など外の環境を
整えたら良いとのこと。

そうか、飲ませることばかりに
一生懸命になり
他にも解決策があることが
見えなくなってしまった。

責任を感じて
一生懸命にな

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小さな達成感。

小さな達成感。

ケチャップ作りたい〜と伝えたら
友達の農家さんが野菜便の中に
トマトをたくさん入れてくれた。

テレビに気を取られて
腰を上げるのに時間がかかったけど
無事においしいケチャップができた◯

久しぶりの達成感。
うれしいな。

そうか
今の生活の中には
達成感がないんだ。

達成感のない生活
自分にとって良いのか悪いのか
もう少し味わってみよう。

心を保つ。

心を保つ。

うちにはずっと
掃除をするひとがいなかった。

父は仕事人間だったし
母は車椅子だったし
弟家族は常に子沢山。

特に私が鎌倉に戻ってくる前の数年は
誰も掃除しなかったろうから
家の中はどこもかしこも
すごく汚れている。

私はこの汚れた家にいるのが
とても居心地悪かったけど
去年は掃除する気力もなく
今年の梅雨のカビたちに背中を押され
ようやく一日一箇所
掃除をするようになった。

山の家にいた

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笑える方向を見る。

笑える方向を見る。

父がごはんを食べられなくなり
私のストレスは急速的に高まっていた。

作ったものも買ってきた介護食も
見た目で判断されて
口もつけてくれないと苛立った。

お笑い事務所の件みたいに
何が原因で苛立っているのか
わからなくなって
父の行動や言葉に傷つき怒り
最後には意地悪な娘にされてしまって
悲しみで疲れ切ってしまう。

疲れ果てて動けなくなり
自分のこころをただ見ていたら
わかったぞ
命に関わるか

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